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2006/08/04発行 ジャピオン掲載記事

マンハッタンお化け物語
マンハッタンに出没するお化け
ニューヨーク認定観光ガイド。ニューヨーク市立大学で歴史学の教鞭をとる。15年前から週末にゴースト・ツアー New York Talks & Walks を始める。新聞記事やイラストを見せながらエピソードを語るショーンバーグ教授のツアーは、正直言って全然恐くない。
www.newyorktalksandwalks.com

Public Theater
425 Lafayette St.

McSorley’s Old Ale House
15 E. 7th St.

 たくさんの人が集まるニューヨークにはプラスのエネルギーと同時に負のエネルギーもドロドロと漂っているという。昔日の古戦場や犯罪現場となったこの土地には、数々のゴースト・ストーリーが語り継がれているが、今回は特に妖気の強いマンハッタンに焦点をあて、その真相を探る。

まずはどんなお化けが出没するのか、ゴースト・ツアーを主催する歴史学者のフィリップ・ショーンバーグ先生に聞いてみた。

──ニューヨーク市、特にマンハッタンは他の大都市に比べてゴースト・ストーリーがたくさん残っているのですが、やはり実際にゴーストも多いんでしょうか。
 人口が多いですからね。当然ゴーストも多いと思いますよ。

──では、マンハッタンでいちばん多く霊がひそんでいるところはどこでしょう。
 ワシントン・スクエアでしょうね。あそこは1790年代から1826年まで、貧乏な人々が埋められる場所だったんですよ。15000〜23000体は埋まっていたと言われています。1826年にそこを遊び場にする計画が実行されて、死体を別の場所に移動したんです。そのときに無理矢理ひきずったので、身体がちぎれてしまった死体もあります。自分の身体の一部を探してさまよっている霊がいるんでしょうね。

──最も有名なゴーストは?
 作家のエドガー・アラン・ポーでしょう。彼がこれまでに移り住んだ場所には全てゴーストが出ると言われています。ボストン、フィラデルフィア、ボルチモア、バージニア州のリッチモンドにもね。ニューヨークではグリニッチビレッジに住んでいました。そこは今はニューヨーク大学の一部になっています。またブロンクスには彼の家がミュージアムとして残されていますよ。

──どうして彼はそんなにいろんなところに出てくるんでしょう?
 結局、生前の生活が苦しかったんじゃないですかね。作家として生計をたてていくのが大変で家賃も払えなかったといいますし、奥さんは衰弱死してます。生前はよく飲んだくれていて、彼がよくお酒を飲んでいたバーでは、今でも開けてもいないワインがなくなったりするといいます。そのバーは今、「イル・ブーコ」というレストランになっています。

──他によく知られたゴーストはいますか?
 セントマークスのスタイブサント通りの由来となったオランダ人のピーター・スタイブサント総督も有名ですよ。ニューヨークのあった場所はもともとオランダ領だったのですが、それをイギリスが1664年にイギリス領にしたんですよ。そのときのオランダ側の総督がスタイブサント。悔しさが残っているんでしょう。彼は片足が不自由で義足だったので、彼の墓がある教会では今でもときどき義足を引きずって歩く足音が聞こえるそうです。

──長い間ゴースト・ツアーをやっていて、心霊体験をしたことはありますか。
 全然ないですね。私はサイキックではなくて歴史学者ですから。

Philip E. Schoenberg, PhD

①ニューヨーク初の市立図書館。現在はパブリック・シアターに。ここにもお化けエピソードが。

②魔術師フーディニが手錠抜けのワザを披露したと言われるバー。

マンハッタンにお化けは本当に出るのか?

