

川下りと聞いて単なる船遊びを想像していた取材班、到着早々ヘルメットにライフジャケットという重装備を手渡され、少し身構える。
参加したのはハドソン・リバーの支流、インディアン・リバーからノース・クリークの集落近くまでの17マイルを約4時間かけて下るツアー。8人乗りのボートに他の参加者とともに乗り合わせる。出発前、インストラクターのブライアンが水に落ちた時の諸注意をやたらと繰り返すのが気になる…。
ボートに乗り込むと、前後への漕ぎ方などの基本的な動作が説明される。これが単調に見えてなかなか難しい。前後のメイトとの息が合わなければ、互いのパドルがぶつかりあうだけで、一向に前に進まないのだ。四苦八苦しているクルーをよそに、ボートは川の流れに身をまかせ、スピードに乗りはじめる。
行く手を阻む岩々を絶叫のなか、ブライアンの絶妙な舵取りでかわしながら、1時間ほど下っただろうか。インディアン・リバーはハドソン・リバーと合流し、川幅は倍ほどの広さになる。ゆったりとした流れのなか、しばし深山幽谷の大自然を味わう。
しかしそれもつかの間、このツアー一番の難所に差し掛かる。さっきまで穏やかだった川の表情が一変、手のひらを返すような厳しさを見せはじめた。ドロップ(落差のある瀬)が目前に迫ると、ブライアンの「フォワード(前へ漕げ)!」のかけ声に緊張が走る。ホール(ドロップの下で流れが逆巻いているところ)に呑まれてしまわないよう、激流に抗い息も絶え絶えに漕ぎ続ける。ボートの半身がドロップに乗りかかったころ、ブライアンが「ヒット・ザ・デッキ(伏せろ)!」と叫び、クルーはボートの中央へ身をかがめる。傾く船体、直後のフリーフォール、そして衝撃。大きく水をかぶり、一瞬何も見えなくなる。顔にかかった水を拭ってやっと視界が開けた。無事にラピッドを乗り越えたようだ。誰からともなく上がった「ヤァ!!」という雄叫びが、風に揺れる木々の中に消え入ると、ハドソン・リバーは何事も無かったかのように、ただ悠々とした流れをたたえるだけだった。

インストラクター/ブライアンさん

ヘルメットにライフジャケット。なかなかの重装備だが、安全のためしっかり身に付けよう。

メイトが水に落ちたら、船上からパドルを差し出して救援しよう。後ろにはハドソンの美しい自然が!
5歳から参加が可能!マンハッタン直近のスポット
ニューヨーク地区最大級のアウトフィッターであるホワイトウォーター・チャレンジャーズ。ニューヨーク州とペンシルバニア州合わせて5つの河川でラフティング・ツアーを行っている。なかでもペンシルバニア東部を流れるリーハイ・リバーへのツアーは、マンハッタンから車で1時間半ほどで行けることから人気。流れの激しいコースと緩やかなコースの2種類が設けられており、初心者から上級者まで楽しむことができる。ツアー参加が可能な年齢が5歳からと、低く設定されているのも大きな特徴。キャンプやバイク・サイクリングを組み合わせた宿泊パッケージも魅力で、夏休みの子供連れでの旅行にもってこいだ。
夏は穏やか、春は激流季節によって様変わり
コネチカットの北西部、ネイティブ・アメリカンの言葉で「山々を越えて」という意味を持つフーサトニック川で6マイル、および10マイルのツアーを催行しているのが、クラーク・アウトドアーズ。マンハッタンから車で約2時間というアクセスのしやすさと、比較的緩やかな流れで、初心者や子供連れのほか、景色を楽しみながらゆったりと下りたいという人に人気のスポットだ。家族や少人数のグループでボートを貸し切れるのもうれしい。ただしこの川、4月から5月に限っては、雪解けと春雨の影響で熟練者限定の激流が続くスリリングなラフティング・コースへと様変わりする。流れの穏やかな今の季節に練習を積んで、来春激流に挑戦してみるのもいいだろう。
電車で行けるニューヨークのラフティング・スポット
のどかな田園風景が広がるポート・ジャーヴィスで、デラウェア川を下る約6マイルのツアーを催行しているシルバー・カヌー。マンハッタンから車で2時間というのはもちろん、ペンステーションから、NJトランジットで最寄り駅のポート・ジャーヴィス駅までの約2時間半プラス徒歩で行けるという、最もアクセスのしやすいラフティング・スポットのアウトフィッターだ。こちらの人気ツアーは、カップルにもオススメの2〜3人の小グループでのラフティング。貸し切りなのに週末40ドルというお手頃価格も魅力だ。また、同じポイントでカヌーやカヤックも楽しめるほか、周辺にはウナギやニジマスが狙える釣り場もあり、1日過ごしても飽きることは無い。近くには設備の整ったキャンプ場や手頃な宿泊施設も多いので、1泊するのも手だ。
最大級のスリルを味わえる高難度のブラック・リバー
ニューヨーク北部にそびえるアディロンダック山周辺を流れる、ブラック、ムース、ハドソン、スキャンダガの4つの河川を網羅するアディロンダック・リバー・アウトフィッターズは、ラフティング一筋26年という老舗。なかでも、マンハッタンから車で約5時間、果てはオンタリオ湖へと注ぐ、ブラック・リバーのツアーに関してはパイオニアを自負しており、春の増水期には「万人向けではありません」と警告するだけあって、そのスリルは折り紙つきだ。ウェットスーツの貸し出しもしているので、春先から秋口にかけてまでラフティングを楽しむことができる。ホームページ上では、8名以上の団体割引のほか、69ドルの参加費が50ドルになる金曜日割引などお得情報が満載だ。

Clarke Outdoors (c)Feather Blass

Silver Canoe (c)Orange Country Tourism

Adirondack River Outfitters

