働き盛りの猛者が集う、当地唯一の日本人男声合唱団が、存在感を放っている。「男声グリーだから」という理由で門戸をたたいたと話すメンバーに。「僕はだまされて入ったんですよ!」と、すかさず合いの手が入る。そんな気の置けない雰囲気も、この合唱団の魅力に違いない。
もともと体育会系という桐ヶ窪満さんは、「ずっと続けられる文科系の活動をしたいと思って入った」と振り返り、男声音ならではの、音の広がりと深みにはまったと話す。
譜面と対話しながら仕上げた曲は、これまで20数曲。おはこの「いざ起て戦人よ」などは、練習後の打ち上げでシメの一曲としても歌われ、道行く人々も足を止めて歌声に聴き入るほど。一同、「やめられないよね~」と聴いてもらう快感を隠さない。
「そこ違う、音符見て、呼吸意識!お腹に力入れる! 音を丸の中に入れていくイメージで!」。ボイストレーナーの活だけを聞いていると、合唱はまさに全身運動だ。MGCNYは今年5月、カーネギーホールで日米合唱祭のひのき舞台を踏んだ。「あの達成感と爽快(そうかい)感はたまらない。思わずハイファイブでした」とは長倉雅彦さん。
不安も吹き飛び、歌声がぴったりと合った瞬間を思い出し、「カーネギーには何かあると思いました」と真剣なまなざしで話すのは、グリー歴4カ月の東善信さん。「それぞれのパートの役割を考えたり、その音を聴いて一緒に音をつくる過程は、仕事にも共通する要素があるかも」とも。
楽器伴奏がないのも男声グリーの大いなる魅力。達成感を追い求め、今日もハーモニーを響かせる!
「自分の役割を意識できるのも魅力の一つ」と東善信さん。
「観客に感動の涙を流してほしい」と指揮者の山内竜志さん。
火曜日の夕刻。ビジネス街にニューヨーク混声合唱団の歌声が流れる。曲は組曲「蔵王」から「苔の花」。ソプラノの清らかな主旋律に優しく寄り添うアルト。テナーが若々しく大自然の躍動を歌い上げれば、バスが重厚な低音のすそ野をつくる。混声ならではの、カラフルで重層的なサウンドがこの合唱団の持ち味だ。
2004年に、第一号女声団員となった多川裕美さんは「混声の一体感がいいんです。合唱はやめられません」という。「私も合唱〝中毒〟よ」とおどける、70代の最高齢メンバー渡邉つぎ枝さんは、定期演奏会の本番より毎週の練習が楽しいと語る。
オーディションもなく、「老若男女誰でも随時入団歓迎」がポリシーだが、練習は厳しい。自宅での予習は必須。練習中には、プロのボイストレーナー嶋田あや先生が個別に声の指導をする。
アーティストの田辺利之さんは4年前、大病をきっかけに参加し、人生観が変わった。「みんなで声を一緒に出すことで新しい自分を発見できる。生きてるって素晴らしいですよ!」。
大家族のように和気あいあいの同合唱団には夫婦で参加するメンバーも。小林直美さんは元セミプロ合唱団に所属していた経験があるが、夫の秀太さんは歌といえばカラオケでミスター・チルドレンを歌う程度だった。「声がいいね」と妻におだてられて入ったら「一緒に歌う仲間が素晴らしくて世界が広がりました」と秀太さん。夫妻は8月に第一子が誕生予定。「合唱は胎教にも最適だそうです」と、臨月間近でも直美さんは練習を欠かさない。早くも、お子さんの入団は決定済み?
「みんなで和音ができたときの感動はひとしお」と多川裕美さん。
「胎教にもいいみたいです」と小林秀太・直美夫妻。


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