2018/06/22発行 ジャピオン972号掲載記事


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ジョージは
こんな人だった?

今回、何度も登場するジョージ・ワシントン(1732〜99年)の人物紹介を改めてしておこう。ジョージは、バージニア州の中規模農園主の息子として生まれた。有名な「お父さん、桜の枝を折ったのは私です!」という逸話は、どうやら作り話らしいが、それくらい正直で清廉潔白な人柄だったことは間違いない。

比類なき統率力
青年期は、得意の測量技術を駆使して自らの農場の経営拡大に尽力するも、バージニアの副総督ディンウッディに見込まれ、民兵隊長に抜てきされる。当時オハイオ州に進出していたフランス軍の情報収集に奔走し、やがてフレンチ・インディアン戦争では、前線で正面からフランス軍と戦った。

身の丈188センチの大男ジョージは、撤退中でも常に冷静さを失わず、その指導統率力は配下から厚く信頼された。この戦争でフランスのオハイオ進出を食い止め、英雄と目されるが、潔く軍服を脱ぎ、妻マーサの連れ子たちを立派に育て、16年間は家業の農場経営に専念した。ビジネスマンとしても才覚があったようで、この間、資産を倍増させている。

69年以後、英国の圧政で我慢の限界に達したバージニア他植民地の人々が、地域の名士、ジョージに再び指導力を求めたのは、ごく当然の流れだった。ジョージは、英国製品不買運動を積極的に支援し、植民地各州を統合する、大陸会議の舵取りもした。レキシントン・コンコードの戦いに勝利後は、再び軍服に身を包み、総司令官として戦争に復帰した。

ジョージゆかりの居酒屋
そんなワシントンの人生や人柄に触れたかったら、3ページでも登場したローアーマンハッタンに残るフラウンセーズ・タバーンを訪ねるといい。

1719年創業。元は英王室御用達のニューヨーク最古の居酒屋。ジョージは同店と料理をたいそう気に入っていて、ニューヨーク防衛線の時に作戦本部として使った他、停戦時には英国との交渉や部下との別れの晩さんにも使用している。

今でも1階のレストランでは、ジョージの好物(?)だったといわれるフィッシュ&チップスとチキンポットパイが味わえる他、古色蒼然(そうぜん)のバーでは、彼らが酌み交わしたと思しきものに一番近い、昔ながらのビールが飲める。

2階は別団体の管理する博物館。別れの晩さんや作戦会議を開いた「ロングルーム」をはじめ、ジョージゆかりの品々が多数飾られている。部下に当てた直筆の手紙からは実直な性格がにじむし、本人の毛髪まで展示されている。

中でも興味深いのはジョージの入れ歯だ。初代大統領はどうしたわけか、歯が抜け落ちてほとんどなく、亡くなるまでいくつもの入れ歯を作ったそうだ。戦争の功績がありながら権力には全く執着がなく、大統領の座も決して自分からは望まなかったジョージ。肖像画がいつも唇を真一文字に結んでいるのは、「そういうわけだったのか」と納得する。

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フラウンセーズ・タバーン博物館に飾られているジョージの肖像画

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博物館に展示されているジョージの毛髪

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1階のレストランでは、チキンポットパイなどジョージの好物(?)が食べられる

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合衆国建国の父、ジョージ・ワシントンを称える銅像やレリーフは、ニューヨーク市内各所で見つけることができる。ジョージを探して街を巡ってみよう。
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①ジョージ(銅像)@Federal Hall
初代大統領就任式が行われたフェデラルホール正面のジョージは、彫刻家、ジョン・クインシー・アダムス・ワードによる1883年制作のブロンズ製。就任式でジョージが立った場所に設置されている。

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②ジョージ(レリーフ)@Federal Hall
首都フィラデルフィアを英国軍に占拠されたため撤退した大陸軍が駐屯した、バレーフォージで祈りを捧げるジョージのレリーフ。ジェームス・E・ケリーによる1904年の作品。

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③ジョージ@Union Sq.
ユニオンスクエアの中央にいるジョージの騎馬像は、彫刻家、ヘンリー・カーク・ブラウンの手によるもの。1865年制作で、市立公園にある彫刻の中でもっとも古い。

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④⑤ジョージ@WashingtonSq. Park
ジョージの名を冠した公園には、就任100年を記念して建築された凱旋門がある。この凱旋門の柱には、④大陸軍総司令官の姿と⑤大統領の姿の2人のジョージがいる。総司令官像(1916年完成)はハーマン・アトキンス・マクニール、大統領像(1918年完成)はアレクサンダー・スターリング・カルダーと別々の作者の手によるもの。

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⑥ジョージ@ContinentalArmy Plaza
ウィリアムズバーグ•ブリッジのたもとにある、コンチネンタル・アーミー・プラザにあるのは、バレーフォージの際の騎馬像のジョージ。ヘンリー・シュレイディーの手によるもので、1906年完成。


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