2014/12/19発行 ジャピオン793号掲載記事

知れば納得!米国子育て&教育事情

成績表と面談|③学校との面談

 今回は学校での面談(parent-teacher conference)を焦点に、さまざまな問題について考えます。


発言を全くしない息子

在米5年の10年生の息子は、普段は英語を流ちょうに話すのに、授業では全く発言しません。そのため、今回の成績表もワンランク下げられました。面談で抗議した方がいいでしょうか。

アメリカでは、授業で発言することが“class participation”(授業に参加していること)と見なされます。よって、これが成績の一部として評価され、発言をしない生徒はその分の評価が低くなります。

 またこれは、本人の性格や文化的背景も大いに関係しています。たとえ英語が流ちょうでも、自分の中では「授業でネーティブと対等に議論できる自信がない」、加えて面目を重んじるアジア文化や、日本での「先生中心で生徒は聞いてノートを取るだけ」といった授業形態なども影響していると思われます。発言することに慣れるためには、意見や主張よりも、まず学習内容や宿題などに関して
「質問をする」ところから始めるとよいでしょう。

 さて、面談では抗議するのではなく、まずこの背景の違いをよく説明してください。このように文化的に異なる環境で、ネーティブの前で異言語で発言するのは勇気がいること、しかしアメリカの学校にいる以上、これから発言する努力を見せたいこと、また先生側にも、こういった背景への理解と協力を要することなどを話してください。


内向的で寡黙な娘

9月に現地校に転入した小5の娘は勉強もでき、家ではおしゃべりです。しかし先日の成績表に、「あいさつしても返事をしない、〝Yes〟〝No〟も一言も発さない、目をそらす」と指摘を受けました。

娘さんの場合、家ではよくしゃべり、勉強もできるということなので、言語の発達や機能には問題はないようです。しかし外や学校に行くと極度の緊張状態になり、言葉が出なくなるのでしょうか。

 あいさつや〝Yes〟〝No〟が一言も出ないというのは、英語力不足で会話に苦労するのとは全く異なります。もし日本にいる時からこのような傾向があるなら、「場面緘黙(かんもく)症」(selective mutism)という精神的な症状と関係があるかもしれません。このような状況は今のうちに改善されないと、たとえ娘さんが勉学ができて将来良い大学などに入っても、社会に出るとうまく適応できません。ご両親は速やかに担任とサイコロジストと面談し、学校での様子を詳しく聞き出すべきです。このような症状は早めの対処が重要となりますので、学校側から何らかの介入を勧められたら、それに従われた方がよいでしょう。


プレスクールに不適応

アメリカ生まれ、プレスクールに通い始めた4歳の息子が学校になじめません。本人は遊びでもクラスメートと協調することを拒み、音楽の時間だけ楽しいようです。夫はアメリカ人、家では英語と日本語の生活です。

プレスクールや幼稚園の子らは、順応力が高いと思われがちですが、案外この年齢の男の子の学校不適応の相談はよくあります。例えアメリカ生まれで父親がアメリカ人でも、4歳ではまだ母親の言語の影響の方が圧倒的に強く、そのため英語のみで育っている他の子供と比べると、息子さんが語彙(ごい)力などで劣っている可能性は大いにあります。その結果、先生の指示などが十分理解できず、一人取り残されている場合もありますし、もともと一人遊びが好きなタイプなのかもしれません。

 面談では、このような家庭環境と言語発達をきちんと説明しましょう。まだ学校が始まって3カ月半ですので、もう少し様子を見た方がよいこと、また好きな音楽を通して他の子らとのアクティビティーを導入してみてもらえないか、など工夫・協力してもらい、一緒に対策を練ってください。

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高橋純子先生

現地校コンサルタントKOMET代表。
著書に『アメリカ駐在 これで安心子どもの教育ナビ』がある。

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