2018/04/27発行 ジャピオン964号掲載記事

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バスで知るNYC
走るコミュニティー

長年ニューヨークに住んでいても「バスは苦手」「バスは使わない」という読者は多いはず。地下鉄と比べると時間がかかるし、乗降車のタイミングが分かりにくいなど難点は確かにあるが、要領さえ覚えれば便利この上ない。

基本をおさらいしておこう。ニューヨークの市バスは、地下鉄と同様、ニューヨーク州の交通公社、MTA(MetropolitanTrans- portation Authority)が運営しており、路線総数は322系統。運行台数約5700で、米国の都市では最大。1日の平均利用客数は、平日約200万人、週末(土、日合計)は約210万人といわれ(すべて2016年のデータ)、MTAバスは市民生活に欠かせぬ存在であることが分かる。

料金は乗車距離のいかんに関わらず1回2ドル75セント(地下鉄駅で購入可能なシングルライドチケットは3ドル)。65歳以上のシニアは割引で1ドル35セントだ。メトロカード、あるいは、現金の場合はコインのみで支払う。他路線や地下鉄へ(から)の乗り継ぎも、最初の乗車から2時間以内なら同料金内で可能なので、地下鉄の便が悪い場所への移動手段としては便利。

さあ、乗ってみよう
バス利用の際は地下鉄のチケットブースでもらえる無料の区(Borough)別のバスマップを手引きにするといい。目的地とルートをマップで確認したら、最寄りのバス停で系統名を確かめて、待つ。最近では「あと何分で到着」の電光表示を備えた停留所も増えたし、待ち時間を教えてくれるテキストメッセージを使ったサービスやスマホのアプリ(MTABus Time)もあるので、さほどイライラしない。

乗るのは簡単で運転手との会話も不要だが、降り方が分かりにくい。車内アナウンスはなく、停留所表記どころか停留所の名前さえないのが通常。したがって、目的地に近づいたら目視で停留所の接近を確認して降車ボタンを押すか、窓際に渡っている「ひも」を引くと、「次停車します」の表示が出る。後方ドアからの降車は、初めてだとドアが開けづらくパニックになるが、黄色でマークされた部分を軽く押せば、電動で開く仕掛けだ。

NYらしい乗り物
こうした細かいコツがどこにも書いていないために、バスは「排他的」な印象があるが、乗員乗客ともに意地悪なわけではなく、尋ねれば親切に教えてくれる。むしろ、そうした会話や助け合いが自然に発生するのがバスの良さだ。

地下鉄よりさらに小さな空間に年齢性別を超えたさまざまな人種がひしめくのはニューヨークならでは。スマホを落とせば拾ってくれるし、車椅子の客が乗る時は、運転手がハンドルを離れスロープを出し、車椅子を所定の位置に固定する。その間、他の客は嫌な顔一つしないで淡々と待つ。下校中の高校生が騒ぐと、大人がすかさず注意するし、英語の不自由な人が困っていると必ず誰かが助け舟を出す。後方ドアが運転手の不手際で早く閉まろうものなら乗客一斉に「Backdoor!」の大合唱。まさに「走る運命共同体」。バスほど人間味のある乗り物はない。

そして何より窓からの眺めで、街中の様子、その変化を感じられる。地下鉄にはない数々の魅力が、真のニューヨーカーがバスを愛する理由なのだ。



圧縮天然ガス(CNG)車。ニューフライヤー社製で、2011〜13年導入のC40LFは現役で最多の車両


ニューフライヤー社の2017年以降導入のXcelsiorシリーズの一つ、CNG車のXN40。ワイファイ、USB付き


ノバ・バス社のディーゼル車LFSArticは、セレクトバスで最も使われている車両。2011〜13年に導入された


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