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2006/04/14発行 ジャピオン掲載記事

ニューヨークで食す日本の郷土料理
郷土料理は母の味
【炙り屋錦乃介】
213 E. 45th St. (bet. 2nd & 3rd Ave)
TEL: 212-867-5454

*1)Harumi’s Japanese Cooking
(Penguin Books)
4月4日に全米で発売された栗原さんのCook Book。既に英、仏、独、蘭、西の5カ国で発売済みで、2004年には優れた料理本に与えられるグルマン世界料理本大賞を受賞している。アメリカでの発売にあたって、「アメリカでは日本食を作るのは難しいと思われていますが、そんなことないんだということを伝えたいです」と栗原さん。10年間続けた人気雑誌「すてきレシピ」を休刊し、今秋には新しいコンセプトの季刊誌を創刊する予定。

 家事に仕事に大忙しのスーパー主婦、栗原はるみさん。すてきなレシピと暮らしのアイデアを提供し続けてきた栗原さんに、郷土料理のこと、そして〝すてき〟のヒミツについて聞いてみた。

─栗原さんの思い出の郷土料理は?
 静岡県下田の出身なので、「鰺の開き」とか「キンメの煮付け」、「鯖のお団子」はしょっちゅう食べてましたね。キンメはコクがあって、脂っぽい魚で、醤油やみりんで濃い味付けにして食べるんですが、ウチでは身を食べたあと、少しタレが残っているところに熱湯を入れ、骨を潰すんです。そうするとその骨からいいお出汁が出てね。父がそれをスープみたいに飲んでいたのを私も真似してやっていたのを思い出します。この「キンメの煮付け」は今も作りますよ。

─世界各国をまわってみて「おいしいっ!」と思った郷土料理はありますか。
 イギリスのラム・シャンクはおいしいと思いましたね。やはり自分では作れないものが印象に残っています。家庭ではラム・シャンクは作れないと思いますよ。やっぱり大きなお鍋でじっくり煮込むから、あの独特の旨みが出せるんでしょうね。

─栗原さんが作りたいのはどんなお料理?
 私が料理を作るときは、「何が食べたい」っていうのはあまりないんですよね。主婦ですから、 残り物をうまく使って、今まで食べたことのないようなおいしいものを作り出したいと思うんです。主婦の人が作りたくなるようなものを私が提供する感じですね。私の場合は今は夫が中心。夫が食べたいと思うものを、健康のことを考えながら作ります。

─〝元気〟の秘密を教えて下さい。
 特に何もしていないです。家事だけですよ。 私はけっこう筋肉質で、これは家事でついた筋肉なんです。「家事筋(かじきん)」って呼んでるんですが、 毎日の階段の上り下りや窓ふきなんかしているだけで健康になっちゃうんですね。それから規則正しい生活。毎朝起きる時間を決めています。 朝5時半から6時には起きて、それからすぐに家事を始めます。

─ストレスはどうやってコントロールしていますか。
 イヤな事があってもなるべく残さないようにしています。お酒を飲むとかして消しちゃいますね。お酒はゆっくり飲むと気持ちが変わるんじゃない?「そんな程度のことだったらいいか」なんてね。それからおいしいものを食べること、仲良しの友だちに会うこと、そしてやはりいい家族、ですかね。何かあっても家族の誰かがなぐさめてくれますから。家族は私のエネルギー源です。

─最後に、そもそも郷土料理って何でしょう?
 「母の味」みたいに代々受け継いでいくものなんじゃないでしょうか。郷土料理といっても2通りあると思うんですよ。ひとつは30年も40年も変わらない味、もうひとつは同じなんだけど時代や世代にあわせて少しずつ変わっていく味。そのまま同じのがいいのか、変えていった方がいいのか、どっちがいいかはわかりませんけど、上手に受け継いでいきたいですね。なくしちゃうんじゃなくてね。

NYジャピオン349号(April 14,2006発行号)より記事・写真抜粋

漬物と豆腐を使った「ちゃんぷる」を食べながら「やはり和食はいいですねえ」としみじみ語る栗原さん

Harumi’s Japanese Cooking(Penguin Books)*1

パリポリちゃんぷる(炙り屋錦乃介)

