2017/11/03発行 ジャピオン940号掲載記事

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 市内92施設からなるニューヨーク公共図書館(NYPL)システムの総本山に当たるのが、42ストリートと5アベニューの角にある通称「メーンブランチ(本館)」だ。1911年、資産家らによる多大な資金援助を得て、旧上水場の跡地に開館した。設計と施工は2人組の建築家カレール&ヘイスティングが担当。ボザール様式にのっとった風格あるデザインで、バーモント産の大理石造りが特徴だが、総工費に約900万ドル(当時)もかかった。映画「ゴーストバスターズ」や「デイ・アフター・トゥモロー」にも登場し、世界中から観光客が訪れる。

知の殿堂を訪れる

 入館証がなくても無料で見学できるから、ぜひ一度入ってみよう。1階エントランスホールは、国会議事堂か最高裁判所を思わせる荘厳な雰囲気。その奥には、膨大な資料を展示する企画展用の大きな部屋があり、長い廊下の突き当たりは、古地図の専門閲覧室になっている。

 圧巻は3階にあるローズ中央閲覧室。89×23メートルの柱のない空間で総座席数は636。天井の高さは15メートル以上。アーチ型の大きな窓から外光が差し込む。

名だたる学者やジャーナリストたちがここで資料を読み込み、名著を執筆した。昨年秋、最後の改装工事が完了。青空バックに紅色に染まる雲を描いた天井画も、きれいに洗浄・修復されたので、106年前の開館当時と同じ清々しさで読書や研究に没頭できる。

公共図書館の使命

 本館を中心に市内各所に点在するNYPLの年間総利用者数は、のべ4000万人を超える。これは、ニューヨークにおける全ての音楽、演劇、スポーツの年間観客数を合わせたより多いそうだ。「書籍離れ」が懸念される一方で、図書館の存在は、意外なほど市民に浸透している。

 「私たちの使命は情報や知識を探し求める市民全てに無料で、かつ公平にリソースを提供すること。これは昔から全く変わっていません」とNYPL広報担当者は語る。

 単に図書館といっても、書籍の閲覧と貸し出しだけが仕事ではない。本館、分館共に多様なプログラムを提供している。人気は児童を対象にした放課後の読み聞かせや読書サークル。そして、英語を母国語としない人のための無料英語クラス(参加者は過去5年で6倍増)や世代別のコンピューター教室も盛んに行っている。「パソコンやインターネット環境が自宅にない人には、図書館に来てコンピューターを使ってもらうよう奨励しています。ハイテクが苦手という人たちにも、図書館の指導員が親身になって教えます」とは前出の広報担当。

 デジタル化による利用者数減少の心配など微塵もないようだ。電子書籍の導入にも積極的だという。所蔵図書の検索はもとより、貸し出し予約、地元の図書館に在庫がない場合の他館からの取り寄せも全てオンラインでできる。

施設のアップデート

 広報担当者は言う。「今最大の悩みは、施設の老朽化です。古びた図書館には人が集まりません。100年以上の歴史ある分館は、建物の美しさを残しつつ、内装やシステムをアップデートしなくては、市民は来てくれません」。最近、改装を終えたミッドタウン53ストリート分館は、階段状の閲覧スペースを持つカフェのような、オシャレなデザインで好評だ。現在も、スタテンアイランド分館他で改装工事が進んでいる。

昨年改装工事を終えたばかりのローズ中央閲覧室。机と椅子は開館当時からのものを修理しながら大事に使っている

エントランスホール。国会議事堂を思わせる雰囲気

The New York Public Library Main Branch
476 5th Ave.
(bet. 40th & 42nd Sts.)
www.nypl.org


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