2017/09/22発行 ジャピオン934号掲載記事

日々進化する腹話術の技術を見てほしい

 
芸能生活35周年を記念し、今回で5回目のアメリカ公演ツアーを行う、「スーパー腹話術師」いっこく堂に、公演に向けた思いを聞いた。10月3日(火)にニュージャージー、4日(水)にニューヨークで公演を行う。

今回のアメリカ公演での見どころは?

 前半は、緒川集人(しゅうと)さんのマジックショー。後半が僕の腹話術です。アメリカの方でも分かるように、ネタはほぼ英語で演じます。例えば、ものまね腹話術では、今年初公開のサッチモ(ルイ・アームストロング)も歌います。

これまでのアメリカ公演で印象に残っているのは?

 2回目のときのボストン公演で、ヘッドセットマイクが壊れたことがありました。腹話術なので、手にマイクを持っては演じられません。それで針金ハンガーを頭からかぶって、肩に固定し、フックの部分にマイクを巻きつけ、頭が右を向いたらマイクも右、みたいな感じに何とか仕込んで、やり遂げたことです。あのときは、本当に焦りました(笑い)。

今回、新しい挑戦はありますか?

 初公演のときは、ネタを丸暗記し、言葉の意味も分からない状態でやっていました。日本で英語の仕事をする際も、3カ月ぐらい前からネタを丸暗記することがほとんどでしたが、今回は、いつでも英語で公演ができるように、一年半前から毎日繰り返し英語のネタを練習しています。

 ネタはいろいろな人の知恵を借りて作りますが、今回はアメリカ生まれのお笑い芸人のパックン(パトリック・ハーラン)に翻訳を頼んで、アメリカの方にも、日本の方にもウケるような感じにしてもらい、発音指導も受けました。今回、準備期間を長く取れた分、ドキドキ感より、自分が余裕を持って舞台を楽しめるんじゃなかなと思っています。

世界18カ国で公演しています。世界での反応は?

 世界各地でも腹話術に似たものはありますし、アメリカでもロン・ルーカスさんという腹話術師がいて、コラボしたことがあります。ただ、彼の腹話術はスタンダップコメディーの延長なので、唇が動いても、笑わせればそれでショーは成立するんです。

 僕の腹話術は、唇をほとんど動かさずにしゃべるので、世界のどこに行っても、すごく不思議がられるし、一度見れば一発で技術の高さは理解されます。また、アメリカでは英語、フランスではフランス語、フィリピンではタガログ語で、ドイツ語、韓国語、中国語、ポルトガル語と、必ずその国の言葉で最初のネタをやるので喜んでくれて、反応が大きい。もちろん日々稽古を欠かさず、技術も日々進歩しているので、それが世界で通じるのは何よりもうれしいです。

日々、どんな稽古を重ねているのですか?

 唇を閉じた状態で、いかに自然に「動かさないか」が常に課題です。他には、唇をくっつけて離さないと発音できない破裂音(マ行、バ行、パ行)の稽古です。お客さんの中には最前列で唇の動きばかりを見ている人がいるんですよ。逆にそんなの気にせずに、ネタ自体を楽しんでくれるお客さんもいます。だから両方を満足させるためにも稽古しなきゃと思っています。

 最終的には、「こういうのを腹話術でやるなんて不可能」と言われることをやりたいと常に考えています。さっき言った破裂音の連続技や、その音を使った早口言葉を見つけると面白くて、稽古で磨きます。

ニューヨークの印象は?

 昨年、うちの娘が語学留学をしていた時には、僕も何回か行って、ヤンキースやメッツの試合を見ました。マー君の活躍も見ました。また自分もショービジネスの世界にいるので、ブロードウェーを見に行くと、「もっともっと楽しませられるようになりたい」と、すごく刺激をもらえますね。

芸能生活が35周年。ものまねタレントから出発し、舞台役者、28歳で腹話術師に転向しました。一貫して変わらない思いは?

 中学生のころに、コメディー俳優になりたいと思いました。それには人前で何かができる度胸がなきゃいけないと思って、高校でものまねを始め、テレビにも出ました。卒業後、スカウトされ、ものまねタレントになりましたが、初心に帰って舞台俳優になりました。しかし、一人でやる方が生き生きしているとの助言もあり、一人芸を模索しました。ただ後戻りはしたくなかった。そんなときに腹話術が頭に浮かびました。中学二年の時に、女性警官の腹話術を見て、そのときも、やってみたいと思ったのですが、人形が手に入らなくてできなかった。それを思い出して、腹話術を独学で学び始めました。それから26年になりますが、ものまねも芝居も全てが今の腹話術のパフォーマンスの中で生かされている。無駄がなかったんだな、一貫性があったんだなと思いますね。その中で、人を笑わさせることは大切にしていますが、僕は、人を和ませること、舞台を見たあとに、「何かよかったね」「楽しかったよね」「元気が出たよね」と思ってもらえるパフォーマンスをしたいんです。そういう気持ちは昔から変わらないですね。

読者にコメントをいただけますか?

 腹話術とマジック。なかなか生で見る機会はないと思います。僕の腹話術では細かい技術の高さも感じてもらえると思います。息遣い、呼吸、発声法とか、それを感じていただきたいので、ぜひ会場に来ていただけたらと思います。

いっこく堂
テレビ番組のコンテストで優勝したのをきっかけに、ものまねタレントとして活動を始めた後、「劇団民藝」で舞台俳優。1992年から独学で腹話術を習得し、「いっこく堂」として活動を開始。公演、テレビ出演など活躍の場を広げ、これまでに世界18カ国30都市で公演を行っている。2000年にラスベガスでアメリカ初公演。ロサンゼルス在住のマジシャン、緒川集人とは、2006年以来の共演。

【公演インフォ】

10/3Tue: 7pm-

Double Tree Hotel by HILTON Hotel Fort Lee

10/4Wed: 4pm-, 7pm- 

Nippon Club

【チケット/問い合わせ】
www.ikkokudousa.com

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