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2006/10/13発行 ジャピオン掲載記事

アメリカンビーフ派宣言!
NY一の愛肉家に聞く・アメリカンビーフのススメ
Craftsteak New York
85 10th Ave.
TEL: 212-400-6699
www.craftrestaurant.com
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  「子供の時、みんな何かに夢中になるよね。スポーツとか、音楽とか、女の子とか。僕の場合はそれが牛肉だった」…と語るのは、牛肉の素晴らしさを世に訴え続ける孤高の肉ジャーナリスト、ミスター・カツレツ氏。「ニューヨーク随一の愛肉家」を自認する彼とともに、ミートパッキング・ディストリクトにあるおすすめステーキハウス、「クラフトステーキ」を訪れた。
             
             ◇◆◇

 メニューに列記されたステーキの種類は、牛の飼料や熟成の日数などによって細かく分かれており、その数実に20以上。どれを選ぶか戸惑ってしまったステーキ初心者に、カツレツ氏は「アメリカらしい牛肉を」ということで、コーン・フェドのニューヨーク・ストリップ48日ドライドエイジを選んでくれた。コーン・フェドというのはトウモロコシを食べて育った牛の肉で、ニューヨーク・ストリップとは、牛の背骨付近にある脂肪と筋肉のバランスのとれた最高級ステーキ用部位。これを同店で48日間熟成(ドライドエイジ)させたものだ。
 一方のカツレツ氏は、日本式の飼育法で生産された米国産牛肉、「ワギュウ」をメニューに見つけて興奮気味。カツレツ氏がその産地をたずねたところ、ウエーター氏は「アイオワにあるスネイク・リバー牧場です」と即答。「エクセレント!じゃあそれで」とカツレツ氏。産地にまで細かくこだわるさまは、まるでワインを注文する客とソムリエのようだった。
 「いい肉を味わうときは、胃袋の準備体操が必要。空腹では味を楽しめないよ」というカツレツ氏の主張により、前菜にスープ、赤ワインを味わいながら待つこと約30分。いよいよステーキが登場した。 
 その途端、立て板に水のごとしだった牛肉トークを止め、食べることに集中しだしたカツレツ氏。目を閉じて眉間にしわを寄せ、音楽を鑑賞するかのように咀嚼しつつ、「ビューティフル…」と何度も呟きながら同店の最高級肉をみるまに完食してしまった。こちらもコーン・フェド特有の霜降り肉のジューシーさと、熟成によるコク、芳醇な風味をじっくりと鑑賞。そこへ、皿に残っていた骨の部分を指さし「それ、もらっていい?」とカツレツ氏。
 「肉ってこんなに素晴らしいのに、世の中にベジタリアンという人たちがいるのが僕には理解できない。牛と同じように人間も何を食べたかで人生変わってくるんです。情熱に満ちた人生を送りたいなら、もっと肉を食べよう!」そう語りながら、骨にむしゃぶりつくその姿には、牛肉に対する情熱のほとばしりが確かに感じられた。

「ミスター・カツレツ」ことジョッシュ・オゼルスキー氏。肉の素晴らしさを世に伝えるジャーナリスト。ニューヨーク・マガジン誌のオンライン・フード・エディターとして活躍するほか、愛肉家のためのグルメガイド、「Meat Me In Manhattan」など著作多数。

Wagyu/Grilled 12oz New York Strip(110ドル)。この店の最高級アメリカンビーフは、脂のコクと肉本来のうまみが調和して、スキのない上品な味だ。