怪奇スポット1
ワシントン・スクエア
首くくりの木

 ブルーシャさんは、集合時間の午後8時30分きっかりに凱旋門前に到着。こころなしか、顔色が悪い。すでに異様な妖気を感じている様子である。「ここはすごいですね。ものすごく感じます」。嫌がる彼女に早速お願いして、18世紀頃処刑に使われたという「首くくりの木」のもとへ。首を吊るには格好の、横一文字に伸びた枝を持つ鬱蒼とした大木だ。ゴーストバスター必需品の電磁波メーターを早速スイッチ・オン。しかし、異常なし。ここからは怪しい波動は出てないのか?と思いきや、ブルーシャさんの様子がおかしい。「空気が異常に重いですね。ショックを受けて、血の気が引いて体中の血が真っ青になる感じ。すごく気持ちが悪いです」。200年前、広場は沼地で初期の植民者たちの狩猟場であり、公開処刑場と同時に無縁墓地、決闘場としても使われていたようである。1960年代の再開発のとき、約1000体の人骨がここから発掘されている。霊感など一切持ち合わせていない編集NとライターAも、首のあたりが粟立つような妙な感覚を覚える。首くくりの木がある広場北口からワシントン・プレースとワシントン・スクエア・サウスの前あたりにさしかかったときに、ブルーシャさんが突然「この辺に何か埋まっているんじゃないでしょうか。地下に何かいますよ。頭がボ〜っとしてきました」と呟いた。電磁波メーターを見ると、針は瞬間的に振り切れてレッドゾーンを指している。公衆トイレを過ぎ、ホームレスがたむろしているあたりに来たところで、ブルーシャさん、「ここは、何かあります。う〜ん、この人たちに何か憑いているんでしょうか。強い負のエネルギーを感じます」。彼女よると、広場のいたるところに霊気を感じるそうで、彼らの動きが活発な夜に長く留まっているのはあまり好ましくないとのこと。雷が鳴り、雨が降り出したところで、広場を後に次のスポットへ向かうことにした。

怪奇スポット2 
マンハッタン・ビストロ
今も断末魔の叫び声が…

 ときは1799年の冬、クリスマスの3日前、心変わりした婚約者に絞殺され、亡骸を井戸に投げ込まれた美貌の女性、22歳のエルマ・サンズの霊が今でもさまようスプリング通り界隈。なかでも地下に問題の井戸があるレストラン「マンハッタン・ビストロ」では、今もエルマとおぼしき若い女性の叫び声が聞こえてくるという。電磁波メーターをチェックすると、やはりレッドゾーン。「多少気持ち悪いけど、邪悪なオーラは感じません。でも頭と胸が潰れるように痛いです。これは何なんでしょうか」。とブルーシャさん。裏切られて殺されたエルマの霊が「辛い、苦しい」と訴えているのだろうか…。外の雨はあがったようである。

怪奇スポット3
イヤー・イン
船乗りの亡霊が棲む酒場

 マンハッタンでも最古の歴史を誇る酒場のひとつ、「イヤー・イン」。ハドソン・リバーのそば、スプリング通り326番地にある古色蒼然としたパブは、禁酒法時代にはスピークイージー(もぐり酒場)として知られたところ。ここの亡霊は店の常連だったという船乗りのミッキー。 悪さをするというよりは、イタズラ好きの亡霊のようである。ブルーシャさんは、リラックスした面持ちでこう囁いた。「いやな感じは全然しないですね。むしろすごく楽しい気が満ちています」。
 店内は深夜となって、大賑わい。呪われた場所というよりは、店に活気をもたらす、座敷童(ざしきわらし)のような存在なのかもしれない。

怪奇スポット4
チャールズ通り界隈 
ここで何があったのか…

 最後に訪れたのは、歴史的には何の説明もされていない路上。ブルーシャさんによると、この通りには異常な気が満ちているそうである。「歩こうとしても、身体がこわばって進みたくないんです」。電磁波メーターはレッドゾーン。「ここに住んでいる友人のアパートには毎晩のように出るそうなんですよ。絶対何かあったはず、それもかなり不吉な出来事が…」
 果たしてここで何があったのか? 人通りも少なく、1時をまわったところで、別の危険を感じだした我々はひとまず、ゴースト・ハンティングツアーを終えることにした。

ワシントン・スクエアの南西入り口から入ってすぐのところにある木は、「首くくりの木」として知られる。横に大きくのびた枝が不気味さを漂わす。

①明るいゴーストが棲みつくバー「イヤー・イン」。200年前は船宿、禁酒法時代はもぐり酒場、70年代はジョン・レノンやサルバドール・ダリなどの有名アーティストが集ったバーだった。

②わずか22歳で殺されたエルマの霊が漂うというレストラン。

ワシントン・スクエア内の1本の木。何のへんてつもない木だが、ブルーシャさんは「死体が埋められているのでは?」と訝る。電磁波メーターの針もここでは振り切れた。

ブルーシャ西村さん
音楽、デザイン、執筆活動など多方面で活躍するマルチ・アーティスト。霊感が極めて強いことで知られ、手相やタロットの鑑定もしている。最近は、七福神から受信したインスピレーションをもとに制作した音楽をCD化。また、ブルーシャさんのデザインによるダイアモンド・ジュエリーも日本の宝石店で発売中。
http:bruixa.bravehost.com/index.html


Manhattan Bistro
129 Spring St. (at Greene St) TEL: 212-966-3459

Ear Inn
326 Spring St. (bet. Greenwich & Washington St)
TEL: 212-226-9060



NYジャピオン365号(August 4,2006発行号)より記事・写真抜粋
※記載されている情報は変更されている場合があります。
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