

今、日本では水族館に泊るプログラムが大人気だ。神奈川県の横浜・八景島シーパラダイスや新江ノ島水族館などで行われているお泊りプログラムは毎回大入り満員。通常子供が対象のプログラムだが、新江ノ島水族館では女性限定の特別ツアーも企画され、魚たちに囲まれて眠ると「癒される」と話題を呼び、毎回キャンセル待ちが出るほどだ。
メリーランド州ボルチモアにある国立水族館は、ニューヨークからアムトラックに乗って2時間強。ニューヨーク近郊では最大の水族館だ。ここでもお泊りプログラムが定期的に開催されている。
総面積20万スクエアフィートを超える同水族館では、600種類以上、1万1000匹以上の生物がいる。館内からはボルチモアの象徴とも言えるハーバーが望める。館内は本館(ピア3)、イルカショーなどが行われる別館(ピア4)、そして去年12月にオープンしたオーストラリア館などで構成されている。
お泊りプログラムは金曜日の午後5時から翌土曜日の午前9時まで行われ、インストラクターによる館内案内、海にちなんだクラフト作製、そして夜は、本館の地下室で眠る。ここの窓からは、1階にある巨大水槽の様子を眺めることができ、さながら深海の中で眠りに就いている様な気分だ。
同水族館メディア担当のモーリー・フォイルさんは「水族館内は広く、急いで見学しても最低3時間以上はかかります。しかし、このプログラムならば、水族館をすみずみまで観察できますし、より動物や魚を身近に感じることができると思います」と語ってくれた。
NYジャピオン348号(April 7,2006発行号)より記事・写真抜粋

淡水エイなど珍しい動物もいる。

地下室からは巨大な水槽がのぞける。

まるごとオーストラリアの環境を再現した圧巻の施設。
ブルックリンのコニーアイランドにある「ニューヨーク水族館」。ここでは定期的にお泊りプログラム「スリープ・イン・ザ・ディープ」が開催されている。
今回3月に行われたプログラムに密着した。集合時間は午後7時。参加者全員が集まるまで、静寂に包まれた水族館を歩いて回る。
参加者が全て集まるとプログラムがスタート。水族館内のサメや海ガメなどの動物、そして屋外にいるセイウチやアシカなどをゆっくりと観察する。インストラクターのスーザン・ロコさんは水族館に勤めて4年目。誰もいない水族館ではしゃぐ子供たちをうまくあやしながら「自然の大切さ」、「海の動物の生態」、そして「絶滅に瀕している動物達」などについて解説する。「このプログラムで動物をより身近に感じてもらい、子供たちに『自分が地球とどう付き合っていくか』を考えるきっかけになれば」とロコさんは語る。
休憩室で夜食タイムの後は、粘土や絵の具を使った工作の時間。思い思いの海の動物の絵を描く。そして気がつけば午後11時過ぎ。持参の寝袋に包まり、夜の館内で眠りに就いた。
翌朝は午前8時起床。朝食の後は早朝アシカショー。青い空の下で泳ぎまわるアシカ。ショーの最後には祝福のアシカ・キスもしてもらう。
その後は、巨大な熱帯魚の水槽の上から魚達に餌付け、そして水族館職員しか入れない、サメやエイ、亀が泳ぐタンクを上から眺める。プログラムの終わりは参加者全員で手をつなぎ、願い事をした後に隣の人の手を握る。願いが一周した午前10時に解散となる。
参加した樋口曜向君は「昨晩はバンブーシャークの前で寝た。本当にシャークは寝ないというのが実感できた。僕も同じように寝なかったけどね」と満足げ。お母さんの美子さんは「とても有意義なひと時を過ごせました。プログラムやインストラクターの話を通して、曜向が自然に興味を持つ素晴らしい経験になったのでは」と語る。曜向君にプログラムの最後に何を願ったのと聞くと「世界を変えられるように(I will change the world)と願ったんだよ」と教えてくれた。
NYジャピオン348号(April 7,2006発行号)より記事・写真抜粋

地元の高校生がボランティアとして参加。

「シャチに食べられちゃったよう」

サンドシャークは子供たちの一番人気。

