2017/12/15発行 ジャピオン946号掲載記事


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ブルックリンで再燃!
未知のスポーツに挑戦
ロイヤル・パームズ

 ブルックリンのゴワナス地区は、ゴワナス運河沿いの旧工場地帯だが、最近とみに開発が進み、ヒップな若者が続々移り住んできた。今この地域で人気沸騰中の夜遊びがシャフルボードだ。そもそもはクルーズ客船の甲板で行われる体に負担のないスポーツで、フロリダでは引退者コミュニティーなどを中心に100年以上も前から盛んに楽しまれてきた。

 日本人になじみが薄いのは当然としても、激しいスポーツを好むニューヨーカーも長年、歯牙にもかけなかった。ところが、ジョナサンさんとアシュリーさん(ともにフロリダ出身)のオーナーコンビが3年前に、バーを併設した10コートのシャフルボード場を旧倉庫に開設すると、たちまち人が集まるようになった。

 「シャフルボードは老若男女誰でも楽しめるからいいのよ。お客さんたちを見て。誰一人スマホを使ってないでしょ?それくらい夢中になれるの」と熱く語るのはアシュリーさん。「何がそんなに面白いの?」「百聞は『一遊』にしかず。とにかくやってみて」と、促されるままにコースに出る。

 ルールはいたって単純。先端がコの字状のキューで円盤(ディスク)を押し出し(「シュート」という)、コース前方のダイアグラム(得点盤)内(線上はアウト)に到達させて点数を競い合う、ボーリングとカーリングを合わせたような競技だ。1対1、または2対2で対戦。先攻が黄色、後攻が黒のディスクを交互に4枚ずつシュートすると1フレームが完了。これを2回繰り返すとラウンドとなり、さらにラウンドを繰り返してゲームとなる。

 コースは潤滑剤でツルツルに磨かれているのでディスクはよく滑る。長いキューを操り、ディスクを送り出し、かつコース上にあるディスクに当てる感じはビリヤードに似ている。力の加減で暴走するから、慎重に狙いを定める。ここぞのタイミングで押し込む緊張感はゴルフのパットに近い。

 なりふり構わずの第1投は、ビギナーズラックで見事ダイアグラム内に収まる。得点7。「うまいじゃない!センスいいわよ」とアシュリーさんの甘言。言ったそばから自分のショットは、わが黄色ディスクを直撃。無慈悲にダイアグラムからはじき出して、ゲームはふり出しに。この瞬間、悔悟のアドレナリンが急激に分泌し、復讐心に苛まれる。予想通り、メンタルの乱れで第2〜4投はことごとく外れ、手堅く8点をゲットしたアシュリーさんにフレームを取られる。思わず口をついたのが「もうひと勝負!」。ハマる理由が分かった。

フロリダを意識した南国的な雰囲気の中、ヒップスターたちがプレーしている。フルバーも完備

ダイアグラムにピタリとディスクが入る快感が尾をひく。同店は計10本のシャフルボード「コース」を備える

 
 
 
The Royal Palms
Shuffleboard Club
514 Union St.
Brooklyn, NY 11215
www.royalpalmsshuffle.com


 

おしゃれ&知的な酒場で
ローマ帝国の「玉遊び」
ユニオン・ホール

 アイビーリーグ校など一流大学は、マンハッタンの一等地に同窓会館を持っている。たいがい格式のある建築でライブラリーやラウンジがあって、優雅にビリヤードする男たちを尻目にバーでは紳士淑女がマティーニを傾けている。憧れの外国小説に出てきそうなオトナの風景だが、一流大の卒業生でないと、この特権は味わえない。

 ところが、「世界一気取った街」と揶揄(やゆ)されるブルックリンのパークスロープには、そんな同窓会館をもしのぐ知的な酒場がある。その名はユニオン・ホール。倉庫のようなだだっ広い空間に入ると、天井はブルックリン伝統の模様入りティン(ブリキ)シーリング。壁面は本棚で埋め尽くされ、赤々と燃える暖炉の前には革張り椅子とソファがゆったりと配置されている。いわくありげな長大なバーで迷わずブルックリンの地ビール「シックスポイント」を注文。酒もつまみも値段は手頃だ。

 地下には音楽やコメディーのステージもあるし、「ピュリツァー賞受賞者を囲むトークの会」みたいなハイセンスなイベントも主催している。どうやらコミュニティーの文化会館的な存在らしい。ただし、このユニオン・ホールを一躍有名にしたのは、店内中央にあるボッチボール場だ。

 ボッチボールとはイタリア伝統の大衆球戯。起源はローマ帝国までさかのぼるとか。土を敷いた長いレーンに「パリーノ」と呼ばれる白い小さな玉を置き、それを標的にソフトボール大の重い玉を転がす。玉をパリーノに最接近させた人が勝ち、というゲームで、通常は屋外で楽しむ。

 「店を設計している時に、この知的な空間にふさわしい遊びは何か? とみんなで討議したのよ。ダーツやビリヤードじゃありきたりでしょ?ならば『いっそ古代から続く屋外ゲームをレーンごと入れちゃおう』ということでボッチボールを始めました」と話すのはゼネラルマネジャーのステファニアさん。玉を転がす要領は下手投げでボーリングに似ているが、レーン表面が土なのでイレギュラーが多く、思うように転がらない。パリーノのそばでピタリと止めるには豊かな経験と勘が必要だ。
 「やり始めると結構熱くなるわよ」とステファニアさん。「この2本のレーンは当店の顔です。ここを会場にするリーグ戦のシーズンが始まったところ。毎週末に試合があって全32チームがしのぎを削っています」。

 知らないところで思わぬ「夜の球宴」が繰り広げられていた。われこそはと思う人はいざブルックリンへ。

店奥に進むと突然現れるボッチボール場。ルールは簡単なので、数人で訪れて、ぜひトライしてみてほしい

バー部分は、由緒正しき、名門大学の同窓会館の趣き。客は革張りのソファーにもたれてゆっくりと時間を過ごしている

 
 
 
Union Hall
702 Union St.
Brooklyn, NY 11215
www.unionhallny.com


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