庶民が綴ってきたアメリカン・キルト
手芸や工芸だけでなく、かつては暗号にも使われたというアメリカン・キルト。どこから来て、どんな風に発展してきたのか、マンハッタンのキルト用品店「シティーキルター」のオーナー、キャシー・イゾさんに聞いてみた。
──アメリカン・キルトと他のキルトとの違いは?
手近なはぎれをパッチワークのように組み合わせていくのがアメリカン・キルトです。一つひとつ小さい布をあわせて、全く違った美しいものを作り上げていくところがその魅力。作品には、ベッドカバーや毛布など、生活に密着したものが多いですね。
──アメリカが発祥の地なんですか。
キルトはもともとヨーロッパで作られていたものですが、17世紀にたくさんのヨーロッパ移民が入ってくるのと同時に、この国にもたらされました。厳しい生活の中、ありあわせの布をつぎあわせて大きな布をつくりあげていくスタイルや、独特のパターンは移民が発展させたので、ヨーロッパとは違ったスタイルのキルトが生まれたんです。物資の不足していた1930年代には、動物の飼料を入れるための袋の布まで使いました。50年代に入って、衣料が安く手に入るようになり、キルトは下火になっていきました。
──高級なアンティーク・キルトや、アート・キルトもありますよね。
70年代に「ホイットニー・ミュージアム」でアート・キルト展が実施されたのがきっかけで、キルトが再評価され、そこから新たなキルト・ブームが始まり、今に至っています。コミュニティーによって素材の使い方や柄の種類に特徴があって、特にアラバマ州の貧村のアフリカ系アメリカ人の主婦たちが作ったGee’s Bendという作品群は、ルールにとらわれない独特の作風ですばらしいですよ。
──最近のトレンドは?
かつてキルトづくりはコミュニティーの人々や友達同士が集まってするソーシャル・アクティビティーでした。作品も大きなものが多かったですね。でも、今は個人が小さな作品、しかも生活に特に関係のないものを作る傾向にありますね。また、ビーズ・ワークや刺繍などのアート的なテクニックも加えた手の込んだものになってきています。
──ニューヨークとキルトって、あまりしっくりこないのですが…。
〝クリエイティブ〟という点では、アメリカン・キルトはニューヨークの街とフィットすると思いますよ。それに、キルトを作っているとリラックスできますから、仕事の疲れを癒す効果もあります。
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