2015/11/06発行 ジャピオン838号掲載記事


Pages:      

お話を聞いた人


ケン青木さん

服飾コンサルタント。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服専門のアパレルブランドTom James of New York (www.tomjames.com)でコンサルタント業に携わる。

「個性的な英国紳士」がボンド・スタイル
ボンドのダンディズムを服装から考察してみよう。半世紀もの間ファンを魅了するボンド・ファッションについて服飾コンサルタントのケン青木さんに聞いた。

Q 英国紳士の身だしなみについて教えてください。
A アメリカ人がズボンの折り目をぴんぴんにつけて、靴もピカピカに磨くのに対して、英国紳士はどちらかというと渋め、控えめにします。コーディネートに関しては、その日まず適当につかんだシャツとネクタイを合わせる。つまり何をどう組み合わせてもそれなりに収まるんです。
西洋のスーツの仕立ては「生きている人間の躍動感」を表現しているので立体的なんです。よろいのように胸の膨らみがあり、イングリッシュドレープと言いますが、特に英国の服はそれが大きいです。
あとは姿勢ですね。ヨーロッパの貴族のルーツは騎兵なので、スーツも乗馬服がルーツ。英国のスーツは馬に乗ったときの背筋が伸びた姿勢に合うように作られています。


Q ボンドのスーツスタイルの特徴は?
A 代々ボンド役が変わる度にテイラーも変わっているんですが、私たちファッション業界の中でボンドスーツというと、ショーン・コネリーのものです。彼のスーツを仕立てたのはアンソニー・シンクレアというテイラーで、サビルロウ地区(軍服や英国王室、貴族の服のテイラーが集中する)の少し外側に店を構えていました。なのでちょっと個性的なんですね。シンクレアだけじゃなく、007のテイラーはなぜかみんなサビルロウのちょっと外なんです。ボンドは国家公務員で海軍中佐なのでミドル階級。貴族が行くテイラーじゃないところにはそういう理由があるのかもしれません。
コネリーのスーツは胸が膨らんでいて、肩幅もしっかりしているけれど、ズボンはしゅっと細身。襟もネクタイも細身です。また、基本的にオールマイナーですね。つまり極端に言うとスーツ、シャツ、ネクタイ全部が無地でほとんど柄物を使いません。ハンカチの入れ方もTVフォールドと呼ばれる、簡単に折りたたんで入れる、すっきりしたスタイルです。
Q 同じボンドでもロジャー・ムーア版では服装がずいぶん違いますね。
A だいたい10年ごとにその時の状況も含めて、ボンドの服のデザインも変化しています。途中でコーディネートが変わってきたのは1970〜80年代です。ロジャー・ムーアとティモシー・ダルトンは流行を取り入れて柄物を入れたり、ベージュのスーツを着たりしていました。特にムーアの70年代スタイルはズボンもパンタロン気味になっていて、全体的に派手。当時はベトナム戦争に対する体制・政治不信など、既成概念に対する懐疑、反発などからピーコック革命、フラワーチルドレン、ウッドストックなどの影響が大きい時代でした。既成概念への反発がファッションにも見られます。
Q 最新ボンドスタイルは?
A ダニエル・クレイグのボンドスーツはコネリーのスタイルを十分研究した上で作っていると思います。トム・フォードのデザインですが、襟が結構広めのものが多いフォードのブランドとは違います。体にフィットしたスタイルがトレンドなので、ボンドスーツもしかり、ですね。

ボンドってどんな人?
英国の作家イアン・フレミングが生み出したスパイ小説の主人公で、英国の軍諜報機関MI6(Military Intelligence, Section 6)のエージェント、いわゆるスパイ。コードネームは007。同機関で00(ダブルオー)が付くと、任務遂行中に容疑者を殺しても不問に付されるという「殺しのライセンス」を持っている特別なエージェントのことを指す。軍での階級はCommander(中佐)。頭脳明晰、運動神経抜群で、屈強な精神力を持ち、セクシーでダンディーな容姿と破天荒な行動スタイルで女性のみならず男性をも引き付ける。1952年にフレミングの第1作が出て以来、ボンドを主人公にした映画、コミック、ゲームが次々に作られる。映画007シリーズの第1作「007 ドクター・ノオ」(62年)から最新作の「007 スペクター」まで6人の俳優がボンドを演じている。

 


Pages:      

過去の特集

NYジャピオン 1分動画


ただいま配布中発行

巻頭特集
人気が過熱するブルックリン区ウィリアムズバーグ...

   
Back Issue ~9/7/2018
Back Issue 9/14/2018~
利用規約に同意します
おすすめの今週末のイベント