2018/09/14発行 ジャピオン984号掲載記事

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禁煙の必要性と難しさ、効果的な方法と成功のコツなど、禁煙のイロハ+αを、内科医師の桑間雄一郎先生に聞いた。

「喫煙には二つの側面があります」と桑間先生は言う。一つはニコチン依存。ニコチンを体内に入れるとドーパミンという神経伝達物質が脳で分泌され、集中力が高まり、心も落ち着き、気持ちが良くなる。このようなニコチンの薬物作用に、依存するようになる。

もう一つは「条件反射」的側面だ。仕事休憩の一服、食後や飲酒中の一服を繰り返すうちに、「喫煙=休憩・幸福な時間」という連携が完成し、その行為のたびに体が条件反射的にタバコを欲するようになる。他に、バスを待っているときの一服は退屈しのぎ。イライラするときの一服はストレス解消。これらも条件反射だ。

ニコチン依存と条件反射は微妙にオーバーラップし、喫煙者がぶつかる禁煙への二重の壁となっている。

「その両方にアプローチして初めて禁煙に成功します。これがなかなか難しい。麻薬をやめるよりも困難だという研究報告もあるくらいです」

禁煙成功への方程式

薬物による「ニコチン対策」と、サポートグループなどによる「心的支援」が、禁煙成功へのカギだ。禁煙するとうつ症状が出たり、イライラしたりするので、精神科的管理が必要になる場合すらある。

桑間先生によると、禁煙治療の成功率が最も高いのが、処方箋薬の「チャンティックス」だ。薬がニコチンの作用をブロックする一方で、ニコチンと同様の刺激力も併せ持つ、二刀流の効果がある。

「有効成分が、体内にあるニコチン用受容体と合体します。その状態でタバコを吸っても、有効成分に邪魔をされ、吸ったときの喜びが感じられなくなるので、タバコが欲しくなくなります。有効成分は同時にニコチン受容体を適度に刺激してくれるので、ニコチン切れの禁断症状を和らげるのです」

ただ、チャンティックスは値段も高く、1日の薬代が20ドル近い。とはいえ、タバコも高いのだから長期的には安い買い物と捉えたい。

市販のニコチンパッチやガム(ニコレットなど)と、ある種の抗うつ剤を併用する方法などもある。電子タバコの安全性は議論の余地が残っているが、禁煙の第一段階として利用し、その後の禁煙治療の成功率を上げることも期待できる。

いずれの方法も、サポートグループへの参加は意義があると桑間先生は話す。いわばアルコール依存症者向け「AA(Alcohol Anonymous)」のタバコ版で、専門家による指導が受けられる他、同志と失敗談を話し合うことで、知識も得られ、モチベーションを維持することもできる。マウントサイナイの禁煙プログラム(※左上表参照)も成果を上げている。

喫煙リスクを認識せよ

禁煙への近道やコツはない。あえていうなら固い決意。「タバコの害から目を反らさず、きちんと認識し、リスクを理解することが禁煙の最重要要素です」と桑間先生は言う。脳卒中、心筋梗塞、肺がん、肺気腫、舌がん、喉頭がんなどはよく知られるが、腎臓がんや膀胱(ぼうこう)がんさえもタバコが発症リスクを上げる。

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お話を聞いた先生
桑間雄一郎先生
内科専門医師、東京
海上記念診療所院長東京海上記念診療所
Mount Sinai Beth Israel
Japanese Medical Practice
55 E. 34th St., 2nd Fl.
(bet. Park & Madison Aves.)
TEL: 212-889-2119禁煙プログラムを提供する
同系列病院

Mount Sinai St. Luke’s
TEL: 212-523-4410

Mount Sinai West
TEL: 212-523-3606
www.mountsinai.org

(サイト内で「smoking cessation」と検索)


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