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2006/11/24発行 ジャピオン掲載記事

NYに生きる和

Chanto レストラン「Chanto」の壁面パネル。日本伝統の漆塗りをもとに、モダンな「ウルシ・アート」に仕上げた。
©Nacása & Partners, Inc.
寿司田 「寿司田」本店の内装は、一番心に残っている仕事。工事終了後、会社の史上初めて、デザイナーからの一発OKが出たからだ。


匠に聞く① 建具師
見て学び、見て作る 観察力と想像力がカギ

建具師・佐藤忠英さん(64)。日本での職業は「街の写真屋さん」だった。見習いから徐々に写真技術を身につけ、独立して写真館を経営していたが、「同じ一生ならいろんな体験した方が得かなあと思って」36歳で海外移住を敢行。親類のつてで、現在の会社に入った。

そこで、師匠・小林繁氏をはじめとした先輩らから、内装や家具づくりの技術を学ぶ。「先輩には恵まれましたね。学ぶ機会を与えてくれたことに感謝しています」と佐藤さんは振り返るが、とはいっても「職人は教えてくれない」もの。先輩らの仕事ぶりを、ひたすら見て学んだ。
幼い頃から、「見る」のは好きだったという佐藤さん。生家の近所には鋳掛け屋など、ものづくりを生業とする家が多く、子供の頃は「誰かが何かつくっていると、行ってずーっと見てた」という。「何でも知っときたいんです」と自ら語る通り、好奇心の強さは今も変わらない。面白い建物や家具を見つけると、常に観察してつくり方を想像している。

日本食レストラン、店舗、個人住宅など、日系・非日系問わず様々な建物の内装に関わって約30年。消防法などの違いから、ニューヨークでは日本と同じ素材や工法が使えないため、日本間を造るにも工夫が必要だ。やったことのないデザインに出合うことも多い。しかし、「難しいものが好きなんです」とそれらを楽しんでしまう。「見て考えれば、自然と作り方がわかってきますから」。

デザイナーの描く理想のデザインと、現場の現実が折り合わないこともままあるが、「できない」とは言わない。デザインを変えないよう「限界ぎりぎりまで」考える。理想を現実に近づける役として、自分の領域をわきまえ、それに徹するのだ。

7年ほど前から、職人を束ねる監督の立場になった。現在佐藤さんのもとで働く職人の大半は、南米からの移住者だ。異文化で育ってきた彼らには、日本の職人式の「見て学べ」は通じない。やり方を説明しなければならないが、かといって口で言っただけでは難しいことはすぐに「できない」と諦めてしまう。そんな時まず相手を納得させるのは、やはり自分でやって「見せる」ことだという。

約30年に渡る海外生活のうちで、日本に帰ったのはわずか2回。忙しく好きなことをやっているから、日本は恋しくならない。「今度帰ったら、お城巡りをしたいんですよ。『どうやってつくったのかな』と想像しながら…」。

佐藤忠英 建具師
佐藤忠英さん

建設会社「カツラ・コンストラクション」所属。障子、ふすまなどの建具だけでなく、畳やカスタムキャビネットなど内装関係を「何でも作る」。これまでに手がけたのは、紀伊國屋書店パリセイドセンター店、稲ぎく、りき2号店など多数。

Katsura Construction
761 Bruckner Blvd.
TEL: 718-585-7800
www.katsurainc.com

   
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