超ベテランファーマーに聞く

こだわりビーフの育て方
 マンハッタンから車で北へ約2時間。のどかな田園風景の広がるコロンビア郡ハドソンで、自然飼育による牛肉の生産にこだわり続けるのは、ベテランファーマーのリチャード・バン・ウィーさんだ。
 東京ドーム12個分という広大な牧場には、ブラックアンガス種の肉牛約130頭が放し飼いにされている。
 「別に特別なことはやってないよ。彼らがストレスを感じずに暮らせる環境を作ってあげるだけ」と語るリチャードさん。ここでは、「グラス・フェド─コーン・フィニッシュ」という独自の飼育法を採用している。まず牧草で育ててあっさりした赤身を作り、最後の数週間だけトウモロコシを与えてマーブリング(霜降りに)するので、しつこすぎずほどよい脂肪分の入った肉ができるのだ。また、飼料をはじめ牛に触れるものすべてから、農薬や化学物質を排除。肉骨粉も使わないため、BSEとも無縁の安全な牛肉だ。
 時おり牛たちに「ヘイ、ビッグボーイ!」と親しげに話しかけるリチャードさんは、ここにいるすべての牛の顔を一目で見分けられるという。こうして愛情深く育てられた牛たちは、生後12カ月を過ぎた頃屠蓄業者のもとへ送られ、全米の家庭やレストランへ届けられるのだ。
 「(殺されるのが)かわいそうだとは思わないよ。ただ、いい肉になってこいよと思う」と、リチャードさんは娘を嫁に出す父のような表情で語る。「できるだけシンプルな味付けで食べてほしいね。肉本来の味を楽しんでもらえれば、彼らも牛冥利に尽きるはずだよ」。
 2代続いた肉業者の家に生まれ、「これまで人間よりも牛と過ごした時間の方が長い」というリチャードさん。「棺桶に入るまで牛と一緒だよ。あと20年くらいかな」と、これからも全米牛肉シーンの一角を支え続ける意気込みだ。

フードジャーナリストに聞く
注目のステーキハウスはココ!
 丹精こめて育てられたアメリカンビーフ、おいしく食べられるのはどこ?──ニューヨークのレストラン業界を約20年見続けてきたというフードジャーナリスト、福家成子さんのおすすめは、今年4月にオープンしたばかりの「クオリティ・ミート(以下QM)」だ。 
 「ステーキの決め手は焼き方。高温で一気に焼いて、いかに肉のうまみを閉じ込められるかが肝心です。ここはやっぱり焼き方が上手ですね」と、同店のリブ・ステーキを味わう福家さん。エグゼクティブ・シェフのクレイグ・コウケツさんによると、QMでは専用の焼き器を使い、華氏1100〜1200度の熱を肉の上方から直接当てて、一度に集中して焼いている。鉄板など肉と火の間にさえぎるものがあると、熱が十分肉に伝わらないのだ。リブの骨が長く突き出ているカットは、『ミルトン・エイブルス』という精肉業者の特徴。「だから仕入れはこの業者に決めているんです。カットにこだわるのは…お皿に載った時、見ていて楽しいでしょう?」とクレイグさん。ステーキソースをテーブルで作ってくれるなど、同店には「食べる時の楽しさ」を演出するこだわりが随所に見える。
トウモロコシのクレーム・ブリュレなど、技の利いたサイドメニューも充実。「肉だけでなく、魚も野菜も楽しみたい!というグルメな人向けの店。女性にも入りやすいですね」と福家さん。和牛も使われ始め、レストランで食べられる牛肉の種類も質も向上してきているニューヨークで、QMはまさに今注目のレストランだ。

「Aged Rib Steak」(ランチ41ドル、ディナー44ドル)。霜降りの多い高級肉、アンガス種のUSDA(米国農務省)プライムを12日間熟成させ、マイルドな風味と食感を出している。

クレイグ・コウケツさん・マーケット勤務からシェフを志し、「レスピナッセ」などを経て、現在「クオリティ・ミート」エグゼクティブ・シェフ。Quality Meat 57 W. 58th St. TEL: 212-371-7777 / www.qualitymeatsnyc.com

福家成子さん・日本食の普及を推進する非営利団体、JCCA-AMERICA代表。フードジャーナリスト。10月16日(月)には、「スミレ」などの協力を得て初のディナーイベントを開催する。詳細はfuke@la-fuente.usまで。

この牧場は徹底放牧主義。牛は牛舎に閉じ込めず、ストレスのない環境で自然飼育する。

Van Wie Natural Foods
6798 Rt. 9
Hudson,  NY 12534
TEL: 518-828-0533
※リチャードさんが自然飼育・栽培した牛肉、豚肉、鶏肉は、メールオーダーで購入可能。詳細はウエブサイトまで。
www.vanwienaturalmeats.com
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※記載されている情報は変更されている場合があります。
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