2015/06/19発行 ジャピオン818号掲載記事


近藤司さん
「渋谷区の同性パートナーシップ条例を皮切りに、日本もニューヨークのようにもっともっとリベラルになっていってほしい」と語る近藤司さん。現在は、再びニアベの制作チームで最新作を制作中。プロデューサーやプロダクションマネージャーなども募集している(詳細はニアベのウェブサイトを参照)


ウェブドラマ「セカンドアベニュー」(www.2ave.weebly.com)の一場面

LGBTだけでなくみんなでプライドを



ゲイであることを公言し、ニューヨークで伸び伸びと生活する脚本家兼俳優の近藤司さんに、この町の魅力、そしてプライド月間の楽しみ方などについて聞いた。

 ニューヨーク市を拠点に脚本家兼俳優として活動する近藤司さんは、23歳まで自分がゲイであることを誰にも打ち明けたことがなかった。

 2008年、大学卒業後、演劇の勉強を極めるべくニューヨーク留学を決意したとき、両親とごく親しい友人だけにカミングアウト(告白)し、すかさず渡米。以来、一度しか祖国の土を踏んでない。

 「子供の頃から他の男性とは何か違う」と感じていたという近藤さん。青春時代は周囲にも本当のことが言えず悶々とした。「僕は『空が青い』って知っているのに、みんなが『赤い』というから、仕方なく世間に合わせる。そんな日々でした」

 それだけに、ニューヨークに来たら全く新しい人生の扉が開いた。「13年にオバマ大統領が2期目の就任演説でLGBTに敬意を表しているのを聞いて、この国ならゲイでも就職や結婚、子育て、老後と普通の人生が送れるんだなと思い、感動しました。それまでは将来の人生設計なんて考えられなかった」と振り返る。


ゲイが特別ではない街

 演劇学校卒業後に仲間と作ったウェブドラマ「セカンドアベニュー(通称ニアベ)」が、ネット上で話題を呼んだ。女優を夢見て日本から来たグラビアアイドル、マリコと、ゲイのルームメイト、タイチのニューヨーク奮闘記をコメディー仕立てで描いた全6話のミニシリーズで、近藤さんは脚本を書き下ろした上に、タイチ役を自ら演ずるという多才ぶりを見せている。

 ニューヨークで同居人がゲイなんて日常茶飯だが、「ニアベ」では男性同士のラブシーンなどがさりげなく登場する。「日本向けのコンテンツで、日本のテレビドラマでできないことに挑戦してみようと思ったとき、自然にこのテーマになったんです。コメディーにしたのは、ゲイ以外の幅広い視聴者に観てもらいたかったから」と近藤さん。本人の分身とも思えるタイチに、LGBTへの先入観をチクリと刺す台詞をたびたび言わせている。


「プライド」の意味

 近藤さんが渡米してから、米国のLGBTを巡る状況はどんどん進展した。いまや、ニューヨークを含め同性婚を認める州も増え続けている。PublicReli- gion Research Instituteによる世論調査では米国民の65%が同性婚に賛成。折しも、連邦最高裁では同性婚の合法化を審議中で6月中にも判決の見通し、という背景がある中で迎える今年の「LGBTプライドウイーク」は、一層の盛り上がりが期待される。

 しかし近藤さんは、セクシーなコスチュームをまとった人々が過激に踊るパレードの派手な部分だけに目を奪われてはいけない、と指摘する。「僕が最初にパレードを見て感動したのは、同性愛者の人たちだけでなく、彼らをサポートする家族、友人、職場の同僚など、ストレートの人たちも大勢参加しているところです」

 ゲイの権利は、ゲイだけでなくみんなで闘い、勝ち取ったもの。その苦悩と勇気に「誇り=プライド」を持とうというのが、このイベントの身上なのだ。

 「11年にニューヨーク州が同性婚を合法化したとき、クオモ州知事がパレードに参加しましたが、あの時の拍手喝采はものすごかった。今でも忘れられませんね」


差別のない世界に感謝

 とはいえ、プライドウイークは街を挙げての大祝祭。海外からも参加者が集まり、ニューヨークの大事な観光資源の一つになっている。「イベント中は、あちこちでパーティーが開かれています。大箱のクラブならチェルシーの『Gラウンジ』。通好みはヘルズキッチンの『セラピー』や『インダストリー』(いずれもチャージなし)がおすすめ。あとはイーストビレッジにも新しい店があります」と近藤さん。

 セクシャル・オリエンテーションの垣根を越えて、差別のない世界を祝福し、人生を謳歌するのがこのお祭りの真髄と心得た。


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