2016/04/22発行 ジャピオン861号掲載記事


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アジアパワーの位相変化

 さて、過ぎ去りし日に思いを寄せるのはたいがいにして、この辺で今のフラッシングに目を向けておこう。今この町で一番元気があるのは、何と言ってもアジアン。1990年には地域人口に占めるアジア人の割合は22・1%に過ぎなかったのが、2000年には52・4%、10年には実に69・2%にまで膨れ上がっている(ニューヨーク市立大調べ)。そのアジア人のうち67%を占めるのが中国系だ。

 なので、フラッシングに行ったら中華料理を食べずには帰れない。ところがあまりにもたくさん店がありすぎて、どこに入ったらいいか分からない。漢字看板の氾濫にめまいさえ覚える。そんな中、初心者にお勧めしたいのが、メーンストリートとルーズベルトアベニューの角に位置する「ニューワールドモール」の地下フードコートだ(地図⑥)。太いの細いの白いの黄色いのとあらゆる中華麺類が食べられる他、ギョーザ類、台湾屋台料理からデザートのフルーツジュースまで30以上の専門店が一堂に会し、すべて本場仕込み。しかも一品が10ドル以下とお手頃で、清潔である。マンハッタンやブルックリンにもこれだけバラエティー豊かな中華スナックが結集する場所はない。お好みの店から買い集めたスナックを仲間でつつき合うのも楽しい。

 そして忘れてならない韓国系アメリカ人。アジア系の中で占める割合は13・3%だが、70年代に荒廃したこの町を再生させた立役者は韓国系の移民である。彼らは65年の米国の移民法改正と同時にどっと流入した。

 かつては地下鉄の駅前にハングル文字がひしめいていたが、今はメーンストリートと平行する南北の大通りユニオンストリート沿いに韓国系の小さな食料品店、美容院、日用雑貨店、カジュアルなレストランが身を寄せ合うように集まっている(地図⑦)。古くからフラッシングを知る韓国系の女性は「最近はすっかり中国系に押されてダメよ」と嘆く。昔、飲み屋や食堂が密集して庶民的で活気のあった韓国系エリアは、ぞくぞく中国系の人々に買収され、大きなコンドミニアムに再開発されている。韓国系の人々はゆっくりだが確実に東に向かって移住を迫られている感じである。最近では、ロングアイランド鉄道のマレーヒル駅周辺(地図⑧)に、焼肉店やカラオケ店が続々と誕生。むしろこのエリアの方がユニオンストリートより活況を呈している。

136-20 Roosevelt Ave.
フラッシング初心者でも気軽に入れるフードコート。中国各地の味が居ながらにして堪能できる。上階の「超級市場」(スーパー)も活気があって楽しい

古くから韓国系のお店や事業所がならぶ一角。最近は中国勢に押され気味?

150th St. & 41st Ave.
最近では、韓国系の食堂街の中心はロングアイランド鉄道のマレーヒル駅に移りつつあるようだ
再開発の原動力はアジアマネー
 今フラッシングを歩くと目に入るのは新しいビルの建築だ。小さな商店や安アパートが密集していた地域は、ほうきで掃いたかのようにきれいに整地され、高層コンドミニアムがあっという間に立つ。不動産投資の主役は中国本土の富裕層。といっても五番街の超高級物件をポンと買うような超金持ちではなく、もう少し中間層に近い小金を持った人々らしい。フラッシングへのそんな中国マネーの流入は2013年を境に急激に増加している。50万ドルクラスのワンベッドルームが飛ぶように売れ、購入者の半数以上が中国人というコンドも珍しくないという。オーナーは居住せずに、ニューヨークの学校に通う中国系留学生にレンタルするのがお決まりのパターンだそうだ。

 そんな投資ブームのあおりで新しいタイプのホテルも続々オープンした。14年に登場したアジア系の「ザ・ワン:ブティックホテル」(137-72 Northern Blvd.)は、ロビー、客室ともにモダンなデザインで統一されており、ハイテク調光システム、オシャレなサンデッキ、深めのバスタブなどをそろえ、およそフラッシングのホテルとは思えないほどシックだ。9階のスカイラウンジからの眺望も抜群。利用客は、ほとんどが若いアジア系ビジネスマン。明らかにワンランク上のアジアが進出してきている。

「ザ・ワン:ブティックホテル」のエントランス。モダンで造りの中にも、アジア的な装飾が施されている

近未来的デザインで統一されたロビー


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