歯科インプラントの基礎知識(後編)

さまざまな症例に対応
治療後こそケア徹底を


Q.

科インプラント治療はどのようなケースに行われますか?

A.

歯科インプラント(dental implant、以下インプラント)は、金属製の人工歯根です。虫歯や歯周病、けがなどによって歯を失った場合に、顎の骨にインプラントを埋め込み、その上にセラミックスなどの人工歯を固定します。見た目に天然歯と遜色ない仕上がりを期待でき、「かむ」という歯本来の機能を取り戻すことができます。

インプラント治療は、歯を1〜数本失った場合から、上顎、下顎の歯を全て失った場合まで、幅広い症例に対して行われます。

 


Q.

従来のブリッジ治療と比べたインプラント治療のメリットは?

A.

まずブリッジとは、歯を失い穴が空いた部分の両隣の歯を支柱として使い、「橋」をかけるように人工歯を入れる治療法です。見た目に自然なのはもちろん、歯を固定し、しっかりかむことができるのがメリットです。

一方デメリットは、橋をかけるときに、両隣の健康な歯を削らなければならないことです。

その点インプラント治療は、両隣の歯を削る必要もなければ、負担をかけることもありません。かけがえのない健康な歯を守るという意味で、これはとても大切なことです。

デメリットがあるとすれば、治療完了まで時間がかかることです。治療部位や骨の状態にもよりますが、骨に埋入したインプラントが安定して人工歯を装着できるまで、平均3カ月程度かかります。骨の量が不十分な場合、骨を作る治療がまず必要になることもあります。

 


Q.

歯が複数本欠損した場合の治療法は?

A.

隣り合った2本の歯を失ったケースでは、インプラントを2本埋入し、それぞれにクラウン(被せ物)を装着します。もしくは、インプラントを1本だけ埋め込み、それを支柱としてブリッジ治療をすることもできます。繰り返しますが、同じブリッジでも、従来のように両隣の健康な歯を削る必要はありません。

連続して3本以上歯を失った場合や、歯が1本も残っていない場合も、インプラントによる治療が可能です。例えば、下顎に歯が全くなければ、6〜8本のインプラントを等間隔で埋入し、その上にブリッジを固定します。

ただし、この治療は全ての人に適しているわけではありません。治療部位、骨量、歯茎の状態、神経の位置、かみ合わせ、費用などを包括的に考慮した上で、患者ごとに適した方法を選ぶことが大切です。

 

 

インプラント埋入位置や角度、深さなどの治療計画を基に作成した手術用ガイド。これを患者の歯列に被せて手術をすることで、治療計画通りに高精度の処置ができると期待されている。この患者は、写真手前の歯が欠損した部位にインプラントを埋入した(写真提供: メイ先生)


Q.

インプラントで入れ歯を支える治療とは?

A.

入れ歯の内側に金具を取り付け、インプラントと入れ歯を固定する方法で、「オーバーデンチャー(overdenture)」といいます。

入れ歯が口の中でグラグラするという人は、この方法で入れ歯を安定させることができます。普通の入れ歯と同じように、取り外して清掃が可能です。

個人差はありますが、総入れ歯の場合は、通常インプラント4本程度で支えます。この治療は、ブリッジのように人工歯を固定したいけれど、インプラントを6〜8本も入れるのは難しいという人のための選択肢の一つです。

 

Q.

インプラント治療後のケアについて教えてください。

A.

インプラント自体はチタンなので虫歯になりませんが、日々の口内の清掃を怠ると、インプラント周囲に細菌が感染し、炎症が起きることがあります。

最悪の場合、インプラント周囲の骨が溶け、インプラントを抜かざるを得なくなります。

そうならないために、インプラント治療後も、天然歯と同じように日々の手入れを徹底し、最低年1回の定期検診と、年2回の口腔内清掃を心掛けてください。

近年は、インプラント治療の費用をカバーする保険が増えています。立体(3D)画像を使った治療計画の作成や、手術用ガイドの利用(写真参照)など、手術の精度を高める技術も数多く登場し、これまで以上に治療を安心して受けられるようになりました。
天然歯を救えなくなった場合の治療法として、インプラント治療の利用者は今後も増えると予想されます。

 

※来週は、内科医のユーロン・ヤン先生に高血圧の治療と予防についてお聞きします。

 

シェリー・メイ先生
Sherry Mei, DDS

歯科医師(DDS=Doctor of Dental Surgery)。Implant & Cosmetic Pro-sthodontics院長。
ストーニーブルック大学歯科学校卒業後、ニューヨーク病院歯科補綴学・インプラントセンターで補綴歯科特別訓練、ニューヨーク・プレスビテリアン病院で研修修了。
虫歯治療、補綴歯科(クラウン、ブリッジなど)、歯科インプラント(インプラント埋入手術とクラウン装着)、審美歯科、インビザライン、根管治療などを手掛ける。

 

Implant & Cosmetic Prosthodontics
133 E. 58th St., #807
(bet. Lexington & Park Aves.)
TEL: 212-906-0018(日本語可)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

った歯の機能を回復
治療は長期的に計画を

Q. 科インプラントとは何ですか?

A.

例えば人工関節や心臓のペースメーカーなど、医療目的で体内に埋め込む機器を総じてインプラントといいますが、歯科インプラント(dental implant)もその一つです。

歯は、口の中に露出した部分の「歯冠」と、歯冠より下の部分の「歯根」からできています。歯科インプラント(以下インプラント)とは、金属製の人工歯根です。歯がない場所、あるいは抜歯後に、顎の骨に埋め込み、失われた歯根の代わりとして使います。

 

Q. インプラント治療とは?

A.

