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2008/11/28発行 ジャピオン掲載記事
   
生活の中に折り紙の美を

折り紙ジュエリー
ブローデック綾子さん

ブローデック綾子さんは、折り紙を使ってネックレス、イヤリングなどを作る、折り紙ジュエリー・アーティストだ。子供の頃、徳島に住む祖父母を訪ねる時に乗ったフェリーの中で、退屈しのぎにと、お母さんが飴の包み紙を使って教えてくれたのが、最初の折り紙体験。渡米後、自分の子供の通う小学校にてボランティアで折り紙を教える機会があり、その時つけて行った自作の折り鶴のイヤリングがママ達の間で注目され、それをきっかけに本格的に作り始めた。ウエブサイト「OriCraft」を立ち上げ、2007年には、折り紙ジュエリーの作り方を紹介した本『ORIGAMI JEWELRY』(講談社アメリカ)を出版。現在はニュージャージーを中心に、クラフトショーに出展する他、学校などで折り紙を教えている。

そのジュエリーは、鶴、風船など、日本人なら小さい頃に折った記憶のある折り紙を基にしたもの。和紙で折った物にコーティング剤を塗って形を固定させ、アクセサリー用の金具を付ける。「小さい物は難しいですが、日本人の器用さをもってすれば、誰でもできます。ぜひトライしてみてください」と綾子さん。
 他にも、ポチ袋やカード、リースやフラワーアレンジメントと、綾子さんが折り紙で生み出す作品は様々。折った物をただ飾っておくだけでなく、それを身にまとい、生活の中で実際に使う――幼稚園や小学校の頃にはできなかった、新しい折り紙の楽しみ方が、そこにはある。

 

OriCraft
TEL: 201-594-0207
www.oricraft.com
※作品は、各クラフトショー、紀伊國屋書店ニューヨーク本店などで販売中。来年3月より、ニュージャージーのRidgewood Community Schoolにてクラスも開講。

右は、折り紙の風船を、膨らませる前の状態でつなげたネックレス。人気ナンバー1は蝶のモチーフだ(左手前)。10ドル〜。

 

紙とコーティング剤の他は、細かい作業のためにつま楊枝、そして時々糊を使う程度。大仰な道具は必要ない。

 
 
折り紙で広がる物語の世界

ストーリガミ
シュリカント・アイヤーさん

「チップ君とドッツ君は、ママへの誕生日プレゼントを探していました。二人は街へ歩いて行きました。お店に着くとチップ君は…」――こんな子供向けの「おはなし」語りと折り紙をドッキングさせたストーリガミ(Storigami)。シュリカント・アイヤーさんは、コンピューターエンジニアの仕事のかたわら、この遊びをミュージアム、病院、学校、教会などで教えている。

インド出身のシュリカントさんは、子供の頃テレビで日本の折り紙に出合った。渡米後、ロングアイランドで70年代からストーリガミをしているという「アイコン的存在」、レイチェル・カッツさんに出会ってストーリガミを知る。自作のお話も含め、現在「持ちネタ」は20以上だ。

「ダウンタウンへ行きました」と言いながら、紙を下へ折り返す。「山に登りました」と三角形に折る。折る手順も物語の一部になっていて、話が終わると一つの作品が完成する、というのがストーリガミだ。できた物を使って、更にお話をするパターンもある。

「お話と連動しているので、折り方も覚えやすくなるんです」とシュリカントさん。ストーリガミによって、子供は話を聞く力、注意して見る力、そして自分で折る力の三つを養えるという。「ただ折り方を説明しても、じっと座って聞いていられない子供もいますが、お話をつけるとみんな最後まで楽しく聞けるんですよ。ストーリガミで、折り紙がもっと身近なものになるんです」。

 

Shrikant Iyer
TEL: 631-804-2280
shrikant.iyer@gmail.com
※下記はShrikantさんも習ったストーリガミのパイオニア、Rachelさんのウエブサイト。ストーリガミの作品例も掲載。
www.origamiwithrachelkatz.com

子供に見せる時は意識してゆっくり話す。最初は見るだけ、次は一緒にやってみるために、計2回折るという。

 

オリジナル・キャラ「チップ&ドッツ」のお話から、「おさいふ」が完成(手前)。ペンギン、ウサギ、ボートなど、できる折り紙は様々。

 
 
折り紙の癒し効果を活用する

エンリッチメント折り紙療法
小林利子さん

ブロンクス精神医療センター勤務のアートセラピスト、小林利子さんは、折り紙を用いたアートセラピーをアメリカやペルーなどで実践し、効果を上げているという。

小林さんが考案したエンリッチメント折り紙療法は、患者に基本的な折り方だけを伝え、後は各自が自由に楽しみながら作品を作るというもの。「正しい折り方」はなく、マーカーなどで絵や言葉を足しても良い。一から絵を描くことはしたがらない患者でも、折り紙ならステップ・バイ・ステップで一緒に折り進めるので、とっつきやすいそうだ。最後まで折りきれないことから、集中力の不足が分かるなど、折る過程や作品から、患者が言葉にできなかった問題点も見えてくる。共に作品を作るうちに会話も生まれ、人間関係が育まれる。作品を完成させることで達成感を得られ、自信にもつながっていくのだという。

「といっても、折り紙のセラピー効果は、精神病患者だけのものではないんです」と小林さん。より良く生きるための必須条件を、1.健康、2.安全な生活、3.良い人間関係、4.心の安定、と小林さんは定義している。折り紙は、指先を動かすことで脳を刺激し、ストレス解消にもなるので健康を促す。道具を使わないため、危険も少なく安全だ。また、折り方を伝える・習うことでより深い人間関係を築け、作品を作ることによる充足感が心に安定をもたらすため、どんな人の生活も豊かにしてくれるのだという。

 

Toshiko Kobayashi
eoartt@gmail.com
※次回ワークショップは、来年2月の日系人会敬老会にて予定。一般向けや子供向けのワークショップも、随時依頼に応じて開催。

ブロンクス精神医療センターの患者の作品。同じカエルを折っても、できる作品は人それぞれユニークだ。

 

日系人会シニアウイークの、折り紙ワークショップで。手先を動かす折り紙は脳に刺激を与え、認知症防止にもなる。

 
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