ニューヨークには数少ない、ハンドメードの革工房を訪れ、名職人とその弟子たちに、革小物作りの魅力について語ってもらった。
クオリティーの高い革小物で知られ、日本でもシップスやユナイテッド・アローズといったセレクトショップでその製品を入手できる革ブランド「ユッタ・ニューマン・ニューヨーク」。その創業者で、革職人でもあるユッタ・ニューマンさんは、革小物作りの魅力を「デザインから仕上げまで全部、自分の力でできること。すべての工程が楽しく、甲乙つけ難いですね」と語る。ドイツ出身のユッタさんは、1980年代半ばにニューヨークへ渡ってきた。子育てが一段落した時に、偶然出合った革小物作りに魅せられ、工房に弟子入り。家具から洋服まで、生活に必要なものはすべて自分たちで作る家庭で育ったので、素地は十分にあった。6年間のアシスタントを経て、94年に独立し自分の工房を構える。原材料の牛革は、そのほとんどをイタリアから、一部をドイツから輸入しているとのこと。
現在、工房にはアシスタントが4人勤務。そのうち二人は日本人だ。ユッタさんは、「ドイツ人と日本人は、品質に対するこだわりやディテールへの気配り、勤勉さが似ていて、とても働きやすいです」と評価する。勤めて6年になる光宗(みつむね)綾子さんは、個人的に洋服などを作っていたが、革の経験はゼロだった。失敗して怒られながら、ノウハウや技術をユッタさんから学んだと言う。「革は自由自在になるのが面白いです。たとえば湿らせて圧力をかけると全く別の形になり、普通の布地ではできないことができます」と光宗さん。近い将来、独立することを目標に自身の作品も作っている。
インターンを含めると勤務歴2年半になる清水太一さんは、FITのアクセサリーデザイン科を卒業後、同工房に就職。清水さんは、「革は一つひとつ顔が違うし、手作業なので職人のクセもあり、全く同じものは作れない。ここで作っているのはすべて、一点ものと言ってもいいですね。出来上がった製品は、自分の子どもみたいです」と目を細める。清水さんも、将来は独立して自分の店を持ちたいとのこと。革小物から、夢が大きく広がっていく。
材料や道具が並ぶ工房で、サンダルの底の革を固定するため、ハンマーで専用の釘を打ちつけるユッタさん(右)。
房に併設された店内に並ぶ製品。同じデザインや色でも、一つひとつ微妙に趣が異なり、まさに一点もの。
ヘッドの部分が革のハンマー、ローハイド・マレットを打ちつけ、リストバンドに穴を開ける。
左から、光宗さん、ユッタさん、清水さん。笑顔がすてきなユッタさんだが、仕事には厳しい。


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