2017/06/02発行 ジャピオン918号掲載記事

 


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渦巻きの謎を探ろう

■■■ソロモン・R・グッゲンハイム美術館

 ニューヨーク市内は大型美術館がいくつも存在する。その中でもかなり目を引くのが、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館。米近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライト設計の、巻き貝のような建物自体が芸術作品なのだ。

 「このユニークな建築が、グッゲンハイム美術館最大の特徴です」と語るのは、同館のギャラリーエデュケーター、麻生晋佑さん。2004年から日本語ガイドを務め、10年からは英語ツアーも担当している。

 同館の魅力を堪能する上で、設計者ライトの設計コンセプトを知ることはかかせない。館内ツアーは、まず彼の目指した「有機的建築」という理念を解説し、その世界観を共有するところから始まる。

麻生晋佑さん
SolomonR.Guggenheim Museum
1071 5th Ave.
TEL: 212-423-3575
www.guggenheim.org

日本語のハイライトツアーは1時間175ドル(別途入場料)でアレンジ可能。要予約。また6月20日(火)から8月29日(火)までの火曜日は午後9時まで開館時間を延長し、各種イベントを行う。

 「そして建物の構造に沿って、らせん状の展示室を下から上に登っていき、各階で1~2作品鑑賞しながら、最上階まで行くルートを組んでいます」

 スクール・オブ・ビジュアルアートを卒業後、同館で働く友人を手伝ったのが、麻生さんと同館の出合い。同館への愛は深く、「半円状のエレベーターや三角形の階段など、建築家のこだわりが感じられる細部のデザインも見逃せません」と、見どころを語らせたら止まらない。

 所蔵コレクションはヨーロッパの抽象絵画を中心に、印象派から現代美術まで、各時代を象徴する作品がそろう。麻生さんおすすめの展示は、9月6日(水)まで公開中の特別展「Visionaries:Creatinga ModernGuggenheim」だ。1937年の財団設立から同館が所蔵する、170点以上の作品を一挙に展示。同館はもともと、所蔵作品とその展示方法を意識して設計されたそうで、「この展覧会は建物の良さをより一層引き立てます」と麻生さん。

 「ツアーでは他にも、作家がどのように作品制作のインスピレーションを得たかを解説します。実は浮世絵との関係性がある作家もいたりと、作品への理解が深まるヒントが満載です」


▲不思議な形の建物は、白を基調とした近代的な作り。建築に興味がない人でも、中をのぞいてみたくなるはずく


▲館内も渦巻き状。道なりに上っていけば、主要作品がすべて見られるという寸法だ


渦巻きの謎を探ろう

■■■■■■■■■気軽に寄れる芸術の舞台

 リンカーンセンターは、オペラやバレエ公演の会場以外にも、ジュリアード音楽院やニューヨーク市立図書館などを併設している、複合芸術施設だ。

 8年前から同センター見学ツアーで日本語ガイドを務める冨澤由紀子さんによると、ツアーのメーンは、ニューヨーク交響楽団の本拠地「デービット・ゲフィン・ホール」、夏はアメリカン・バレエ・シアターが公演を行う「メトロポリタン・オペラ・ハウス」、そしてニューヨーク・シティー・バレエが見られる「デービット・H・コーク・シアター」の3カ所。公演スケジュールによって見学できない場所もある。「皆さんに満足いただけるよう、話す内容や見学スポットをアレンジしています」と冨澤さん。

冨澤由紀子さん
David Rubenstein Atrium at Lincoln Center 
61 W. 62nd St.
TEL: 212-875-5350
www.lincolncenter.org

英語ツアーは75分で、大人20ドル(冨澤さんがガイドを務めることもある)。催行日時は上記ウェブサイトを参照。日本語ツアーはプライベートツアー(300ドル~)としてアレンジ可能。要予約。

 なかでも冨澤さんのおすすめは、デービット・H・コーク・シアター。「ニューヨーク・シティー・バレエの創設者ジョージ・バランシンが設計に協力した劇場です。彼はダンサーを宝石と呼んでいたため、劇場のテーマも宝石箱となっています」。ダイヤモンドペンダントのように輝く2トンのシャンデリアや、「リング」と称される金のバルコニーなどは、その名の通り宝石のよう。息をのむ美しさだ。

 また、昨年は俳優の渡辺謙が、リンカーンセンターで上演されたミュージカル「王様と私」に出演していたのも有名な話。「ツアーでは謙さんが通る『出待ち場所』もお伝えしていました(笑)」と冨澤さん。

 舞台観劇は敷居が高いと感じる人も多いかもしれないが、冨澤さんは「リンカーンセンターではお金をかけずに利用できる方法がたくさんあります」と語る。多くの施設にカフェや公共スペース、トイレがあり、来館者が自由に利用できる。またツアーでは、リンカーンセンター内で行われる舞台のチケットをお得な価格で入手できる方法や、無料コンサートの情報も入手できる。

 「見学ツアーに参加された後も、何度もリンカーンセンターに足を運んでもらえるとうれしいです」


▲ツアーの目玉である三つの建物の中央には噴水がある。「オーケストラのようにリズミカルに動くので、眺めているだけでも面白いですよ」と冨澤さん


▲芸術好きにはたまらない内装が見られるのも特徴


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