2015/08/14発行 ジャピオン826号掲載記事

屋外で丸焼き、とろける子豚


屋外に勝る調味料はなし

 席数500以上を誇るジャージー・シティーの巨大ドイツ風酒場「ツェッペリン・ホール」に、肉焼きの名人がいると聞いて早速、訪ねてみた。

 名人の名前はフランコ・ロバゼッティさん。昨年、同店のエグゼクティブ・シェフに就任以来、肉系メニューの強化に着手。店はたちまち「ビールと肉料理がうまい」と評判になった。週末を中心に、店内はミュンヘンのビアホールを思わせるにぎわいぶりだ。

 フランコさんはベネズエラ出身。食の原点は、少年時代。イタリア系の血を引く父方の家族が教えてくれた週末恒例の家族ディナーにあるという。庭に大テーブルを置き、その上に所狭しと乗った料理を、みんなでおしゃべりをしながら1日かけてゆっくり楽しむのが常だった。フランコさんのポリシーは「アウトドアに勝る調味料はなし」。同店でも、そよ風が気持ちいい4月~10月は、ガーデン席をすすめる。

 「ビールのお伴はやはり、夏季限定の特設グリルで豪快に焼いた肉しかないでしょう!」と肉焼きの名人は胸を張る。

これぞ肉のパラダイス

 中でもおすすめは、子豚の丸焼き「レチョン」。「地元の養豚家から直接仕入れた『乳児豚』のみを使っています」と、フランコさん。母乳だけで育っているので肉に臭みがなく、とにかく柔らかい。おなかにオレンジの皮とタイム(ハーブ)を詰める以外、味付けは塩とこしょうだけ。まずは豆炭にじっくりと火を通し、焼く際に「メスキート・ウッド」というマメ科の薫製用木材を周囲に配して軽くスモークするところがポイントだという。「屋外で焼くから、スモークの加減がちょうど良くなる。ハドソン川の川風もスパイスの一つさ」

 フランコさんのこだわりは半端ではない。数分おきに焼き具合をチェックしながら、時折、バーから調達したアップルサイダーを豪快に子豚全身に回しかける。快音とともに立ち上る湯気が、いやましに食欲をそそる。「こうすることで外皮の温度が下がり、パリパリの食感に仕上がるんだよ」と教えてくれた。

 焼き始めから5時間。もも部分を見て完成を確認したフランコさんは、グリルから子豚を外す。「中南米人やアジア人は外皮が大好き。アメリカ人はバックリブ(背中部分のあばら肉)に夢中だね。頬肉や耳を希望する『通』な方は、事前に僕に相談して下さい」と片目をつぶるフランコさん。約27キロの子豚の全身を、一切無駄にしない。「試しにこれも食べてみて」と差し出されたのは、太もものベーコン。時間をかけて調理しただけに香ばしさが均等に行き渡り、脂身と相まって染み出るほのかな甘味はお菓子にも近い。「人生が変わるでしょ?」ドヤ顏のフランコさんに返す言葉がない。

 同店では子豚以外にも、牛の骨付きもも肉のグリル「ダイナボーン」や、17時間かけて超スロークックした「ブリスケット(牛肩ばら肉)」など、本格肉料理のチョイスが豊富。さらに、値段も驚くほどリーズナブルなので、肉好きにはたまらない。正に、肉の楽園だ。

 夏が終わらないうちに、川を越える価値あり!



夏の週末限定で調理される子豚の丸焼き「レチョン」は、自家製バーベキューソースとあえ、「プルドポーク」(10ドル)として提供される


まるで恐竜の足を思わせる豪快な牛肉料理「ダイナボーン」(17ドル95セント)にかぶりつく、同レストランの常連客


40種以上あるドラフトビールのセレクションも、人気の秘訣



「肉×ビール=最強の夏グルメ」と熱弁する、シェフのフランコ・ロバゼッティさん


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