2018/05/11発行 ジャピオン966号掲載記事


Pages:      

投資について教えて!
資産運用にもいろいろあるが、ここではさまざま投資についてそのジャンルの専門家に話を聞いた。
株式投資は5年以上先を見る
堀古英司さん

 
Q資金運用する前に考えることは?
A株式投資は5年以上先を考えてやるもの、つまり5年以上使う予定がないお金で行うものと考えてください。短期間のうちに必要となる可能性があるお金を使ってやるものではありません。

ただそう言っているとなかなか株式投資を始められないと思います。そして多くの方が「いざという時のために」と現預金のまま置いていると思います。まず、「いざという時のため」と「株式投資に回す」お金の分別をしてください。

実際には多くの方にとって「いざという時のためのお金」はそれほど必要ではないはずです。というのは自分が死んで家族が残される、災害で家を失う、事故で莫大な賠償金を払う、といったリスクは保険で解決できる問題で、全て現預金でこれらに備えておく必要はないからです。なお保険は一番安価な掛け捨て型のものを選ぶべきです。

現在、米国の株式投資によって期待できる長期的な平均年率リターンは7〜8%です。逆に言えば、現預金のまま保有していることは相対的に7〜8%の金利を失っている状態で、もったいないと思います。 そうした作業を行えば、「いざ」ではない、長期の運用に回せるお金が算出できるはずです。人生100歳時代ですから将来に備えて、できるだけ早く株式投資を始めることをおすすめします。
 
Q米国株を買う利点は?
A日米は今後10年、20年で経済格差が拡大すると考えています。人口動態を見ると日本は年間約0・2%の減少、米国は約0・7〜0・8%の増加が予測されています。それだけでも経済成長率で年間1%近い差につながります。株式の上昇には長期的な経済成長率が一番重要ですし、経済が強くないと金利が引き上げられないので、将来日米の金利差はかなり拡大し、為替市場ではドル高円安が進むと思います。そうした将来を見据えて米国株に投資し、老後に備えるというのは理にかなっている方法です。
 
Q初心者が注意することは?
A株式投資は初心者には難しい部分も多いので、自分の状況に合ったものを見出すにはプロのアドバイスを受けることをおすすめします。

多くの金融機関での相談は無料ですが、それは自社の金融商品を販売することが目的で、結局かなり高くつくことになるのでおすすめできません。これをコンフリクト・オブ・インタレスト(利益相反)と言います。相談料を払いたくないという人も多いと思いますが、独立したアドバイザーに1時間でもいいので相談料を払い、最初のアドバイスを受けていただきたいです。自分の情報をきちんと伝えれば、プロのアドバイザーなら最初の金融機関や商品の選択をはじめ、的確な助言がもらえるはずです。

またメディアの報道はその性質上(購読者数やクリック数を増やすため)、悲観的なものが多い。その傾向を分かって読むならいいのですが、長期的な運用を考えて決めたのに、一時的な情報に動揺し、途中でやめてしまうのは非常にもったいない。大切なのは最初にきっちり運用金額を決めて、あとは時間が経つのを待つだけ、というスタンスです。



堀古英司さん
投資顧問会社、ホリコ・キャピタル・マネジメントLLC最高運用責任者。解説者としてメディアに多数出演。著書に「リスクを取らないリスク」。QUAで「経済ミラクスキャッチ」連載中。
www.horikocapital.com
 


不動産投資は特徴を知ることから
大石究さん

 
Q不動産投資を始める前にまず考えることは?
Aこちらに住んでいる人ならば資産形成や相続対策なのか、日本からの投資であれば、日本に持つ資産以外の資産分散なのか、あるいは節税目的なのか、何のための不動産投資なのかをはっきりさせることです。

ただ漠然と「投資物件を買いたい」と言ってくる人も多いのですが、目的によって、どういう物件を紹介したらいいのか変わってきます。

ニューヨークの物件は価格が下がりにくいので10年、20年で価値が上がる可能性はあります。ですが税金も管理費もかかりますし、住宅ローンを借りるとなると、収入がほとんど上がらない状態で不動産を持ち続けることになります。

それで5年、10年後の値上がりだけを期待することになる可能性はあるので、そこは購入者自身がしっかり見極めなければいけない部分です。
 
Q日本人にとって注意するべきことは?
A例えば、物件を賃貸するよりも買った方がいいと判断して買ったとしましょう。それで5年後に帰国するとなった場合、将来価値が上がることを見越して、売らずに貸したいとなると投資になるわけです。こちらにいながら投資物件を購入して貸す場合も同様ですが、その場合はメンテナンスからプロパティーマネジメント、テナント探し、契約まで自分でやることは難しい。まして帰国して海外にいる場合は、弊社のようにそうした業務を請け負う不動産会社に運営を依頼する必要がでてきますので、そこまでしっかり考えることが大切です。
 
Qニューヨークは物件の値段が下がりにくいことで、不動産投資を考える人が多いとよく聞きます。
A世界最大の都市でありながら、流通する物件数が少ないので、供給が足らず、希少性が高いためだと思います。

また日本と米国では物件の減価償却の仕組みが違います。日本では新築で購入したときからの償却期間が決まっていて、経年で建物の価値は限りなくゼロに近づいていきます。ですが米国では中古でも購入した時点から償却が始まる。ですからこちらでは築50、100年という戸建てもしっかりと残っているわけです。日本から投資物件を買うと利益となるのは、そうした理由からです。

他の投資と違う点でいうと、例えば50万ドルあったら、その価格の物件を買うこともできますが、その資金を利用し、借り入をすれば、より大きな不動産を購入でき、大きな資産が作れる可能性があるのが特徴だと言えます。

ただ当地では、ここ10年で物件価格が高騰して、ポンとすぐ買えるものではなくなっています。お金をどういう風に使うのかとういのも、さまざまな運用方法があります。それぞれをよく検討し、不動産投資の特徴をしっかりと知った上で選ぶのがいいと思います。そして最初に言ったように目的をしっかり考えた上で自分に適した物件を購入してください。ただ、その時々で状況も変わっていきますから、最初の目的がしっかりしていれば、出口の目的が変わっても大きな損害にはならないと思います。
 



大石究(きわむ)さん
住友不動産販売NY社長。同社はニューヨーク州と近郊を中心に不動産投資物件の売買仲介・管理、オフィス・店舗探しなど幅広い業務を行なっている。
www.sumitomo-ny.com
 


Pages:      

過去の特集

NYジャピオン 1分動画


ただいま配布中発行

巻頭特集
「ニューヨークの家賃は学区で決まる」。そうささ...

   
Back Issue 9/14/2018~
Back Issue ~9/7/2018
利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント