2016/09/02発行 ジャピオン880号掲載記事

誰にでもできる人生の経済計画
ファイナンシャル・アドバイザーは必要?

ファイナンシャル・アドバイザー
―「自分は富豪じゃないから必要ない」と思っていたら大間違い。子供の大学の学費をどうしよう、老後が不安、といった悩みを抱える一般人だからこそ必要なのだ。ここでは、インディペンデントのアドバイザー、比嘉啓子さんに、ファイナンシャル・アドバイザーに相談するメリットについて聞いた。


比嘉啓子さん
■ユタ大学卒業、ニューヘブン大学で経営修士号(MBA)取得後、外国為替トレーダー/投資顧問会社で会計担当。その間ニューヨーク州と連邦の証券取引免許取得。2000年AXAアドバイザーズでコンサルタント。09年からインディペンデント・ファイナンシャルアドバイザーの会社に所属。個人・法人の投資計画、年金計画、公的年金、遺産運用、遺産相続計画、各種保険計画、介護・障害保険などを手掛ける。

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ケーススタディー

実際に相談が多いケースを取り上げ、それぞれに対してのアドバイスを紹介する。(金額、利率は2014年8月時点)

ケース1 個人年金
【顧客】55歳の共働きの夫婦。2人合わせた年収が15万ドルあり、子供も大学を卒業し独立。まだリタイアせずに働くし、今の時点で貯金が10万ドルあるので、老後のために投資したい。
【アドバイス】50歳くらいからできる個人年金保険プランがある。年金保険プランの利点は、口座の金額が市場によって増減する投資と異なり、市場がクラッシュしても積み立てた掛け金とそれに加算される利子額が減らないこと。年金として生涯に分けて引き出す分には、安全なプラン。年金基本金は、市場に関係なく毎年確実に上がっていく。利率も7%と高い。勧めたプランは、1万ドルくらいから入れるプランで、10年後から一定金額が年金として、「一生」支払われるというもの。この夫婦は2人で10万ドルを入金した。その後、追加入金してもいいし、しなくてもいい。入金額10万ドルのみとした場合、10年後2人が65歳になった時点で、一生涯、最低でも年間8747ドル(2人で)が支給される。2人のうち1人が死亡した場合も、同じ金額を残った1人が受け取ることができる。ソーシャルセキュリティーも一生涯もらえるが、それでは不十分なので、こうした民間保険会社の年金プランで補充する。解約も自由。市場が上がれば、受給額も上がる。ここで示した数字は、最低でも受け取れる金額。63歳(1人)で入金し、73歳で年間1万2180ドルの支給を一生受けるプランに入った例もある。

ケース2 子供の学費
【顧客】子供が生まれた若い夫婦。子供が将来大学に行くための資金を、今から貯めたい。税金対策にもなる良い貯蓄プランはないか。
【アドバイス】各州が認可した公的学資投資に「カレッジファンド529」がある。ニューヨーク州ではJPモーガンインベストメントという会社が商品として扱っている。これは掛け金がニューヨーク州税の控除対象となる。将来、学費にしか使うことができないもので、その場合は無税で引き出し、使うことができる。学費、寮費、書籍代が対象。入試のための旅費やホテル代、入学後に車を購入するための費用は支給対象にならない。投資商品なので、元本割れの可能性もある。子供の年齢によって、投資を分散する方法が取られる。子供が幼いころは、ハイリスク・ハイリターンの株に重きを置き、子供が15歳くらいになると元本割れをしないためにローリスクのボンドファンドに移行する。子供が0歳から始めて、月々100〜200ドルで、年利6%を見込み、多少の奨学金なども見込んだ場合、学費4万ドルくらいの大学に入ることが可能。しかし、全ての費用を用意となると月700〜800ドル積み立てる必要がある。なぜなら、大学の学費は年間4%の勢いで高騰しているから。遅く始めれば、目標額によるが、それだけ毎月の掛け金も高くなる。高校から使用可能。www.savingforcollege.com

ケース3 マイホーム購入資金
【顧客】2人とも30歳の新婚夫婦。現時点での夫婦共働きでの年収は20万ドル。10年後をめどにマイホームを購入するための頭金として、10万ドルを貯蓄したい。
【アドバイス】投資口座を開き、毎月積み立てていくことになる。その場合、どの程度リスクを分散するかが鍵になる。この夫婦の場合、毎月2人で500ドルを投資口座に積み立てることにした。単純計算で、1年で6000ドル、10年経てば6万ドル貯蓄できているので、目標額の10万ドルには、あと4万ドルを投資によって増やせばよい。その場合、アメリカンファンド社のミューチュアルファンドで、ニュー・パースぺクティブ・ファンドに60%、ボンドファンド・オブ・アメリカに40%で、分配内容は、国内株約25%、国内外株28%、ボンド35%、その他15%。購入日2年前を切ったら、ボンドや定期預金などの安定した商品に切り替える。

ケース4 特殊なケース「孫のための生命保険」
【顧客】孫が生まれた。経済的にはかなりの余裕がある。遺産相続にかかる税金を思うと、今から相続額を減らし、かつ非課税で孫のために貯蓄してやりたい。
【アドバイス】A lifetime Gift and Legacyという、孫のための生命保険プランがある。アメリカでは1人年間1万4000ドルまで非課税で贈与できるので、この老夫婦は2人分の2万8000ドルでこのプランを購入した。続く15年間、毎年この金額を追加。16年目以降は一切追加入金していない。現在の配当率で見積もると15年目の時点で、キャッシュバリューは約49万ドルに、生命保険額は500万ドル強に。この子供は、18〜21歳の4年間、毎年5万ドル(合計20万ドル)を学費のために引き出し、その後30歳でマイホーム購入の頭金に25万ドルを引き出した。その後は一切引き出さなかった場合、66歳から80歳まで、毎年50万ドルを引き出しても、80歳の時点でのキャッシュバリューは200万ドル近く、生命保険額は700万ドル近くなる。この孫が死亡したら、残額はそのまま、子供や孫が引き継ぐことができる。

Qファイナンシャル・アドバイザーに相談する最大のメリットとは?

