2017/08/25発行 ジャピオン930号掲載記事

Pages:      

ベストを追求する店

ニューヨークで、通好みのクラフトビール専門店として知られるグリーンポイントのバー「トルスト」で最近の動向や店のこだわりについて聞いた。

 「全世界から『the best of the best』を取り寄せて提供するのがうちの身上です」と語るのは、「トルスト」のビバレッジマネジャー、マイク・アミディさん。4年前にオープンした同店では、常時21種類の生クラフトと200種類以上の瓶クラフトを取りそろえる。

 カウンター後ろには、ずらりとクラフトの銘柄が手書きされているが、スタッフに尋ねれば丁寧に解説してくれるので初心者でも冒険できる。5、8、14オンスと好きな分量で、一杯4ドルから気軽に楽しめるのもいい。

 「入荷は各種一樽単位。樽が空くとすぐに別のものを入れるので、生のメニューは、2日ごとに替わります」とマイクさん。温度調節の行き届いた地下室には、世界各国から取り寄せた瓶クラフトが整列。醸造所直送の生樽は最新のパイプ技術でバーのタップ(注ぎ口)とつながっている。

 種類を頻繁に替えるのでパイプの洗浄が命。パイプに前のビールが残っていると次のビールの味が台無しになるので、定期的に自動洗浄する装置を付け、週に2度は専門家を呼んで洗浄しているという。

 「ワイン同様、繊細な味や喉越しの違いを楽しむのがクラフトの醍醐(だいご)味。その機会を提供するためには努力や投資を惜しみません」

クラフト最新トレンド

 最近のトレンドについてマイクさんは、「一時期のIPA(インディア・ペール・エール)ブームは一段落。『何が何でもホップの効いた苦いビール』を求める傾向がクラフトブームをけん引してきましたが、今はまろやかなものが好まれます」と語る。例えば、同じIPAでも同店が特約している、ブルックリンで醸造されている「イービルツイン」の「ハウ・ドゥー・ユー・エニシング」は、にごり系でトロピカルフルーツのアロマがあり、ホップの苦味をかなり抑制し、飲み口も柔らかい。

 セッションビール(アルコール度数が5%以下の軽めのタイプ)が来る、と近年言われ続けたが、「それはないでしょう」とマイクさんはやんわり否定する。

 「近年のクラフトビール人気で、皆さんの舌も肥えています。ブームに踊らされず、多彩な味の特徴を飲み分けて、好みの銘柄やスタイルを探す時代に入っています」

通をうならせる一杯

 世界中の「ベストを集める」とうたう同店のシグネチャーであり、これを求めて通が集まるのが、前述したブルックリンの「イービルツイン」のクラフト。ピルスナー、ラガー、ポーター、IPA、スタウトまで幅広いセレクションがあるが、ほとんどが期間限定の短命種。イービルツインのブリューマスターは、これまで世界中の醸造所で腕を振るってきたデンマーク人、ジェッペ・ジャーニット・ビヨーグソさん。彼が技術の粋を集めて、この地で醸造するクラフトは、意表を突く味の設計で、「天才的」とうたわれ、通をうならせ続ける。

 「最高のクラフトを提供することで、カウンターで客と店員がクラフトについて語り合い、さらに客同士が友達になれる。そんな店を目指しています」

 その言葉を裏付けるように、店内は日暮れ前から大勢の人でにぎわい、クラフトビール談義に花を咲かせている。

 ちなみにマイクさんの個人的な好みは、日本人にもなじみ深いピルスナーだそう。「店では凝った隠し味や濃厚なビールを推奨しているけど、毎日飲むと正直疲れる(笑)。だから仕事終わりにはシンプルなピルスナーさ」と笑う。


 

マイク・アミディさん

「Tørst」ビバレッジマネジャー。ホスピタリティー業界、IT業界を経て、2013年から現職。15年から「Evil TwinBrewery」の輸出部門も手掛けている。

 

バーの後ろには21のタップがずらり。Evil Twinをはじめ、世界各国の選び抜かれた「ベスト」なクラフトビールを楽しめる

 

ミシュラン星付きレストランのシェフを起用し、ビールに合うデンマーク系の軽食を提供している

 


Tørst
615 Manhattan Ave.
Brooklyn, NY 11222

TEL: 718-389-6034
www.torstnyc.com


Pages:      

過去の特集

NYジャピオン 1分動画


利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント