2016/01/01発行 ジャピオン845号掲載記事

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お話を聞いた人


瀬河寛司さん
1997年文化庁在外研究員に選出され来米。エイリースクールで研さんを積んだ後、エイリーIIに在籍。2006年にはダンスプロジェクトニューヨークを設立。日米両国で次世代の育成に当たる。11年にAAADT入団。妻は振付家のジェシカ・ラング。


推薦者のことば


茶谷正純さん
AAADT
芸術監督補
Photo by Andrew
Eccles

寛司君は稽古熱心で真面目。ステージでは他の人にはない個性を発揮しています。特に現芸術監督のロバート・バトルから絶大な信頼を得ていて、2人はAAADTの次の時代を切り開くと思い、楽しみにしています。

新しい年に私の踊りを捧げたい
モダンダンサー 瀬河寛司さん

瀬河寛司さんは、アメリカを代表する現代舞踊団「アルビン・エイリー・アメリカン・ダンスシアター(以下AAADT)」で、ただ一人の東洋人ダンサー。1958年に振付家、故アルビン・エイリーが創設した同舞踊団は、アフリカ系アメリカ人のリズム感や音楽をベースに、人種を超えた人間の喜怒哀楽を躍動的に表現。半世紀以上世界を魅了してきた。

遠回りしてかなえた夢

幼少から舞踊家の母による指導の下、一流ダンサーへの道をまっしぐらに進んできた瀬河さんにとってAAADTで踊ることは究極の夢。その実現を目標に97年来米。付属の学校で研さんを積み、エイリーⅡというセカンドカンパニーにも参加した。その後、約10年間、メトロポリタン歌劇場や、マーク・モリスなど他の舞踊団でも活躍したのち、2011年に300倍以上の競争率を勝ち抜いてAAADTへの入団を果たす。日本人としては24年ぶりの快挙だ。

人々のために踊りたい

AAADTは年間の半分以上を、200を超える国内外の巡業公演に費やす。本拠地のニューヨークに戻るのは年末年始のこの時期のみだ。「15年は春の全米ツアー、リンカーンセンター公演、パリ4週間公演、そして南アフリカ公演と、息つく間もない1年でした」と振り返る瀬河さん。AAADTに所属することで何よりも痛感するのは、「日本と違い、海外ではダンス公演が一部の愛好家だけでなく、広く一般の人から愛されていること」と言う。
ステージの合間には、各地の小学校でワークショップを手掛けるなど、ダンスを通じた教育や交流も欠かさない。
「エイリー氏が提唱したAAADTの大切なモットーは『人々のためのダンス』なんです。自己満足のために踊るのではない。今の世界情勢を見ると権力の台頭、エゴイズムのまん延など不安要素は多いですが、そんな時代だからこそ、私たちダンサーが伝えるべきことがある。それは、(胸をたたいて)ここから出るもの。つまり人間の精神のパワーだと思います」
現在、AAADTはシティーセンター劇場で定期公演の真っ最中。瀬河さんも1月3日の千秋楽までほぼ毎日出演する。
ニューヨークの観客は、とにかく熱狂的で、劇場の客席が近いこともあり観客と舞台が一体化するという。中でも毎回必ず盛り上がるのが、AAADTのおはこともいえる演目「レベレーションズ」だ。
「黒人霊歌をベースにしたエイリー氏の名作ですが、とにかくパワフル。一度見たら圧倒的な生命力に魂を奮い立たされる。あのエネルギーは他のどんなダンス作品にもありません」

一瞬一瞬を大事に生きる

全米、全英ツアーを含め16年のスケジュールはほぼ決まっている。37歳の瀬河さんはAAADTに所属するダンサーの中ではベテラン格。
「回り道をしましたが、今がダンサーとして一番楽しいですね。でも、けがでキャリアが突然絶たれる恐れもあります。だから今は一瞬一瞬を大事にして、自分が学んだテクニックや練習の成果を、見てくださる方々に捧げたいです。ここまで来られたのは、決して自分1人の力ではありませんから」

アルビン・エイリー・アメリカン・ダンスシアター定期公演
【日程】2016年1月3日(日)まで
【場所】New York City Center
131 W. 55th St.
(bet. 6th & 7th Aves.)
【チケット】25ドル〜150ドル
www.alvinailey.org/citycenter


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