2016/08/05発行 ジャピオン876号掲載記事

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特別インタビュー

藤原紀香さんインタビュー
NYでチャリティートークを開催

18日(木)、ニューヨークで熊本地震被災地支援を目的としたチャリティートークショーを開催する女優の藤原紀香さんに、これまでの慈善活動、またニューヨークとの関わりについて聞いた。

――今回のイベントはどのように実現したのですか?

 今年4月に熊本地震が起こり、これまで日本では多くの方々が支援活動をしています。私も仲間たちと炊き出しに参加したり、被災された方々の話を聞いてきました。そんな中「ニューヨークにいる日本人の中にも支援したいと言っている人がたくさんいる」とニューヨークに住む仲間から聞き、何かできないかと考えていたところ、同地在住の有志の方たちがご尽力くださり、熊本地震被災地への義援金を募るチャリティートークショーを開催することになりました。

――ニューヨークは思い入れがある場所と聞きました。

 15年前の9・11米同時多発テロの後、以前から語学を学んでいたホームステイ先の家族が心配で、すぐに当地を訪れました。当時の惨状を見て回り、ここに住む方々と話しました。その中で「これだけの事をされたのだから報復は当たり前」と言う意見を聞いて、アメリカ人の思いがこんなにも変わってしまったのかと驚き、それと同時にテロというものは優しかった人の心まで変えてしまう恐ろしいものなのだと痛感しました。こんな世の中で、私ができる事は何だろうと考えて、テロや争いとは関係のない、アフガニスタンで暮らす子供たちの姿を伝えたいと思い、帰国後、すぐに企画書を書きました。それが今につながる活動の出発点となるアフガニスタンへの取材の旅でした。

――社会貢献や慈善事業に対する精神はどこから?

 21年前、阪神・淡路大震災が私の故郷で起こりました。多くの方々が支援に駆け付けてくれたのですが、その中で著名な方々も来てくれた際、「あの人が来てくれたなんて」「一人じゃないんだね」「あの人が頑張れって言ってくれた、うれしい、うれしい」と、さっきまで青ざめていたおじいちゃんやおばあちゃんの顔がピンク色に紅潮するのを間近で見て…。神戸の大学を卒業したばかりの当時の私は、芸能界で活動したいと思っていましたが、両親の猛反対を受け、諦めざるを得ない状況でした。その世界の方々がそこに行くだけで色々な人が元気付けられたり、心が少しでも明るくなったり、そして対外的には注目も集まり、物資もお金も集まってくる、そんな役割があるのだと痛感しました。華やかな部分だけじゃない、大切な使命も担っている職業なのだと気付きがありました。そこからの私は猪突猛進の思いで、反対する両親を説得し、夢をかなえたあかつきには、欧米のように当たり前に社会貢献活動をしていきたいと心に決め、懸命に働きました。今思えば、震災が転機でした。なので、原点は1995年です。

――では芸能活動と社会貢献はセットなのですね。

 そうですね。華やかな世界と慈善活動というのはかけ離れたもののように思われるかもしれませんが、自身では分けて考えてはいません。活動することで得られた経験や思いはますます情熱や人間力を作ってくれますし、人間力がなければ俳優はもとより何もできないですから。全てつながっていると思います。

 そして、いろんな人に支えられて成り立っていることも実感していますし、とても感謝しています。著名な人がチャリティー活動をすると偽善者と呼ばれやすいのが今の日本で、活動を始めた14年前はもっとひどいことも言われました。ですが、実際に世界の紛争地域や、飢餓、災害被害などに苦しむ地域や国に行き、現実を知ると、そんなことは気にならない強い芯が生まれるんです。例えばさまざまなNPOや赤十字、国連の職員、また記者として現地で頑張っている日本人たちと世界中で出会ったときのこと。3年の任期を終えても日本には帰らず延長したというある看護師さんに何故?と聞くと、「ありがとうと言われるためにやっている訳じゃないのですが、現地の言葉で『ありがとう』と言われるたびに、全ての苦労が吹っ飛ぶのよ。自己満足かもしれないけど、それが誰かの役に立てればそれでいい」って飛び切りの笑顔で話してくれた。そのすてきな笑顔が忘れられなくて…。そうなんだ。何を言われようが、そんなのは取るに足らないこと。自分がやれることをやって、それが誰かの笑顔につながって、自分も幸せな気持ちになる。それでいいんだと。この活動を続けていて思うことは、そこでしか得られない心の栄養が大きくて。もうブレなくなりました。

――これまでの活動で一番印象に残っているのは?

 アフガニスタン、カンボジア、東ティモール、ケニア、スマトラ、モザンビーク、ツバルなど、いろいろな所に行くたびに、同じ人間の命なのに、日本とこんなに重みが違うのか、と考えさせられます。そんな中でも子供たちは「学校に行きたい」「勉強したい」「こうなりたい」とはっきりと夢を語ってくれる、そんな発見が一番印象に残っていますね。

――今後、チャリティー活動で力を入れたいことは?

 継続が大切だと思っています。日本各地で開催しているチャリティー写真展や講演会にはいろんな人が来てくれます。子供たちは、自分たちと同じくらいの年齢の子たちが紛争地域で暮らし、校舎もなく、机も鞄も給食もないけれど、勉強をしたがっていると知ると、「自分たちに何かできる事をやりたい!」と手紙をくれて、行動してくれるんです。私の存在は、自分が見てきたこと、感じたことをシェアして、それを聞く人が想像力を働かせて行動に移してくれる。そんなただのきっかけであればよいかなと思っています。

――読者にメッセージをいただけますか?

 海外に住み、これを読んでくれている皆さんは、私よりも物知りで、人生の先輩もたくさんいらっしゃると思います。そんなニューヨークの皆さんに、日本の被災地や復興に対してどう感じているのか、ぜひ聞きたいです。その気持ちを熊本や東北の皆さんに伝えて元気になってもらいたくて。いまニューヨークに住んでいる日本人の皆さんも、ずっとずっと応援してくれていますよって。

トークショーは招待制・無料。希望者は11日正午までに、www.am net-usa.com/news/amnet_charity_live.phpから応募すること。

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藤原紀香■兵庫県西宮市出身。1992年ミス日本グランプリ受賞。阪神・淡路大震災を経験し、数々の思いを持ち2カ月後に上京し、本格的な芸能活動を開始。以降、ドラマ、司会、キャスター、CM、声優と活躍の場を広げ、2003年から舞台に進出、ミュージカル「ドロウジー・シャペロン」「キャバレー」、ウエストエンドの名作「マルグリッド」で主演を務める。今夏はミュージカル「SouthPacific」の再演で全国ツアーを敢行し、好評を得た。女優の傍ら、国際活動や人道支援の協力に努め、アフガニスタンやバングラデシュ、カンボジア、東ティモール、アフリカなどにも訪問。自身が主催するNPO「SmilePlease☆世界こども基金」を立ち上げ、各地でチャリティー写真展や講演会を行い、その収益で子供たちを支援する活動を続け14年目になる。
www.smile-please.com

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