2016/12/16発行 ジャピオン895号掲載記事


Pages:      
漢方薬で寒さに打ち勝とう!

漢方薬の専門店で、体を温める効果がある漢方薬とその使い方について聞いた。

 体の不調を未然に防ぐことを目的とした東洋医学。その考えをもとに作られた漢方薬は、寒さに打ち勝つヒントが満載だ。

 「温熱療法は東洋医学で重要です」と語るのは、マンハッタンのチャイナタウンにある漢方薬の専門店、カムウォ・メリディアン・ハーブスの最高執行責任者(COO)、ハバ・クウィストさん。伝統東洋医学理学修士号(MSTOM)を持つ、漢方薬の専門家だ。「血流が悪くなると、病気や痛みのもとにもなりますからね」

 今回はハバさんに、体を温める漢方薬について教えてもらった。

シナモンには二つの効果

 まずは冬の定番スパイス、シナモン(①)。シナモンの木の幹の皮が「桂皮」、小枝が「桂枝」と、一つの木から異なる2種類の漢方薬が手に入る。桂皮は木の根幹に近い部位で、体の中心をじんわり温める効果がある。「体をめぐるエネルギーを充てんしてくれます。恒常的な体の冷えや倦怠感に悩んでいる人に、特におすすめです」

 一方、桂枝は体の末端の体温を上昇させるため、手足の冷えに悩まされている人には特に有効だという。

 カフェのペーストリーやホットドリンクにもシナモン味が多いが、同じように温める効果があるのだろうか?ハバさんの回答は、「スーパーなどで手に入る調理用シナモンを使っていると思いますが、種類がポイントです」とのこと。「理想は、漢方で使われているものと同じ、セイロンシナモンです。しかしそれ以外の木から生成されたシナモンは、セイロンに比べて漢方薬としての効果が弱いです」

料理にも使える
漢方薬2種

 次は香り高いことでも知られている、フェンネル(茴香、ウイキョウ)のタネ(②)。整腸作用があることから体内循環を改善し、熱のめぐりがよくなる効果が期待できる。インドなどでは食後の口直しに出されることも多い。ハバさんによると、フェンネルは特に、菜食主義(ベジタリアン)の人に摂取してほしい漢方薬。

 「ベジタリアン食で大量に摂取する生野菜は消化に時間がかかるので、血流が停滞して体が冷えがちです。フェンネルを加えると、それらの状態が改善します」

 中華料理に欠かせないカホクザンショウ(スーチュクンペッパー)は、舌が痺れるような辛さ(麻味)が特徴で、胃腸の調子を整える効果がある。「東洋医学では、食物が陰と陽に分かれますが、牛肉やラム肉など、温かいとされる陽の食べ物にカホクザンショウを使えば、消化を促進してより温かさを取り入れやすくなります」

煮出して飲む漢方薬

 ただ煮出すだけでも効果があり、おいしいホットドリンクになる漢方にも注目。ホットドリンクでもよく見掛けるスターアニス(八角、③)には、血流を促進する効果がある。甘い香りがするので、デザートへの香り付けにも使われる。

 シナモン、フェンネル、カホクザンショウ、スターアニスの四つの漢方に、陳皮(マンダリンオレンジの皮)を混ぜ合わせたものを五香粉(ごこうふん)と呼び、食材の臭みを消すスパイスとしても使用する。

 最後にハバさんが紹介するのは、ハゲキテン(巴戟天)の根の部分(④)。中国では米から作るお酒に合わせたものが、高齢者などを中心に一般的に飲まれるという。血流を改善する精力剤や、腰痛に効く痛み止めとして用いられるそうだ。

中国名:(左)桂皮(BouGui)、桂枝(Gui Zhi)
中国では「薬物の王」の異名を取る、重要な漢方の一つ


中国名:茴香(Xiao Hui Xiang)
日本ではウイキョウとも。消化を促進し、老廃物を体外に排出する効果もある。「太田胃散」の原材料の一つ


中国名:八角(Ba Jiao)
トウシキミとう木の果実を乾燥させたもの。香り高く、古くは歯磨き粉や石けんなどとしても使われてきた


中国名:巴戟天(Ba Ji Tian)
精力剤として知られる漢方薬。写真のように、根の部分を乾燥させ、ハンマーでたたいて平たくさせる


ハバ・クウィストさん
Chava Quist MSTOM, LAc., LMT

Kamwo Meridian Herbs
211 Grand St.
(bet. Elizabeth & Mott Sts.)
TEL: 212-966-6370
www.kamwo.com

今日から実践!
漢方薬を使った 「あったかフード」

ハーブ感覚で使える、初心者向けの漢方薬の楽しみ方をハバさんが紹介。いずれも体温を上げてくれるが、目が覚める効果のあるものも含まれるので、寝る直前の飲用には注意。

まずは一杯 お手軽漢方薬レシピ
冬の漢方薬ミルクティー
スターアニス、シナモン、ショウガ、ハゲキテンを小さく砕き、鍋に入れた牛乳でゆっくり煮出す。牛乳は生乳でも豆乳でもOK。ハチミツを少し垂らして、甘みを加えると飲みやすい。ハバさん自身も「一昨日も飲んだところ。よく自宅で作ります」とのこと。


ショウガのみそ汁
みそは新陳代謝を活性化させ、体内循環を整えるため、冬場に温かいみそ汁を飲むのはとても効果的。3面でも登場したショウガを刻んで入れたり、煮出したものにみそを入れて作っても、体がポカポカ温まる。ピリリとした辛味がみそ汁の味を引き立てる。
職場や学校で手軽に飲むなら


セレスティアル・シーズニングス
漢方薬が入ったお茶は数多く市販されているが、ハバさんのおすすめは、オーガニックティーを販売している、コロラド生まれのセレスティアル・シーズニングス(Celestial Seasonings)社のハーブティー。化学薬品を使わず、ハーブ本来の味わいと効果を重視している。ラインアップもシナモン、ショウガ、フェンネルなどがある。フレーバーのコンビネーションが豊かなので、気分やシチュエーションに合わせて、手軽に漢方薬茶を楽しめる。(www.celestialseasonings.com)


Pages:      

過去の特集

NYジャピオン 1分動画


ただいま配布中発行

巻頭特集
「ニューヨークの家賃は学区で決まる」。そうささ...

   
Back Issue 9/14/2018~
Back Issue ~9/7/2018
利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント