2017/08/18発行 ジャピオン929号掲載記事

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住民たちが語る
今、タイ町が熱い理由


クィーンズの住宅地を歩いていると、こつぜんと現れるタイ町。一体いつ頃からあるのだろうか?町の人々に聞いてみた。

 今、ニューヨークのタイコミュニティーの中心といえるのは、クイーンズのエルムハースト、ウッドサイド、ジャクソンハイツが交わる辺り。ルーズベルト・アバニューとクイーンズブルバードに挟まれた一角。

 「25年ほど前、近所に大きなタイの寺院ができて、それを中心にタイ人が集まってきました。タイ人居住者が急増し、お店も増え、週末になると市内各所からも人が集まるようになったのは、この5年です」と話すのは、タイ料理店「アヤダ」のオーナー、ポルパットさん。店は地元紙やグルメ系SNSで、「ニューヨーク随一のタイ料理」と評価され、多いときには1ブロック先まで行列ができる。

 「以前は韓国系の店が多く、当店も韓国系の理髪店と焼肉店が出たあとを9年前に引き継ぎました」という。

 ニューヨークにタイ人コミュニティーが誕生したのは1960年代半ば以降で、それまでは市内にタイ料理店はほぼなかったそうだ。当初はベトナム戦争でタイに駐留した米国人男性と結婚し、移住したタイ人女性がコミュニティーの中心で、80年代に入り、より良い生活を求めて移住する家族が増えたのだという。2010年の統計では市内のタイ人人口は7244人。うち57%がクイーンズ在住で、年間平均世帯主所得は、5万1607ドルと決して低くはない。(参照=Asian American Feder- ation Census Information Center)

料理を中心に町が発展

 タイ人が集まってきやすいのは、タイ料理ならではの「特性」があるからだ、と話すのはポルパットさん。「タイ料理は家庭料理が基本。どの店も血縁や地縁での雇用が一般的で、特に味の方向性を決める料理長に親戚筋の料理上手を起用するのです」。実際、「アヤダ」スタッフも全員タイ人だそうだ。

 「アヤダ」のはす向かいにある食料雑貨店「タイ・タイ」のオーナー、ピーノイさんも、「タイ料理は食材や香辛料の使い方が、地方によって多種多様。複雑で奥が深いため、その地方の本格的な味を出すには家族や同郷者同士でないと分からないニュアンスがある」と語る。そうした特性があるからこそ、本場の味がブレず、メディアの好評につながっているわけだ。

若者の増加で変化

 近年の変化についてピーノイさんは、「過去10年は母国タイの経済が好調で、留学生が増えました」という。「彼らはタイで大学を卒業した後、2〜3年英語の勉強をして国に帰り、語学力を武器にいい仕事に就く人が多いようですね」

 この留学生の増加がタイ町の発展に拍車をかけた。タイ町のレストランやバーは、彼ら若いタイ人にとってかっこうの憩いの場で、ポルパットさんも、「豊かな時代に育った若者たちは、僕たちと違って、自炊して切り詰めてお金を貯めるスタイルじゃない。外食や息抜きの遊びもきちんと楽しんでいますね」と指摘する。

 連日朝4時までにぎわうバー「パタ・パプレアン」の共同オーナー、チェリーさんとポルシェさんは「客のほとんどが私たちみたいな若いタイ人。週末はDJも入ってタイの最新音楽もかける。すっごくクールだよ」と語り、「もっと日本人に来てもらいたい」と笑う。開放的な店構えにアンティークのソファを配した内装が最新トレンドを思わせる一方で、南国的なゆるい空気も流れている。

忘れない故郷の味

 「パタ•パプレアン」はじめ、若者がビジネス面で新風を吹き込んでいるのも最近の傾向。タイ東北部出身のミレニアル世代のサミーさんは先月、タイ料理店「ハグ・イサーン」をオープンさせた。「このエリアの上昇機運に乗らなくっちゃ、と思って(笑)。好きなようにお店を作ってみたんです。もちろん料理はまったく妥協のない故郷の味。他では味わえない珍しい料理も出しています」と笑顔で語る。

 数カ月後にはタイのデザート専門店がオープンするそうで、話題になること必至だ。次ページではタイ町を散策しながら、おいしいものを探してみた。

「アヤダ」のオーナー、ポルパットさんはタイ町の重鎮

タイ町の動向を良く知る「タイ・タイ」のピーノイさん

「パタ・パプレアン」共同オーナー、チェリーさん(右)と
ポルシェさん

新顔「ハグ・イサーン」を切り盛りするサミーさん(右)と
スタッフ


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