2016/06/24発行 ジャピオン870号掲載記事

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ギタリストの布袋寅泰がミュージシャン活動35周年を記念し、世界ツアーを敢行。ニューヨークには、3年ぶりにカムバック。「キル・ビル」のテーマ曲で世界を制覇したHOTEIが、今、さらに飛躍する。

「ワールドワイドにおいてはまだ無名の新人」

7月15日のニューヨーク公演はどんなライブになるのか教えてください。

 今回は、英国のリズム隊を連れて3ピースのシンプルな編成でのライブ。アルバム「STRANGERS」の曲を中心に、「キル・ビル」のテーマを含むギターのインストや、懐かしい日本のヒット曲を交えた構成。モダンで斬新なギターミュージックを楽しんでもらいたい。これまで日本での35年というキャリアの中で、さまざまな夢をかなえてきたけど、ワールドワイドにおいてはまだ無名の新人。アメリカのマーケットへの本格的なアプローチの第一歩として、このニューヨークのライブはとても重要な意味を持つんだ。

最新スタジオアルバムでは、パンク、ブリティッシュロックからテキサスサウンドまでかなり幅広い音楽性のミュージシャンとコラボしています。

 ロックアイコンのイギー・ポップを始め、イギリスのマット・タック(Bullet for My Valentine)やドイツのリヒャルト・Z・クルスペ(Ra- mmstein)、テキサス出身のシェイ・シーガーなど、多彩なゲストとコラボできたのがうれしい。彼らをボーカルとして招いた結果、僕のギタリスト、コンポーザーとしての魅力をうまく引き出せたと思う。僕は1970年代のグラムロック、80〜90年代のパンクやニューウェーブ、つまりシンプルなリズムにギターのリフやサウンドが絡む、強いインパクトを持った音楽から強い影響を受けている。良き時代の王道のギターサウンドと、最新のビートやエフェクトがうまくミックスしたOne and onlyの布袋ミュージックを目指し、それは最高の形で完成したと思う。

今年はミュージシャン活動35周年ですが、その間に布袋さんの音楽で変化した部分、また不変の部分は?

 35年前よりギターはうまくなったけど、ステージでのジャンプの高さは下がったかもしれないね(笑)。さまざまな経験や人との出会いを通じて、多くを学び、人間としても成長できたと思うけど、14歳で初めてギターと出会い、ロックに恋をしたときから、ロックに対する想いは変わらないんだ。今だにギターを抱くとドキドキするし、目の前の誰かをノックアウトしたい、という衝動に駆られる。人を踊らせることができるギタリストでありたいと思うと同時に、自分もギターと一緒に踊っていたい。ギターとの出会いを神に感謝しているよ。

布袋さんといえば、「エレキ」ですが、これまでにオーケストラ、和楽器とのコラボもあります。エレキギターの可能性について、どう考えていますか?

 ギタリストはボーカリストの横で彼らの魅力を引き立たせると同時に、彼らをにスリルを与え興奮させることができる。また、ドラマーとはリフでリズムを共有できるし、キーボードプレーヤーとは共にコードを楽しむことができる。バイオリンでもトロンボーンでもDJでも、あらゆる楽器とハートを分かち合うことができる特別な存在だ。僕は誰かとプレーするとき、相手を気持ち良くさせたいし、そうする自信がある。それは多くのジャンルのプレーヤーとの共演から学んだものだ。6弦20数フレットという限られた音階の中には、宇宙を感じさせる自由がある。ギターのサウンドは心の声のようなもの。泣く、笑う、叫ぶ、ささやく、そして時には沈黙さえ表現できる、最高の楽器だ。

「あらゆる音楽に対する順応性があるのは、僕の強みだ」

「キル・ビル」のテーマ曲を担当することになったいきさつを教えてください。

 この曲は阪本順治監督の日本映画「新・仁義なき戦い」の新テーマ曲として作ったもの。日本のカルト文化に興味を持つクエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスがこの映画を見て、二人ともこの曲を一発で気に入り奪い合いになり、兄貴分のタランティーノが勝って僕にオファーしてきた。僕は新曲を作らせて欲しいと言ったが、彼はかたくなにこの曲にこだわった。

 海外のフェスなどでこの曲をやると誰もが振り向き興味を示してくれる。でも皆決まって僕にこう言うんだ。「君の『キル・ビル』のカバー、最高だったよ」と。悔しいけど、黄金の音楽の名刺を持っているということは、とてもありがたいこと。タランティーノには心から感謝しているよ。

デビッド・ボウイ、ローリング・ストーンズ、ジョニ・ミッチェル、リー・リトナーらと共演されています。彼らの異なる音楽性の中に布袋さんの音楽がはまるのはどうしてでしょう?

 僕は自分のギターで誰かを幸せにするのが好きで、僕とステージを共にしたミュージシャンは、僕とのセッションを楽しんでくれたと思う。踊りながらギターを弾くスタイルもステージでは映えるし、日本人ならではの奥ゆかしさも兼ね備えている。また、僕はロックだけでなく映画音楽やジャズ、クラシックや前衛音楽など、あらゆるジャンルの音楽を聴いて育った。あらゆる音楽に対する順応性があるのは僕の強みだね。

8月は東北の被災地にも行かれますが、チャリティー・コンサートに布袋さんが感じている意義は?

 東北にはいまだ復興が進まず苦しんでいる人々がいる。今年は熊本や大分でも大きな地震による被害が出て、日本は厳しい現実と向き合っている。ミュージシャンとして僕らができるのは、音楽を通じて、気持ちがうつむいている人々にポジティブなパワーを送ること。ほんの瞬間的なことかもしれないけど、音楽の持つ力を僕は信じる。とても楽しみにしているよ。

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布袋寅泰■BOOWY解散後、ソロアーティストとして活躍する一方、音楽プロデューサー、作詞家、作曲家としても活動。2003年には映画「キル・ビル」に、楽曲「新・仁義なき戦いのテーマ」を提供。12年からロンドン在住。

HOTEI 〜LIVE IN USA〜

7月13日
@Troubadour

9081 Santa Monica Blvd.
Los Angeles, CA 91344
【開場】午後6時
【開演】午後8時
【前売り券】30ドル
【当日券】35ドル

7月15日
@Highline Ballroom

431 W. 16th St.
(bet. 9th & 10th Aves.)
【開場】午後6時
【開演】午後8時
【VIP指定席】55ドル
【自由席】30ドル

www.hotei.com

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