2017/11/03発行 ジャピオン940号掲載記事

リムジンドライバーの魅力
自由度高い働き方

ニューヨークでは、従来からあるイエローキャブ、カーサービス、最近ではウーバーなどがあり、配車サービスの利用者は1日約50万人に達する。その中でリムジンとはどういう存在か、またその仕事とはどういったものなのかを聞いてみた。

時間の自由度が魅力
働き方で高い給与も

 数ある配車サービスの中で、リムジンドライバーになることは利点が多い。

 日系のリムジンサービスとして30年の歴史を持つ共栄リムジン社のエグゼクティブチェアマン、村井紀雄さんは、まず時間の自由さについて言及する。

 「自由な時間を確保しながら、多様な働き方ができるのがドライバーの仕事の大きな魅力です」

 具体的な例として、アーティスト活動をしながら、同社に所属するリムジンドライバーを例に挙げる。

 「夢を追い掛けるためにニューヨークに来ても、現実的に生活していけず、他の仕事に就いて、夢を諦める人も多くいますね。比較的時間の融通が利くリムジンドライバーの場合、夜は演奏活動を続け、昼間や空いている時間にドライバー業に専念できます。そうやって働き方を工夫している人も弊社には多く所属しています」と村井さん。

 同社に所属するドライバーは、ドライバーを本職とする人だけでなく、音楽家やパフォーマーなどのアーティストや、ホテルや旅行業などに従事しながら、知識や経験を生かす副業としてドライバーをしている人も多いという。これも多様な働き方ができる仕事ならではと言える。

 長期休暇が取りやすいのも大きな利点だと村井さん。

 「この業界は、ある程度決まった時期が繁忙期になります。それ以外は閑散期とまでは言いませんが、スローになる時期が確実にあります。繁忙期に一生懸命働いて、スローな時期に長期休暇を取って、家族旅行や趣味に費やす人もいます」

 それだけ自由度が高ければ稼ぎも少ないのでは、と思う人も多いかもしれないが、報酬面に関して同社では、「いい仕事には適正な報酬を」という考えを徹底してるという。もちろん本人の働き方や仕事への熱意にもよるが、アーティスト活動をしながらも、生活を安定させるだけの収入を得ることも期待できる。

人材育成に力
仕事に誇り

 「私自身始めたころは、まだ日本人にとっては『運転手』というと、人に使われる仕事という認識が残っていました。それも仕事をしていくことで、自分自身の知識も生かせるし、人にも喜ばれるし、さらに多くの人との出会いを通して、仕事に誇りを持つようになりました」

 共栄リムジン社は、「ラグジュアリーリムジンベースの営業ライセンスを保持し、高級車両を配備、高額の保険にも加入しているので、安心、安全をお客さまに提供しています。そしてもちろん日本語で対応できるというのが他にはない特徴です」と村井さん。

 ドライバー業務の中では、日本政府や国連の高官、企業のトップなどのVIPから、両親や家族などの送迎サービスを手掛けることになる。大手旅行会社や航空会社のツアーのドライバーなどを担当することもあり、人との出会い、コミュニケーションを通して自分自身が磨かれていく。

 そして提供するのはただの高級なサービスではない。臨機応変に対応でき、ホスピタリティー精神が高いドライバーが同社のサービスを支えている。優秀な人材を育てるのも急務だという。

 「運転が好きで、ニューヨークが好きな人。やる気があって、仕事に対して真面目で、人に喜ばれる仕事をしたいと考えている人にぜひ来てもらいたいですね」

 とはいえ未経験者がドライバーとして仕事をするには、ライセンス取得はもちろん、運転技術、客とのコミュニケーション方法など身に付けるスキルも多い。同社では、ライセンス取得までの期間にも給与を払い、運転技術や接客の仕方なども丁寧に指導する。

 「近年は、新しい配車サービスの普及で、より簡単で安価なものを選ぶ傾向もあります。ですが、やはりビジネスに関連した失敗の許されない重要な送迎や、初めて当地を訪れる大切なご家族の送迎などでは弊社を指名していただき、かつ何度も同じお客さまに利用していただくことが多いので、信頼していただいているのを感じます」

 その信頼を支えるのがリムジンドライバー。そのため将来を見据え、優秀な人材を育てる取り組みをするのが共栄リムジンのポリシーだ。

どう違うの?
タクシー、Uber、リムジン

ニューヨーク市で利用できる配車サービスの違いを正しく理解しよう。

配車サービスの種類

 タクシー、Uberなどのサービス、リムジンは、まず営業形態と料金の清算方法の違いから分別でき、それぞれで必要な営業ライセンスが違う。

●タクシー
街中を走るイエローキャブはニューヨークのアイコンとして知られているが、マンハッタン以外の市内でサービスを提供するグリーンキャブも一般的。タクシーのカテゴリーは、街中で営業し、降車時に清算するというもの。
●リバリー
Uber、Lyftといったサービスが分類されるカテゴリー。電話やスマホアプリなどから配車予約し、降車時に料金清算を行う。
●ブラックカー
リムジンは、完全予約制で、料金の支払いを予約時などに行うブラックカーのカテゴリーに分類される。

営業ライセンスの種類

 さらにブラックカーカテゴリーでの営業ライセンスは、使用する車両や保険の種類によって3種類に分けられる。ライセンスはTLC(New York City Taxi and Limo- usine Commission/ニューヨーク市タクシー&リムジン委員会)が発行する。

●ラグジュアリー・ベース
規定以上の高級車両を使用し、高額の保険加入が義務付けられる。
●ブラックカー・ベース
ドライバーが自身の車両を使うフランチャイズ形式。
●リバリー・ベース
自身の車両を利用するが車両に年式などの基準がなく、保険カバー額が低い。

ドライバーズライセンス

 ニューヨーク市で配車サービスに従事するドライバーは、一般のドライバーズライセンスの他に、TLCが発行するライセンスが必要となる。TLCライセンスの取得には公認校での講習を受講するほか、筆記試験、ドラッグテスト、健康診断などを受ける必要がある。取得までには2週間から1カ月を要する。

 またニューヨーク州DOT(Department of Transpor- tation/州運輸局)が規定する乗客8名以上の「バス」に定義される車両を運転する場合には、CDL(Commercial Driver License)のPassenger Endor- sementを取得しなくてはならない。

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