2016/03/04発行 ジャピオン854号掲載記事

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お話を聞いた人

アーロン・レズニーさん
ブルックリン出身。週刊誌「ニューヨーク」のグルメ欄担当カメラマンとして活躍。「EatingDelancey]では写真担当。


ジョーダン・シャップスさん
シカゴ出身。同じく「ニューヨーク」誌の元ライター兼編集者。同著の監修を担当。

ジューイッシュ料理の基本は「家族」。どの家にも伝統の味があった

同書に登場する「フランケンの甘酢煮」


デザート「シーロットルッス」

ジューイッシュグルメは
家庭のぬくもり

ジューイッシュの食文化や新しい動きについて、「イーティング・デランシー」の著者アーロン・レズニーさんとジョーダン・シャップスさんに聞いた。

――ジューイッシュ料理を一言で表すと?

 アーロン(以下A)ユダヤ移民が東ヨーロッパで食べていた家庭料理。ベースが貧しい田舎の料理なので、解体した肉なども無駄にしないのが特徴。例えば牛や羊の頭の肉をゼラチンで固めた冷肉「ヘッドチーズ」みたいにね。

 ジョーダン(以下J)ジューイッシュ料理の最大の特徴は、家族で食べること。家族や親戚を一つにまとめる大きな役割があるんです。

 A家庭料理はどれも非常に長い時間をかけて作ります。中でも僕が個人的にジューイッシュ料理の代表だと考えるのはブリスケット。牛の前股の内側にある部位「肩バラ肉」ですが、イディッシュ語の呼び名は「ブルスト」。これには「こころ」という意味もあって、ブリスケットこそがユダヤ人のソウルフードなんです。

――ジューイッシュ料理と聞くとコーシャー(宗教上の食物規定)が思い浮かびますが。

 Aそもそもコーシャーの規則は健康維持のために生まれたものです。例えば、水底近くに生息する魚介類を忌避するのは、彼らが汚物やゴミを食べるため衛生的でないからです。

 J「乳製品と肉類を一緒に料理しない」ルールも、乳製品を加熱調理した鍋に残った酸味が肉に付着して味を落とすのを防ぐための生活の知恵なんです。

――コーシャー規則を守らないとジューイッシュ料理とはいえないですか?

 Jそんなことはないよ。家庭で全てコーシャーを守るのは現代生活では至難の業。僕なんかもなるべくコーシャーの肉を買うようにはしているけどね。

 A味の面では、と殺方法に気を配るコーシャー肉は絶対良質。コーシャーの加工品も混ざり物がなくて味わいがいい。その分高いけどね。コーシャーっていうのはヘルシー志向と同義語だと思いますよ。

――ジューイッシュ料理で今一番新しい動きは?

 A僕の子ども時代、つまり40数年前には市内で5000軒近いジューイッシュデリがあった。それが今では5〜6軒しか残っていない。僕らの食文化は絶滅の危機にあるともいえる。

 Jそんな中でも、数年前からジューイッシュ料理の見直しが少しずつ始まってきた。最近ではオシャレな料理店がぽつぽつ登場している。どの店も手作りの製法と食材にこだわるのが共通点。おいしいと評判です。

 Aニューヨーカーが家庭的なぬくもりに回帰しているんじゃないかな。

「Eating Delancey: A Ce- lebrationofJewish Food」
写真:アーロン・レズニー
監修:ジョーダン・シャップス
2015年PowerHouseより刊行。


ジューイッシュグルメのメッカ、デランシーストリート周辺。各界の著名人が子どもの頃に食べていた料理を振り返るとともに、ベーグル、魚の薫製、B級スイーツなどを美しい写真で紹介。おふくろの味や有名店の定番メニューを再現したレシピも充実。


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