ニューヨークで再現された遠い郷里の味


独自の食文化を誇る名古屋の郷土料理、ひつまぶしが食べられるのは、意外にも関西割烹で知られる竹生。名古屋地方出身である親方の高木淳太郎さんは、日本で当たり前のように食べたひつまぶしが、ニューヨークにないことに驚き、それでは自分で作ろうということになって、メニューに加えた。熱した石の器に入ったひつまぶしは、ジュージューという音とご飯が焼ける香ばしいにおいが何とも食欲をそそる。最後の一膳は、昆布茶でお茶づけにして頂くのがおつ。後味もさっぱりだ。

 そしてもう一つの名古屋名物、手羽先に一品入魂するのはテバヤ。手羽先といえばれっきとしたビールのお友だが、居酒屋を営むご両親のもとに育った店主の方浩二さんには、子供の時からおやつ代わりに食べ親しんだ味。方さんはその両親から受け継いだ味をニューヨークに再現する。「アメリカ人に浸透させたい」という方さんの願い通り、アメリカ人リピーターも増加中だが、「ほかの(手羽先以外の)部分はどこに行ったの?」と不思議そうに尋ねられることもしばしばだとか。

 手といえばこちらは豚の手足をつかった博多の郷土料理、豚足が食べられる六明社。見た目はあまり穏やかではない豚足だが、コラーゲンたっぷりで女性にもおすすめ。彼氏の前でも恥ずかしがらずにむしゃぶりつこう。「豚足の食べ方でそのカップルの親密度が分かる」と言うのは大将の近藤敏明さん。そしてもう一品は福岡の家庭料理、がめ煮だ。家によって味付けも材料も異なるおふくろの味で「がめ煮の味でその家のお母さんの人となりが分かる」と再び大将。

 沖縄発のおふくろの味は、すいびで食べられるスンシーイリチー。沖縄ではお祭りや祝い事など、人が集まるときに巨大な鍋で作られるこの料理は、メンマを椎茸やちくわと煮た素朴な料理だが、ほのかな酸味が後を引き、ご飯にもそして泡盛にも合う。デザートには「おふくろというよりおばあの味」(オーナーの城間淳夫さん)のサーターアンダギーを。甘いものが少なかった子供時代、淳夫さんと料理長の章さん兄弟は、おばあが作ってくれたこのサーターアンダギーを「奪い合うようにして」(章さん)食べたという。

 鹿児島からは、トクベイ86の果物が山盛りのった巨大なかき氷、白熊。鹿児島あたりではかつて、喫茶店でこれを食べるのがデートの定番だったそうだが、「女の子と一緒に食べたことは一度もなかった」と振り返るのは料理長の徳永博昭さん。高校時代、ラグビー部で花園を目指していた徳永青年は、この白熊を部活の後、汗だくの仲間たちと毎日のように食べたという。結局花園の夢は叶わなかったが、徳永さんのほろ苦い青春の思い出は、今でもこの甘い白熊の味に生きている。

NYジャピオン349号(April 14,2006発行号)より記事・写真抜粋

博多・屋台仕込みの味を再現(六明社)豚足

粗挽き胡麻たっぷりの手羽先(テバヤ)

きーんと冷えた鹿児島名物(トクベイ86)白熊

【竹生】お茶漬けでしめる名物ひつまぶし
12 E. 44th St (bet. Madison & 5th Ave)
TEL: 212-818-0715
【六明社】
11 Barrow St (bet. W. 4th & Bleecker St)
TEL: 212-675-7775

【テバヤ】
144 W. 19th St (bet. 6th & 7th Ave)
TEL: 212-924-3335

【すいび】
232 E. 53rd St (bet. 2nd & 3rd Ave)
TEL: 212-935-1443

【トクベイ86】
314 E. 86th St (bet. 1st & 2nd Ave)
TEL: 212-628-5334
※記載されている情報は変更されている場合があります。
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