2018/01/26発行 ジャピオン951号掲載記事


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豪邸で味わうデザイン魂
クーパー・ヒューイット博物館

 メジャーな博物館が並び立つミュージアムマイルと呼ばれる5番街の一角にある、ひときわ目を引く豪華な建物が「クーパー・ヒューイット・スミソニアン・デザイン博物館」。歴史と最先端のデザイン双方をテーマに掲げる、全米でも唯一の博物館だ。

 英国ジョージアン様式の豪邸は鉄鋼王、アンドリュー・カーネギーが20世紀初頭に邸宅として建てたもので、外観、内装共に力強くも温かみがある。邸宅の地下から地上2階までが展示スペースで、博物館の規模としてはやや小ぶり。だがデザインの変遷を語る展示品は食器や椅子、宝飾品、レコードジャケット、ポスターなどと幅広く、かつ最新のデザインに関する展示では、各部屋ごとにテーブル式のタッチパネルが置かれ、例えば模様や椅子などを自分でもコンピューターグラフィックでデザインできるといった仕掛けも充実している。

 さらには5〜12歳向けの「デザインキッズ」というプログラムでは、現代ビジネスでも重要視される「デザイン思考」の基礎を教えるという徹底ぶりだ。

 現在の特別展「アクセス+アビリティー」も興味深い。体や感覚に障害を持つ人のサポートに、デザインがいかに有効に使われているか分かる。「子供から大人まで、またプロのデザイナーにもインスピレーションを与えています」と語る同館コミュニケーションディレクターのハンナ・ホルデンさんの言葉にも納得だ。

 エキサイティングな展示と邸宅の持つ温かみを同時に味わえる稀有な空間は、おすすめの隠れた宝だ。

デザインの歴史と最先端のデザインをテーマにした博物館は、カーネギー旧宅をそのまま使っている

特別展「Access + Ability」の展示

 

Cooper Hewitt Smithsonian Design Museum
2 E. 91st St.
(at 5th Ave.)
www.cooperhewitt.org
入場料:一般16ドル、18歳以下無料


ここは大人のオモチャ箱
セックス博物館

 「性」のテーマに真面目に取り組む専門博物館。1階のショップだけで満足して帰る人が多いが、2階のセンスあふれる展示もしっかり見てもらいたい。

 同館の志を知るには「ObjectXXX」と題するコーナーが推奨。性文学、セックス映画、写真資料、性具など2万点以上から選りすぐられた品々が並ぶ。どれも視覚的に美しくアートの域。フェティシズムとファッションの関係に興味がある人には、デザイナー、ザナ・ベインの作品展がオススメ。また現在公開中のVR展示「天に昇る肉体」は、特殊マスクを装着して仮想セックスを体感する。いずれも、性をポジティブに捉えた展示で、清潔感があって健康的。入場は18歳以上。

Museum of Sex
233 5th Ave.
(bet. 27th & 28th Sts.)
www.museumofsex.com
入場料:17ドル50セント〜


400年をぎゅっと
NY市博物館

 1923年に私立博物館として開館した「ミュージアム・オブ・ザ・シティー・オブ・ニューヨーク」。知名度は低めだが、印刷物や芸術作品、衣料品を含めたニューヨーク市の歴史にフォーカスした資料を、実に75万点以上所蔵している。

 2016年11月にオープンした常設展示「New York at Its Core」は、プロジェクターや最新映像技術を駆使した、近未来的な演出が評判の注目コーナー。ここではオランダ人が入植してから今日に至るまでの400年間に起こった、市内の繁栄や闘争、発明の歴史をダイジェスト形式で紹介する。街の成長速度と歴史的イベントの多さに、改めて驚かされること間違いなし。

Museum of the City of New York
1220 5th Ave.
(bet. 103rd & 104th Sts.)
www.mcny.org
入場料:一般18ドル、19歳以下無料

 

 ミッドタウンに誕生するニューヨークで一番新しい博物館が「スパイスケープ」、つまりはスパイ博物館。現在、2月初旬の入場券がオンラインで購入可能だ。
 「スパイ」と聞いて007を想起するのは過去の話。今やエドワード・スノーデンやロシアンゲートが話題の中心だ。そんなサイバー時代のスパイ活動を一挙に展示・公開するのが同館の目的。

 普段、知ったつもりになっている「ハッカー」「サイバーテロ」「サイバーセキュリティー」といった概念も懇切丁寧に教えてくれる。最新の暗号解読法とは何だろう?ハッキングを通して政治活動するにはどうしたらいい?インターネットでどのくらい調査報道ができるのか?などの素朴な疑問にも答えてくれるはずだ。

 コンピューター技術や国家情報はあまねく国民に開示されるべきもので、国民はいかなる手段を使ってでもそれを手に入れる権利がある、というのが同館の主張。ある意味とてもアメリカらしい公正さに根ざしている。「権力よ、偉い人よ、隠し切れると思ったら、大間違いよ」とでも言いたげな、ネット時代の庶民のしたたかさが感じられる博物館だ。

 展示やプロデュースには、ワシントンDCのアフリカンアメリカン博物館を手掛けた世界トップクラスのクリエーターたちが参画。監修担当は著名諜報機関の元幹部だという。クオリティーの高さも折り紙付きといえよう。

 

SPYSCAPE
928 8th Ave. (bet. 54th & 55th Sts.)
www.spyscape.com


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