A一言で言うと、保険・年金・投資などの、何万とある金融商品の中から、自分にとってベストな商品を探してもらえることです。ここで強調したいのは、相談するならインディペンデントのファイナンシャル・アドバイザーを選んでほしいということです。同じアドバイザーでも、ある金融企業に属している場合、自社の商品しか紹介できません。インディペンデントなら、あらゆる金融企業が提供する全ての商品を平等・公正に評価し、個々の顧客のニーズに最も適した商品を紹介します。

 インディペンデントのアドバイザーは、その人の年齢や収入、家族構成、将来への不安やゴールといった要素を聞き、それらを全て考慮し、広範囲な視野の基に、人生の「全体計画」を立てます。その上で、さまざまな金融機関が提供する多種多様な金融商品の中から、その人のニーズに合った商品を選びます。年々新しい金融商品が出てくるので、常にリサーチし、アンテナを張っています。

Q特に高額所得者ではないのに、ファイナンシャル・アドバイザーが必要でしょうか?また相談費用はどのくらいかかりますか?

A高額所得者でなくても、相談するメリットはあります。一般の人が、どのように将来のために計画を立てられるかを提案するのが、アドバイザーの仕事です。

 ベーシックなケースなら相談料もかかりません。約1時間のコンサルテーションの後、仮に、ある金融商品を購入していただいたとしたら、アドバイザーへの手数料は商品購入の代金に含まれ、別途かかることはありません。

 かなりの資産がある人で、税金対策や、高額投資口座の運営が必要な場合は、運用例などの詳細なデータを数字やグラフにして、綿密なファイナンシャルプランを作ります。この場合は、プラン作成に対する手数料が発生します。

 一般の方が、子供の学費プランや老後の年金プランを相談に来られるような場合は、手数料は発生しませんので、気軽にファイナンシャル・アドバイザーを利用していただきたいです。

 ただ、中には1時間いくらの相談料を別途取るアドバイザーもいるので、相談する前に確認することをお勧めします。

Qコンサルテーションの内容や必要な頻度について教えてください。

A私たちが「ディスカバリー・ミーティング」と呼ぶ、最初のコンサルテーションでは、まずその人の経済的な目標、ゴールを決めてもらいます。特に関心があること、心配事についても聞きます。その次に、年齢、年収・出費状況(住宅ローンの有無・金額など)、保険の有無といった現状を聞きます。それらを基に、節税計画も含めて全体計画を立て、実行し、リビューしていきます。われわれと顧客はそれを繰り返していくことで、顧客の経済的な目標達成を目指します。

 コンサルテーションでまず説明するのは、上記のピラミッドです。一番下の基盤は「プロテクション」。最も大事なのは障害保険(働けなくなったときの収入の確保)、次に生命保険(自分が死亡したときに家族が困らないように)などの各種保険。この基盤を固めて初めて、次の貯蓄や投資(子供の学資保険なども含めて)を考え、その上で年金などのリタイアメント計画へと移れるわけです。こうした、人生の経済設計の中で大事なポイントをお教えします。

 相談の頻度はケースバイケースですが、通常、人生の節目には何らかの経済的な見直しが必要になるでしょう。結婚、離婚、出産、親の他界などです。特に大きな変化はなくても、思い付いたときが吉日です。

Qどんな相談が多いですか?

A老後の不安を抱える人は多いです。われわれは、メディケアなどの公的年金も含めて把握しているので、そうした基礎的なアドバイスもしますし、民間企業の年金商品も合わせて、個々のニーズ、状況に合ったリタイアメントプランを作ります。

 皆さん驚かれるのは、メディケアが介護費用を一切カバーしないことです。英語で「ロングタームケア」と言われるものです。そうなると、別途介護保険(ロングタームケア・インシュアランス)に入る必要があります。これも、加入する年齢で掛け金は変わってきます。顧客の年齢によって、適切な商品をご紹介しますが、高齢者で「もう遅い」と思っている人も、まだ遅くはありません。新しい金融商品が登場しています。

Q新しい金融商品には、例えばどんなものがありますか?

A元金が保証された、生命保険と介護保険が組み合わさった新商品があります。ミニマム2万5000ドルから購入でき、購入した瞬間から、元金の約3倍の額が介護保険として無課税で支給されます。購入者が死亡した場合は、元金の約2倍の額が生命保険として受取人に支給されます。

 そのほか、積立型生命保険の中には、慢性疾患の治療や介護費用のために、生きている間に本人が「前借り」できるものがあります。例を挙げると、40歳で50万ドルの生命保険プラン(月々の掛け金500ドル)に入った場合、65歳になったら毎月7000ドルを慢性疾患の治療や介護費用として「前借り」することができます。または、がんなどで医師から余命宣告された場合、40万ドルを「前借り」し、自分のために使うことができます。

 そのほか、左の図に一般の方のファイナンシャルプランの例を挙げてみました。自分では調べきれない数と種類の金融商品を、ファイナンシャル・アドバイザーは把握し、常にリサーチしています。今の小さな相談が、将来大きな助けになるかもしれません。

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