2017/04/21発行 ジャピオン912号掲載記事

 

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市内でもアメコミのコアなファンが集うといわれるコミック店で、オーナーのロジャー・ウィリアムスさんにアメコミの歴史、最新動向などについて聞いた。

 グリニッジビレッジにある「ミステリアス・タイムマシン」。半地下の店に入る途中の階段からして「ミステリアス」な雰囲気。20平方メートルほどの店内のほとんどを占めるのが、タイトルごとに整理された段ボール。中身はビンテージもののコミックだ。

 「昨日(水曜日)来ればよかったのに」と人懐こい笑顔で話し掛けてくるのはオーナーのロジャー・ウィリアムスさん。大学卒業直後、友人のコミックマーケット出店を手伝って、「こんなに楽しい商売はない」と、34年前に店を開けた。それにしてもなぜ水曜日なのか?

ニューコミックデイ

 全米コミック市場は推定9400万ドル(2015年、参照=Comichron)。その70%がDCコミックス社(1934年創業。スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンらが「所属」。ワーナーブラザーズ傘下)とマーベル・コミックス社(39年創業。キャプテン・アメリカ、超人ハルク、スパイダーマンらが「所属」。ディズニー傘下)の作品だが、出版社に関わらず新作は全て「水曜日」に店頭に並ぶ。通称「ニューコミックデイ」だ。「常連は水曜日に新刊を欠かさず買いにくるから、みんな顔見知り。興が乗るとバーボンが振る舞われコミック談義になる」そうだ。

 新参者には入りにくい世界かと思いきや、新作コミックは1冊3ドル程度と安価なので、収集を始めやすい。気に入ったキャラが見つかったら、水曜日に店に赴き買い続ければ、コレクションが出来上がる。「それをベースに今度は、前の話の号をさかのぼって集めたり、さらに前のシリーズやビンテージものを集めていくことになる」とのことだ。

 ビンテージコレクターには、レア物を見つけたらお金に糸目をつけない人も多い。「ビンテージものはオークションで高値か付くことがニュースにもなる。うちの最高値は『WonderComics Vol.1』(1939年5月刊)で2万5000ドル。ただし完全に売り手市場だから、明日あるか分からない」と言う。それほど、この市場は加熱しているのだ。

業界の新トレンド

 1940~70年代は子供の娯楽の王様だったコミックは、80年代の半ば、テレビゲームの登場とともに急速に人気を失った。

 「昔はコミックをあさる子供たちの脇で親がニューヨークタイムズを読んでいたものだ。今はコミックは大人の収集趣味の対象になって、今度はコミックをあさる親の脇で子供がスマホでゲームしている(笑)」

 しかし近年は、映画やテレビでコミック原作のものが増えたことで、「子供が戻ってきた」とロジャーさん。「ただ、大人たちに人気のヒーローではなく、彼らが夢中なのは、『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』(2014年映画化。2は5月公開)。スパイダーマンやスーパーマンは親の世代のものという認識らしい」と話す。

 さらに「新しいといえば、女主人公の作品だよ」と教えてくれたのは店員のカイル・クラークさん。「今、断然売れているのは独立系の出版社イメージコミックスの『ペーパーガールズ』。タイムトラベルものというストーリーが受けて、絵もきれい」とのこと。近年、女性が主人公の作品が増え、比例して店に来る女性ファンも増えたそうだ。

 カイルさんとロジャーさんの情熱が感染して、まずは「ペーパーガールズ」を購入。アメコミの世界への扉を開けた。

ミステリアス・タイムマシンのオーナー、ロジャー・ウイリアムスさん(右)と店員のカイル・クラークさん。二人のおすすめは、今若者、女性を中心に売れているという「PaperGirls」(Image Comics)の最新刊(取材時点)の#12、13

ビンテージものは時代ごと、出版社ごと、タイトルごとに整頓されている

半地下にあって、一見入りにくそうだが、店員も常連客も皆フレンドリー

Mysterious Time Machine
418 6th Ave.
(bet. 8th & 9th Sts.)
TEL: 212-691-0380
www.mysterioustimemachine.com


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