ひと休みした後、ナイヤックからI─87を北上、再びハドソン川を越え、「ディア・ビーコン」で有名なビーコンへ向かう。目的は、バナマン・アイランドだ。
この島は、ネイティブ・アメリカンの時代から憑りつかれた場所として、彼らが絶対に近寄らなかったという呪われた島。が、1900年に武器商人として世界的に有名だったフランシス・バナマンが商売道具の武器を保管するために島を買い取り、スコットランド風の城を建設。その時、波止場の足場を造るために買い取った船の主だった船長が、つらいから自分が立ち去るまで船を沈めるのを待つように懇願したが聞き入れられず、悲嘆に暮れて死んだ。その後、「出航」を意味する鐘の音が頻繁に聞こえるようになったという。1967年にバナマン家が島ごとニューヨーク州に売却したが、その2年後に原因不明の大火ですべてが焼き払われる。
「バナマン・キャッスル・トラスト」が島内を整備後、2004年から地元のクルーズ会社と協力してツアーを再開するまで、「出る」という噂話だけが先行する禁断の島だったというわけだ。
島上陸後はヘルメットをかぶらされ、探検隊の雰囲気が盛り上がる。ガイドがつきっきり、城の内部には入れないということで、ブルーシャさんは、「内部に行くと何かいるような感じはしますが、近くに行かないと何とも…」。が、横から城の正面に回った時に、「あっ、でもあの入り口のアーチの影になっているところがヘンな感じがします。それに、太陽が出ているうちは自縛霊はどこかに退散していますが、夜真っ暗になると出てきます。廃墟にはもともと霊が吹きだまりやすいし、すごいでしょうね」。4時半出発のツアーだったので、そろそろ6時になる頃と、早速うろたえ出す取材班。
実は、出発前に同トラストのニールさんから、近ごろ資金集めのディナー・パーティーを島内で夜間催した際に、「聞こえるはずのない音」が聞こえたと言う人が続出したという話を聞いていたのだ。その後、島の最上部にあるバナマン家の旧邸宅(といっても完全な廃墟)も見学したが、「ああ、何かちょっと薄暗くなってきたみたい」と気もそぞろ。6時半過ぎに島を後にした。
今回は、「どうせ観光地だし」と全く期待していなかったサニーサイドでいきなりゴーストから不意打ちの〝歓迎〟を受け、腰が引け気味のゴースト・ツアーとなったが、訪問したのはすべて夏の郊外旅行にふさわしく、楽しさのぎゅっとつまったエリア。ゴーストたちの住まいを(昼間のうちに)ちょっとお邪魔させてもらう、という心構えで臨めば、きっと彼らも温かく迎えてくれることだろう。 |