ひどい虫歯や歯周病、けがなどによって抜かざるを得なくなった歯を、歯根ごと人工歯で置き換える治療です。顎の骨にインプラントを埋め、その上にクラウンや入れ歯を装着します。「かむ」という歯の機能性を取り戻し、見た目にも自然な審美性を回復することができます。

インプラントは、チタン製が使われることが多く、ネジの形をしています。骨に埋めるので、入れていることが見た目に分かりません。

インプラント治療は、1〜数本歯を失った場合から、上顎、下顎の歯を全て失った場合まで、幅広い症例に対して行われます(後編で説明)。例えば、入れ歯が口の中でグラグラする、すぐに外れて困っているという人は、インプラントを複数本埋めて入れ歯を支え、安定させることができるかもしれません。良くかめる歯は、生活の質の向上につながります。

生まれつき歯の本数が足りない、あるいは永久歯が生えてこなかった人の場合も、インプラント治療によって歯の機能を補うことが可能です。

 

治療部位のレントゲン写真とCT画像を専用ソフトウエアに取り込み、インプラント埋入位置や角度、深さなどを決める(写真提供: メイ先生)

Q. インプラント治療はどのような手順で行われますか?

A.

初めに、全身の健康状態や治療中の病気の有無を問診します。その結果、インプラント治療を安全に受けられることが確認できたら、口全体のレントゲンを撮影し、歯周病検査を行い、インプラントを埋める場所の骨の量と密度、かみ合わせ、歯茎の状態などを調べます。場合によってはコンピューター断層撮影(CT)検査を行い、神経や血管の位置などを確認します。

これらの情報を基に、治療の目的、予算、健康状態などを考慮した上で、インプラントの本数、埋入する位置と角度、深さ、治療期間などを含む治療計画を作成します。一言でインプラントといっても、種類が豊富にあるので、患者に応じて適切な長さや幅のものを選びます。

インプラントを1本埋める単純なケースでは、まず手術によって歯肉を切開し、歯を失った部分の顎骨にドリルで穴を開け、インプラントを埋入します。インプラントと骨が結合して安定するのを待ってから、インプラントの上にクラウン(被せ物)などの人工歯を装着します。治療部位や骨の状態にもよりますが、埋入したインプラントが安定するまで平均3カ月程度かかります。

治療部位の骨の量が不十分な場合は、骨を作る骨造成治療が必要になることがあります。抜歯の際、またはインプラント埋入手術の際に、抜歯後にできた穴に治療用の骨の粉末を入れ、骨形成を促します。

 

Q. インプラント治療前の準備とは?

A.

骨造成治療の他にも、虫歯や歯周病があれば治療しておきましょう。特に歯周病が原因で歯を失った人の場合、歯周病を起こしたのと同じ細菌がインプラント周囲の組織に感染し、再び炎症を起こす可能性があります。最悪の場合、インプラント周囲の骨が失われ、インプラントを支えきれなくなるかもしれません。

経済的または時間的制約から、事前にこれらの治療が難しい人もいるかもしれません。その場合も、治療部位周辺の歯と歯茎の問題だけは、最低でも治療しておくことを強くお勧めします。

やむなく後回しにした問題も、そのまま放置せず、悪化する前に治療を始めるようにしましょう。

治療部位の抜歯から何年も時間がたつと、隣の歯が傾いてくるなどして、インプラント埋入とクラウン装着の場所を十分に確保できなくなる場合もあります。そういうときは事前に隣の歯を動かす矯正治療をすることで、より良い結果を期待できます。

 

※次回はインプラント治療の例や、治療後のケアについてお聞きします。

シェリー・メイ先生
Sherry Mei, DDS

歯科医師(DDS=Doctor of Dental Surgery)。Implant & Cosmetic Pro-sthodontics院長。
ストーニーブルック大学歯科学校卒業後、ニューヨーク病院歯科補綴学・インプラントセンターで補綴歯科特別訓練、ニューヨーク・プレスビテリアン病院で研修修了。
虫歯治療、補綴歯科(クラウン、ブリッジなど)、歯科インプラント(インプラント埋入手術とクラウン装着)、審美歯科、インビザライン、根管治療などを手掛ける。

 

 

 

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol.1030

観なきゃソン!
全米オープンテニス

世界4大大会(グランドスラム)の一つとなる、全米オープンテニス。世界的に有名な選手たちの試合が間近で観れる、数少ない機会を利用し、ぜひコートへ観戦に行ってみよう。知っているようで意外と知らない!? お得な情報と共に、今回は大会の魅力を紹介していく。

 

Vol.1029

華麗にこなしてステップアップ
ジャピオン読者の出張事情

普段から慣れない米国で頑張る社会人にとって、見知らぬ土地でビジネスチャンスを決めるのはひと苦労。今号は、そんな読者をほんの少し手助けする特集です。

Vol.1028

まだ間に合うよ!屋外サマーイベント

いよいよ8月に突入!一年の中でもイベントの多い夏は、気軽に行ける屋外イベントが目白押し。「忙しくてまだどこにも行けていない」という人のために、今号は「演劇」、「映画」、「音楽」とジャンル別に分けて紹介していく。(文=音成映舞)

Vol.1027

大都会にも星はある

高層ビルと人であふれたニューヨーク、下ばかり見て歩いていない?野外にいる時間が長くなる夏こそ、夜空の美しさを楽しもう!今号は、ジャピオンがニューヨーク市内で天体観測にトライ。