インストラクターのJustin Scottさん。クライミング歴16年のベテランだ。
ロッククライミングは屋内で年中楽しめるが、アイスクライミングは冬しかできない。今体験せねば、と取材班が訪れたのはキャッツキル。ニューヨーク市周辺のアイスクライマーたちに人気のエリアだ。とはいえ、初心者が我流で挑戦するのは無理。「イースタン・マウンテン・スポーツ・クライミング・スクール」が開講する入門クラスに参加した。
取材当日は、なぜか突然春のような暖かさに。インストラクターのジャスティン・スコットさん曰く、「実は、初心者には暖かい方が登りやすいんですよ」。気温が高いと氷が軟らかく、クライミング道具のスパイクが刺さりやすいからだという。ちょっと特殊なスポーツだけに、登れるスポットは限られているのではと思いきや、山中に行けば、道路そばの崖に滝のような氷壁が無数に見つかる。雪解け水が、流れ落ちる途中で凍ったものだ。この日はハンターマウンテン近くで練習することに。
専用ブーツの底に、金属製のスパイクがついた「クランポン」を装着し、ハーネスとヘルメットを身につけて準備完了。まずは、鎌のような形をした「アックス」の使い方から。氷壁に対して垂直に刃先を打ち込めばグラグラせず、体重を支えられる。氷壁をつま先で蹴り、クランポンのスパイクを氷に刺す。これをしばし練習してから、実際にクライミング開始!
命綱はあれど、ある程度の高さになると、怖い。アックスやクランポンがきちんと氷に刺さっているか心配で、何度も氷をたたいたり蹴ったり。体重を支えようと、前腕やふくらはぎに不要な力を入れてしまい、体力を消耗する。疲れてくると、アックスを垂直に打てず、何度も氷をたたき、更に体力を消耗する悪循環。「あぁ、もうだめ…」となり、アックスから手を放し命綱に度々救われる。手足を伸ばして壁に張りつき、無駄な力を抜くのがコツのようだ。
悪戦苦闘しながらも、高さ10メートルほどの氷壁を何とか登りきる。「征服したぞ!」感は格別だ。太陽の光を受けて輝く氷が余計に美しく見える。これもアイスクライミングの醍醐味だ。
暖かい日は雪解け水が常に滴る。防水のジャケットと手袋は必須アイテムだ。
手前にあるのがクランポン。つま先(左側)についた2本のスパイクを、氷に刺しながら登る。
キャッツキル山中では、道路脇の崖などに滝のような氷壁が無数にある。


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