心疾患の危険因子は健康診断で探す
本紙4ページのグラフでもわかる通り、心疾患は日本人の死因の16%を占め、がんに続き死因の第2位にランクされている。高齢になればなるほどその率は増加するが、30代でも1割以上の人が心疾患で亡くなっているのが現状だ。今回は、心疾患の中でも特に多いと言われる「狭心症」と「心筋梗塞」の症状や予防法について、服部宗雄先生に聞いた。
問題は酸素の需要と
供給のバランス
心臓は規則的に縮んだり広がったりすることによって、血液を全身に循環させる役目をしている。血液は人体組織が機能するのに必要な酸素や栄養素を運んでいるので、これが心臓に供給されなくなると問題が起こる。「必要な酸素の需要と供給のバランスがうまくとれているのが健康な状態です」と服部先生はまず説明する。では、なぜバランスが崩れるのか。ここで登場するのが、心臓の周囲を冠状に取り巻いている冠動脈。この冠動脈は心臓の筋肉に血液を送るという重要な役割を担っているが、この血管がつまったり、細くなったり、動きが鈍くなったりすると、十分な血液が心臓に供給されなくなる。よって需要と供給のバランスが崩れ、心臓の機能が停滞するのだ。これが原因となり狭心症や心筋梗塞といった心疾患が起こる。
狭心症、心筋梗塞とは?
発作的に胸がしめつけられる、強く押さえつけられる、胸の奥がじーんと痛むなどの症状が出たら、狭心症の注意信号。この症状は通常、数分以内、長くても15分以内におさまるが、これは狭心症より怖い心筋梗塞の前ぶれであることが多い。心筋梗塞の症状は狭心症と似ているがそれよりはるかに強く、激しい胸痛が急に起こり、数十分?数時間続く。しかも、発病後数時間ないし数日間の死亡率が極めて高い。
原因は「冠動脈の硬化、血栓、またはれん縮」と服部先生。動脈硬化は動脈壁にコレステロールが沈着して組織が壊され、壁が厚く硬くなり、弾力性を失った状態のこと。また、これが進むと血栓ができ、血管が塞がってしまう。一方、れん縮は冠動脈のけいれんで、これが起こると血流が鈍くなったり、全く流れなくなったりする。その結果、心臓への酸素の供給がなくなるというわけだ。
喫煙は危険! 狭心症・
心筋梗塞の単独危険因子
「喫煙は狭心症や心筋梗塞を引き起こす大きな危険因子です。アメリカの心臓医は〝たばこ、たばこ、たばこ〟と3回繰り返すほどですよ」と服部先生。先生によると喫煙以外の主な単独危険因子は男性であること、高脂血症、特にLDL(悪玉)コレステロール値が高い、糖尿病を患っている、家族や近い血縁者に心筋梗塞を患った人がいる、高血圧症、肥満など。これらの因子を持っている人は、性別は無理として、改善する必要がある。予防には禁煙をはじめ、高脂血症、糖尿病、高血圧症、肥満にならないようにするため、バランスの良い食事、適度な運動、適正体重の維持をこころがけよう。また、心筋梗塞には暴飲暴食、過度の疲労や緊張もよくない。また、病気が進行しているのを見逃さないためにも、定期的な健康診断で危険因子をチェックすることが重要だ。
発作がおきたらどうする?
「もちろん発作が起こらないように日常の運動量に気をつけ、精神的な安定を保つのが大切ですが、一旦発作が起こってしまったら、狭心症の場合はニトログリセリン、β遮断薬、カルシウム拮抗剤などの薬剤を使用します。ニトログリセリンは即効性があります。また、冠動脈の狭窄部にカテーテルを使ってバルーンを挿入して広げる経皮経管式冠動脈形成術を行うこともあります。心筋梗塞には、血栓を溶解する治療や、やはりバルーンのついたカテーテルを使って冠動脈の閉塞部を広げる手術やバイパス手術が施されます」と服部先生は話す。狭心症は数分で痛みがおさまるので、つい自分で判断して処置してしまいがち。しかし、心筋梗塞に発展する可能性も高いので、自分で対処するのではなく、なるべく早く専門医の診察を受けることが大切だ。
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