2017/08/25発行 ジャピオン930号掲載記事


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Evil Twin Brewing
www.eviltwin.dk

 前ページで紹介した、ビヨーグソさんが展開する超過激なクラフトビール。自前の醸造所を持たず、他社の施設を借りて世界各地で醸造してきた「さすらいの醸造家」の経験と技術がつまっている。「前代未聞のテイストでクラフトファンの度肝を抜く」と息巻くだけあって、一見すると変わったビールが多い。ただし、話題作りのために奇をてらうのではなく実際においしいのがイービルツインの特徴。

 クラフト専門店トルストでも人気の「イーブンモア・ジーザス」シリーズは、アルコール度が12%もある強いインペリアルスタウト(19世紀英国で発祥して帝政ロシアや東欧諸国で普及した黒ビール)。堂々たる深みと底が見えないくらい深い味わいが特徴で、よくある甘い黒ビールとは一線を画す。

 これにチリを加えた「アウンマス・ヘスス」は、ピリ辛でほんのりメキシカン。またココナツの香りをのせた「イーブンモア・ココ・ジーザス」はカリブの潮風を感じさせる。スタウトに限らず、ほんの少しのアレンジで一つのスタイルを変幻させるテクニックを存分に味わってほしい。

 個々のスタイルの生産量が極端に少なく、市内でもなかなか飲めないイービルツインだが、リッジウッドに自前のタップルームを建設中だ。


 


Rockaway Brewing Co.
46-01 5th St.
LIC, NY 11101

TEL: 718-482-6528
www.rockawaybrewco.com

 タワーマンションが林立するロングアイランドシティーの一角に場違いないでたちで佇むロッカウェー・ブリューイング・カンパニー。

 クイーンズのファーロッカウェービーチに集まるサーファー達が夏に行っていた自家醸造を母体にして生まれたのが名前の由来だ。

 レトロなパステルカラーで彩られたタップルームには、ロックンロールがレコードでかかり、ビーチな気分が充満している。

 一番のおすすめは、同銘柄を一躍有名にした「ロッカウェーESB(Extra SpecialBitter)」。英国スタイルのペールエールで、ホップの苦味とモルトの甘味が同居する芳醇(ほうじゅん)なビール。相反する両者のバランスを取るのが非常に難しいといわれるが、さすが波乗りたちが作った醸造所だけに、釣り合いが取れている。

 もう一つの定番は「ブラックゴールド」と名付けられたアイリッシュスタウト(黒ビール)。クリーミーな口当たりとまろやか、かつ香ばしいフレーバーは上質なチョコレートを思わせる。万人が楽しめるビールばかりと思いきや、強い苦味とグレープフルーツの爽やかさを併せ持つ「1875ペール・エール」や、顔をしかめるほど酸味の強い「レッツロック」など、やんちゃな作品もあるから楽しい。


 


Interboro Spirits & Ales
942 Grand St.
Brooklyn, NY 11211

www.interboro.nyc

 ブルックリン・ウィリアムズバーグの外れにタップルームを構えるインターボロ・スピリッツ&エールは昨年9月に開業。伝統や地域性にとらわれない自由なビール作りをモットーに掲げ、ジン、ウイスキー、ブランデーなど蒸留酒も並行して生産している点がユニークだ。

 人気は「ブッシュバーグ」と名付けられたピルスナー。アルコール度数5・5%。苦味が少なく香りが良いことで知られる、ノーブルホップを使った優しい味が特徴だ。チェコビールを思わせる日本人好み。

 対照的に、「ステイゴールド」は、かんきつ系と針葉樹のフレーバーが喉を刺す個性的なIPA。硬質な苦味と目の覚めるような切れ味は、「はじめの一杯」として好適だ。

 他の醸造所との共同作品も要チェック。メーン州ポートランドのバンカー・ブリューワリーとコラボしたセッションIPA「ダステッドシングス」もその一つ。アルコール度数4%で飲みやすい作りながら、2種のホップを使って芳香を強調している。ライムの口当たりが導くその味わいは、完熟のマンゴーの深い甘みと、黒コショウを思わせる若干の刺激を含んでいる。

 タップルームの天井窓から降り注ぐ太陽光は、酔いの回りと共に和らいでいく。


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