2017/12/01発行 ジャピオン944号掲載記事

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キャラの人生変えた駅

 グランドセントラル駅はニューヨークの交通システムの要にして、街の正面玄関。観光客や通勤客含め、1日に75万人以上が利用する。

 映画「恋に落ちて」(1984)ではモリー(メリル・ストリープ)とフランク(ロバート・デ・ニーロ)の恋をつなぐ、通勤電車が発着するターミナルとして登場。「ミッドナイト・ラン」(88)の中では、ジャック(デ・ニーロ)とジョナサン(チャールズ・グローディン)がロサンゼルスまでの長い逃避行を開始する駅でもある。

 またストーリーの「転換点」という観点で見れば、「メン・イン・ブラック2」(2002)で、エージェントJ(ウィル・スミス)がコインロッカーの中で、物語のカギを握るエイリアンに遭遇するのもここ。とにかく、ニューヨークが舞台の映画なら必ずと言っていいほど取り上げられる。

最先端の設備を目指して

 敷地面積は約70エーカ、46本の線路と30のプラットフォームを有する。ペンステーションをしのぐ市内最大規模の駅だ。ピンク色の花こう岩でできた支柱が並ぶ建物は、古代ローマの公衆浴場をモデルにしたとされる。

 駅舎は同地に三回建て替えられている。最初は1871年、鉄道王コーネリアス・バンダービルドがL字型の駅舎「グランドセントラル・デポ」を建てた。利用者増加に伴い増築された後、市内での蒸気エンジンの使用規制が始まり、1902年にバンダービルドが市内初の「完全電気化」した建物の設立を宣言。これが現在の駅舎だ。

 工事は03年から10年以上の歳月を要し、総工費は現在の価格にして約2億7000万ドル以上。その後、建物の老朽化が叫ばれた1990年代に大規模な改修工事を経て、現在の姿に至る。

 駅の荘厳で洗練された雰囲気を作っているのは、随所に配備された石像やブロンズ像。よく見ると、バンダービルド家の象徴である「オークの葉とドングリ」もあしらわれており、鉄道王の矜持がさりげなく今も息づいている。

星空に隠された秘密

 特筆すべきは、巨大な吹き抜けのメーンコンコース。同駅が出てくるシーンは、ほとんどここで撮られていると言ってもいい。「ホーム・アローン」(1992)で、迷子のケビン少年(マコーレー・カルキン)が驚きながら見上げた星空模様の天井は、圧巻の高さ約38メートル、横幅約84メートル。フランス人画家のポール・セザール・エルーが油絵の具で、10月から3月までの星座をあしらった。

 実はこの星座、実際の形から反転して描かれている。原因に関しては諸説あるのだが、このミスに一体何人の映画キャラクターが気付いていただろうか。

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住所: 89 E. 42nd St.
竣工:1913年
設計者:リード&ステム社、ウォーレン&ウェットモア社


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