2018/02/23発行 ジャピオン955号掲載記事


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不思議な幻想の世界へようこそ ⅼ 魔笛

 オーストリア人作曲家モーツァルトの「五大オペラ」の中で、最後に作られたのが「魔笛」だ。庶民向けに作られた作品ということもあり、分かりやすく話の強弱が付けてあるので、初心者でも展開についていきやすい。

 王子タミーノ(テノール)が、夜の女王(ソプラノ)から娘のパミーナ(ソプラノ)の救出を頼まれ、鳥刺し男のパパゲーノ(バリトン)と共に奮闘するという冒険活劇だが、途中で正義と悪が逆転するというユニークな構成になっている。

 主人公を襲う大蛇、キーアイテムとなる魔法の笛、夜の女王と敵対する神官ザラストロ(バリトン)より与えられる試練など、ファンタジー好きならワクワクさせられるエピソード満載。

 また作中で年代や舞台の明確な言及がないので、衣装や舞台装置は自由な想像力から生まれた、幻想的なものが多い。特にコミカルな動きが目立つパパゲーノは、全身羽に包まれたカラフルな衣装で、鳥かご片手のユニークな姿。同作のアイコン的存在だ。

 有名曲は、ハイレベルな歌唱力が求められる「夜の女王のアリア」(作中で2曲あり、どちらも有名)や、陽気でのんびりとした「おいらは鳥刺し」など。ドイツ語の強弱はっきりした、ダイナミックな音のリズムとともに楽しみたい。


とある屋敷のドタバタラブコメ ⅼ フィガロの結婚

 モーツァルトの「五大オペラ」の中でもう一つ人気の「フィガロの結婚」は、「魔笛」と違いイタリア語で書かれた作品。「フィガロ三部作」の一つで、戯曲「セビリアの理髪師」(ロッシーニがオペラ化)の続編にあたるが、前作を知らなくても楽しめる。貴族社会を痛烈に風刺した作品でもあり、完成当時は度々上演禁止になったとか。

 貴族の家臣フィガロ(バス)と恋人のスザンナ(ソプラノ)の結婚式をめぐり、スザンナを狙うフィガロの主人アルマビーバ伯爵(バリトン)、夫の浮気癖に悩む伯爵夫人(ソプラノ)、思春期の使用人ケルビーノ(メゾソプラノ)などが騒動を巻き起こす、ドタバタコメディー。

 たった1日の出来事を描いているのだが、複数の登場人物の思惑が絡んだ、濃厚なシナリオとなっている。最後は華麗なハッピーエンドが待っているで、鑑賞後に爽やかな気分に浸りたい時にぴったりの作品だ。

 開幕一発目の「序曲」はモーツァルト作品の中でも群を抜いた知名度を誇り、初心者も盛り上がれること請け合い。ケルビーノのソプラノアリア「恋とはどんなものかしら」も有名。

 ちなみに続編には「罪ある母」(ミヨーがオペラ化)があるが、こちらでは事態はさらに混迷化。フィガロの苦難は続く。

 

 

・New York City Opera
1943年に、音楽を愛する当時のニューヨーク市長フィオレロ・ラガーディアによって創立された。合言葉は「人々のオペラ(People’sOpera)」。より多くの人々にオペラを知ってほしいという思いから、チケットの最低料金を、当時としては破格の20ドルに設定するなどして市民に愛されたが、2013年に倒産。2016年に新体制のもと、プッチーニの名作「トスカ」を上演し、復活した。コロンバスサークルとハーレムの2カ所で公演を行う。2017〜18年シーズンは、イタリア人作曲家ドニゼッティーのオペラ2作や、映画「ブロークバック・マウンテン」をオペラ化した舞台のアメリカプレミア公演を予定。(www.nycopera.com)


・Center for Contemporary Opera
1982年に創立された現代オペラ専門のカンパニーで、主に第二次世界大戦以降にアメリカで制作された作品を上演する。年間で最低でも1作のフルプロダクション(舞台演出や衣装、オーケストラ演奏など生公演の要素を全て備えた作品)を上演する他、ヨーロッパなどへ遠征も行っている。2017〜18年シーズンは、病の父を持つ女性歌手の苦悩を描いた「Swan’sInlet」や、フランスの現代作曲家パスカル・デュサパンの作品「ToBeSung」などを予定。(www.centerforcontemporaryopera.org)


・Heartbeat Opera
奇抜な衣装や演出が話題のカンパニーで、2014年創立。ニューヨークの地元アーティストとコラボレーションして、古典作品に大胆なアレンジを加えることで、全く新しい舞台を生み出している。例えば、もともと2時間20分ほどある「蝶々夫人」は大胆にも100分に再編成し、「カルメン」はサックスなどを取り入れたジャズスタイルのアンサンブル公演にした。今年5月にバルーク大学でスプリングフェスティバルを開催し、モーツァルトの「ドン・ジョバンニ」やベートーベン唯一のオペラ作品「フィデリオ」の公演を予定。(www.heartbeatopera.org)


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