2016/05/27発行 ジャピオン866号掲載記事


Pages:      
タンパク質の構造から抗がん剤を探せ!

マウントサイナイ医科大学勤務 小沼剛さん



群馬県出身。創価大学工学部生物工学科卒業後、大阪大学理学研究科高分子科学専攻で理学博士号取得。サントリー生物有機科学研究所への勤務を経て、2014年から日本学術振興会海外特別研究員として、マウントサイナイ医科大学にポスドクとして勤務。


小沼さんの得意分野は、写真のNMR(Nuclear Magnetic Re- sonance=核磁共鳴機)を使った研究。これで、たんぱく質の構造を見る

 小沼剛さん(34)は、2014年8月からマウントサイナイ医科大学アイカーン・メディカル・インスティテュートで、エピジェネティクスの研究を行っている。本人いわく「タンパク質の構造を解明して、薬になる可能性がある化合物を見つけるのが僕の仕事」。

 小沼さんによると、薬というのは、タンパク質に「くっつく」から「効く」ということになる。その「くっつく」薬の元となる化合物を日々探している。ただ実際に化合物から薬に発展させるのは化学者で、構造生物学者である小沼さんの研究はその前段階だ。

 「例えば、がんの発症メカニズムを研究している人が、あるタンパク質ががんの原因であることを発見したとします。抗がん剤を作るとなった場合、僕の役割は、そのタンパク質の構造を解明し、それにくっつく化合物を探すことです」

 日本にいた頃は、認知症の研究をしていた。そこでも、具体的な作業はタンパク質の構造解明。タンパク質同士がくっつき過ぎて、アミロイド線維という状態になって脳内にたまり、脳の神経を壊すのが認知症のメカニズム。そのアミロイド線維ができる機構を研究していた。

 
英語力向上が来米目的

 そもそも小沼さんがアメリカを目指したのは、英語力の向上が目的。研究論文は英語なので、読み書きはできたが、ヒアリングと会話力に欠けており、「研究者として生き残るため、英語力を上げることは必須でした」と語る。

 来米後すぐ、大変な目に遭った。「健康診断で、担当のインド人看護師の英語が理解できず、ちんぷんかんぷん。しまいに怒鳴られ…。あのときはどうしようかと思いました」と苦笑い。

 それから2年弱。研究室には日本人は小沼さん1人。中国人が多いので、中国語と英語が飛び交う言語環境だ。話題が研究内容なら、英語での会話にも苦労しなくなった。日常会話にも慣れ、今は「隣のトーマス」と小沼さんが呼ぶ、同僚の研究者がベストフレンドだ。

マラソン師匠と出会う

 来米当初、ニューヨークには知り合いはおらず、夫人が出産を前後していたのでしばらく単身赴任。「つらかった」と振り返る。その生活を変えたのが、日本人ランニング愛好者グループ、ニューヨーク中央公園走友会との出合いだった。

 日本でも7回フルマラソンを走った経験のある小沼さん。「ケーシーさん」と呼んで慕う師匠のおかげで、短期間で自己ベストを4時間半から3時間38分に短縮(15年ニューヨークシティーマラソンにて)。「うれしかったです!」と声を弾ませる。

 日本学術振興会から助成金を受けて研究しているが、その期間はもうすぐ終わる。育児休暇を利用して当地にいる夫人も、職場復帰のため帰国が迫っている。「日本が大好き」という小沼さん。いずれは帰国することになるが、あと1、2年は単身で残り、良い結果を出したいと考えている。

キッズ向け
楽しく科学を学べる施設

ニューヨークには、子供が科学への興味を育むことができる施設がそろっている。何度も足を運ぶうちに、「将来はサイエンティストになりたい!」と言うようになるかも!?

恐竜の展示からスペースショーまで満喫
アメリカ自然史博物館

アッパーウェストサイドにある自然史博物館。自然科学・博物学に関わる多数の標本や資料を所蔵・公開している。恐竜の骨格標本なども魅力的だが、ローズ宇宙センター内にあるヘイデンプラネタリウムは必見。現在、同博物館制作の最新作「DarkUniverse」を上映中。壮大なスケールで描かれるスペースショーに感動してくれること間違いなし!


American Museum of Natural History
Central Park West at 79th St.
TEL: 212-769-5100
www.amnh.org
体験型の科学館には発見がいっぱい!
ニューヨーク・ホール・オブ・サイエンス

クイーンズ区のフラッシング・メドウズ・コロナ・パーク内にある、体験型の科学博物館には、ワークショップやアクティビティーが充実。大ホール内の「ConnectedWorlds」の展示では、壁や床に映し出される動植物や滝などのアニメーションが見られる。その前で手をかざしたりジェスチャーをすると絵が変化し、自然界の均衡が保たれている様子を、幻想的に描いて見せてくれる。


New York Hall of Science
47-01 111th St.
Queens, NY 11368
TEL: 718-699-0005
www.nysci.org
全米最大のIMAXシアターを併設
リバティー・サイエンス・センタ-

ジャージーシティーの、リバティー・ステート・パーク内にある科学博物館。全米最大のIMAXドームシアターがあり、現在「A Beautiful Pla- net」と、「National Parks Adventure」の2本の映画を上映中。3Dシアターも併設されている。さらに人工の稲妻発生装置や、電力や風力のエネルギーの仕組みを学べたり、捕食者と被食者の関係を探る展示があるなど、総合的に科学を学べる。


Liberty Science Center
222 Jersey City Blvd.
Jersey City, NJ 07305
TEL: 201-200-1000
www.lsc.org


Pages:      

過去の特集

NYジャピオン 1分動画


ただいま配布中発行

巻頭特集
「ニューヨークの家賃は学区で決まる」。そうささ...

   
Back Issue 9/14/2018~
Back Issue ~9/7/2018
利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント