2018/08/10発行 ジャピオン979号掲載記事


Pages:      

NY名物クラフトチョコのひみつ
魂と愛の工房をのぞく
Raaka

近年のニューヨークのクラフトチョコブームの一翼を担っている「ラーカ」の工房が、ブルックリンのレッドフックにある。倉庫だった建物を工房に改装し、一部の機械は1930年代のものを使用。古いもの、使えるものをうまく再利用するスピリットはブルックリンらしさを感じさせる。

「ラーカ」はチョコレートの原料となるカカオ豆をロースト(焙せん)しない「生」がウリで、豆の厳選からチョコ作りの全工程を一貫して自社で行う「ビーン・トゥ・バー」が特徴のブランド。「焙せんしないことで香りも食感も増すんだ」と、おいしさのひみつを誇らしげに語るのは、この日、工房のツアーで案内をしてくれたブランドマネジャーのウィリアム・ムランさん。「何でも聞いて」と朗らかだ。

工房ツアーでは主に四つの工程を見学できる。最初は豆の検品。「豆選びは重要。いろいろな種類のチョコに作るのに、どの農場から、どんな味の豆を使うのか、どの農園から仕入れるかも変わるんだ」と語りながら、麻袋に詰まった豆をボウルに開け、殻や石といった不純物を一つ一つ手作業で取り除く作業を見せてくれた。加工前の豆はどんな味なの?聞くと食べさせてくれた。苦い!でもおいしい!?

次は豆を砕いて練って液体状に。2日かけて装置でドロドロにすりつぶす。それを約80年使われてきた機械に注いで練り上げ、絹のような口当たりに仕上げる。すくってなめてみたくなるようなトロトロ感だ。

三つ目の工程で型に入れていく。見た目や食感を左右する大事な作業で、成形したチョコは箱で冷やして固める。光り輝く表面は宝石のようにキラキラ。

仕上げは包装。味ごとに異なる包み紙は、豆の原産国の地形や幾何学模様をイメージした柄で鮮やか。

「好きなだけ食べてね」と、最後は試食タイム。ブルックリン魂と愛情を一つ一つの工程にに注ぐ職人たちの姿を見ることができる、この45分のツアーでは、なぜクラフトチョコがニューヨークの名物になっているのかが見えてくる。

Tour_4_1_1

チョコの製造工程を説明するムランさん。カカオ豆のペーストを2日以上かけてゆっくり練り上げる
Tour_4_1_2

次々生産される鮮やかなパッケージの完成品

Raaka
64 Seabring St., Brooklyn, NY 11231
www.raakachocolate.com
・ツアーは土、日曜日の午後1時30分から。15ドル


ニューヨーカーが失ったものは?
屋上農園で知るNYの真実
Brooklyn Grange

イーストリバー沿い、ブルックリン・ネイビーヤードにあるビルの屋上には、約6万5000平方フィートの農場が広がっている。このルーフトップ農場は、非営利団体、ブルックリン・グランジが運営しているものだ。ここでは、毎週水曜日に、農園に関する解説付きツアーを行っている。

「ニューヨーカーは大地との接点を失った人が多すぎるわ」と、案内してくれたアナスタシア・コール・プラキアさんはツアー冒頭で語る。ブルックリン・グランジが運営するこの屋上農園では肥料にカカオ豆の廃棄殻を代用するなど、経済的かつ環境に配慮した農法を徹底して行っている。そうした農法に関するこだわりを聞けば、近年、ニューヨーカーが当たり前に持つようになった、「サステイナビリティー」という考えや、食物に対して抱く、「環境に配慮した栽培法」、そして、「地産地消」という意識は、緑なき都会で、「大地との接点」を求めることから来ているのがよく分かる。

ツアーでは、ヒマワリが咲き誇り、ハチがぶんぶんと飛ぶ畑の中を1時間ほどかけて、農法や植物の説明を聞きながら歩き回る。さっきまでいた、遠くビル群がかすむマンハッタンとはまるで別世界だ。

トマトやケール、ナスなど数十種類が植わり、時期ごとに異なる。この日は食用ホオズキが食べごろ。その場で摘んで「どうぞ」と手渡される。少し硬く、かみつぶすと甘い味が口いっぱいに広がる。ジューシー!おいしい!

シシトウももぎ取った。「中には激辛のもあるわ」といたずらっぽく笑うアナスタシアさん、促されるまま頬張る。セーフ。さほど辛くなかった。自然と笑えた。こうした収穫物は市内の著名なレストランなどに直接販売している。

「このぼうぼうの雑草を見てよ。でも、それが自然なの」といって円満の微笑み。

染め物やヨガ、フラワーアレンジメントのワークショップなども不定期で開催し、人気を集めている。
ここは、ニューヨーカーが求めるものがそろっった場所だ。

Tour_4_2_1

ビルの屋上で日光をいっぱいに浴びる農園。しばし大都会ニューヨークにいることを忘れる
Tour_4_2_2

農園からはマンハッタンの摩天楼が望める

Brooklyn Grange
63 Flushing Ave., Brooklyn, NY 11205
www.brooklyngrangefarm.com
・ツアーは水曜日の午前10時、11時30分に実施。15ドル


Pages:      

過去の特集

NYジャピオン 1分動画


ただいま配布中発行

巻頭特集
「ニューヨークの家賃は学区で決まる」。そうささ...

   
Back Issue 9/14/2018~
Back Issue ~9/7/2018
利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント