2018/02/23発行 ジャピオン955号掲載記事


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人気4演目の
解説付き

オペラってこんなに種類豊富!

全米のオペラカンパニーをつなぐ協会「オペラアメリカ」のパトリシアさんに、オペラのさまざまなアレンジと進化、そして観て損なしの不朽の人気演目トップ4を聞いた。

 METを含む北米・カナダの約145のプロのカンパニーや、オペラ俳優らが加盟するのが、オペラの支援団体「オペラアメリカ」。俳優のオーディションや公演プロデュース、さらに世間一般に向けたPR活動なども手掛ける。

 「特にニューヨークはMETがいるので、きらびやかな劇場での大規模な舞台のイメージが強いと思いますが、それだけが全てではありません」と、同協会マーケティング&コミュニケーションディレクターのパトリシア・キアーマン・ジョンソンさんは話す。

 同じ作品で変わらないのは基本的に楽曲だけで、衣装や舞台装置、さらに出演者の数などは、カンパニーによって思い思いのアレンジが加えられる。中世ヨーロッパが舞台の作品を現代アメリカに置き換え、Tシャツ姿の俳優が出てきたり、伝統的な演出に大胆な解釈を加えて独自化させたりと、演出家の数だけ作品がある。

 「元々オペラハウスで演じられていた作品を、バーの一角で、数人だけで演じるカンパニーもあります。オペラは場所を選ばないんですよ」とパトリシアさん

パトリシア・キアーマン・ジョンソンさん

「オペラアメリカ」マーケティング&コミュニケーションディレクター。同協会はオペラ業界関係者向けに、年に数回カンファレンスなども開催している。(330 7th Ave., 7th Fl./www.operaamerica.org)

現代娯楽もオペラ化

 名だたる作曲家が作った古典作品はいつも期待を裏切らないが、同時に新たに制作された、現代作品も見逃せない。

 例えば2000年にサンフランシスコ・オペラが制作した「デッドマン・ウオーキング」は、映画化された同名の人気小説(1993年刊行)をオペラ化したもの。現代の刑務所が舞台となり、台詞は英語。オーケストラ音楽を乗せると、どのような世界観に変わるのかに注目してほしい。

 テクノロジーの発達も、オペラの表現の幅を広げている。

 「私が個人的に好きなのは、2010年にダラスオペラが初演を行った『モビー・ディック』。あの同名小説のオペラ化です」とパトリシアさん。「限られた舞台スペースで『船の上』をどう表現するかが鍵となります。同カンパニーはプロジェクターで甲板の映像を舞台に投影し、リアルな演出を行いました」。

 荒れ狂う海や船上を走り回る人々を描く様子がダイナミックで、観客も思わず息をのんだという。

外れない名作はこれ!

 オペラ初心者にオススメしたい作品として、パトリシアさんは「やはり知っている曲があるオペラは盛り上がりますよね」と話す。同協会が2016〜17シーズンで統計を取った、全米上演回数トップ4の作品を教えてくれた。

 次項より、各演目のあらすじと見どころをチェックする。


大胆で華やかな人気作 ⅼ カルメン

 フランス人作曲家ビゼーの代表作であり、北米でのオペラの上演回数ランキングでは不動の1位を誇るという、人気作品が「カルメン」。物語の舞台はスペインだが、楽曲はフランス語で書かれている。

 自由奔放に生きる魅惑のロマ族の娘、カルメン(ソプラノ)と、彼女に運命を狂わされる真面目な衛兵伍長、ドン・ホセ(テノール)を中心に展開される恋愛劇だ。自分の欲望に正直で大胆、かつ魅惑的なカルメンのキャラクターが、観衆の心をつかんで離さない。

 最終的にカルメンとドン・ホセは結ばれず、カルメンは死んでしまう悲劇の物語だが、タンゴのリズムを取り入れた躍動的でリズミカルな楽曲、官能的なカルメンの衣装などが鮮やかで、全体的に情熱的で華やかな作品だ。また群衆が出演するシーンが非常に多く、舞台のにぎやかさも見どころの一つ。

 その知名度の高さゆえ、作中の曲がテレビコマーシャルなどで広く使われていて、オペラファンでなくとも楽曲になじみがあるのが特徴。

 オープニングの「第1幕への前奏曲」はもちろん、アリア「ハバネラ『恋は野の鳥』」や、ドン・ホセの恋敵エスカミーリョ(バリトン)の歌う「闘牛士の歌」などは、曲名は知らずとも絶対に聞いたことがあるはずだ。


明治初期の長崎が舞台 ⅼ 蝶々夫人

 イタリア人作曲家プッチーニ作の悲恋ストーリー「蝶々夫人」は、を題材にした作品。ブロードウェーミュージカルの「ミス・サイゴン」は、このオペラを物語をベースにし、舞台を日本の長崎からベトナムのサイゴン(現ホーチミン)に置き換えたものだ。

 15歳の芸者・蝶々さん(ソプラノ)がアメリカ海軍士官ピンカートン(テノール)と見合いの末、結婚。授かった息子と共に彼の再来日を待ち続けるが、長崎に戻って来たピンカートンには、すでに別の妻が。最終的に蝶々さんは自害するという壮絶なストーリーだ。全体的に憂いを帯びたシリアスな局面が続くが、時にはコミカルな楽曲も挟まれており、観客を飽きさせない。

 目まぐるしく場面展開が行われ、100人規模の大コーラス隊が舞台に勢ぞろいする作品がある一方、「蝶々夫人」はストーリーのほとんどが蝶々さんとピンカートンの屋敷で展開され、名前のあるキャラクターも10人以下という、オペラとしては小規模な構成となっている。

 その分、蝶々さんが終始舞台に立ち続け、名曲「ある晴れた日に」をはじめとしたソロ曲を数多く担当する。ソプラノの技量が試される作品ともいえよう。

 また「さくらさくら」など日本の民謡も取り入れられているので要注目。


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