ニューヨーク湾内で、サメやアザラシを見たこともあるというエリック・バードさんは、「こんな大都会でも、海や川の生き物に出会えるのが良い」と、カヤックの魅力を語る。また、人ごみから少し距離を置くと安心できるという。「一人で川に浮いている時間は、プライバシーが保たれているって感じるんだ」。
バードさんの祖父や曽祖父達は皆、タグボートの船長や水上作業員など、船に関わる職業に就いていたそうだ。「彼らはカヤックには乗らなかったけど、水に浮いていると、先代達とのつながりを感じるんだ」とバードさん。それだけでなく、アウトドアの好きな人や、環境問題に関心を持つ人などにも多く出会えることがカヤック最大の魅力だと語る。
バードさんの創設した「ロングアイランドシティー・コミュニティー・ボートハウス」では、できるだけ多くの人にカヤックを楽しんでもらいたいと、「シット・オン・トップ」と呼ばれる型のカヤックを使用している(写真上参照)。伝統的なカヤックは下半身を艇内に収めるため、転覆した際に備え、起き上がったり脱出したりする訓練が必要だが、シット・オン・トップ型カヤックは平たいので、よほどの大波を受けない限り転覆しない。また、コックピットに「入る」必要がないので、乗り降りも簡単だ。初めての人でもすぐに楽しめるようにと、1960年代にビーチリゾートで生まれた。
いくら乗るのが簡単とはいっても、初心者が自由気ままにニューヨーク湾内を動き回るのは危険。「必ず、上級者について行くこと」とバードさん。同湾内は船の通行量が多いので、その航路をある程度把握しているガイドが必要だ。また、相手に自分の存在を気付かせるための、明るい色のライフジャケットやホイッスルも必須アイテム。
イーストリバーやハドソン川で盲点になりがちなのが、潮の変化。満潮時と干潮時で6フィート(約180センチ)も水位差があり、風景がガラリと変わるため、注意しないと帰るべき船着場が分からなくなることもある。
少し慣れてきたら、ガイドのついたツアーに参加すると良い。「僕達のツアーがおすすめだよ。イーストリバーには運河や入り江が多いから、眺めていて飽きないね」。 |