2019/02/08発行 ジャピオン1005号掲載記事

その22 世界の子育て 甘やかしと過剰な期待の中国

高度経済発展とともに世界で存在感を強めているのが中国です。

1979年から37年間にわたって推進されてきた「一人っ子政策」は、2016年に撤廃されました。中国で急速に進行する少子高齢化社会へ対応するためです。現在子育て中の親の多くは、自分が一人っ子だった経験や生活コストの高騰、将来への経済的な不安などから、二人目を持つことをちゅうちゅよしています。つまり、一人っ子同士の夫婦が、一人っ子を育てている、という状況です。

一人の子供を、両親(2人)と祖父母(4人)の合計6人の大人が世話をするという、「甘やかし子育て」がこれからもしばらく続くことが予想されます。

中国では、「子育ては祖父母の仕事」です。働き盛りの両親は共働きをして住宅ローンの返済費や生活費を稼ぐ。日常の家事や子供の世話は祖父母に任せ、両親は週末だけ子育てに参加する、というのが中国の典型的な子育てスタイルです。

甘やかされて
「やる気」育つ

「小皇帝(=一人っ子)」という言葉が象徴するように、中国の子供たちは甘やかされて育っています。ただ、私は「甘やかし」自体はさほど悪いことだとは思いません。多少わがままでも自己中心的でも、愛情をたっぷり受けて育った子供は「やる気」があり、社会で揉まれていく中で成長していける資質を持っているからです。

中国の子育ての一番の問題は、「甘やかし」ではありません。たった一人の子供への過剰な期待からくるプレッシャーなのです。

過剰な期待から
プレッシャー

子育てについては、甘やかしが横行する中国ですが、一方の「勉強」や「習い事」については一切の甘やかしがありません。

リクルートが行った調査によると、「完璧な子育てをしたい」と望む日本人は32%でしたが、中国人は90%。例えば子供がテストで98点を取ってきたとしたら、中国人の親は「どうして100点を取れないの!」と叱るのです。

音楽でもスポーツでも同様で、「◯◯ちゃんはできるのに、何であなたはできないの?」と子供を周囲と比較してプレッシャーを与えます。幼稚園で読み書き、算数、英会話、ピアノをマスターさせ、小学校からは教科学習の先取り。小学3〜4年生で中学レベルの学習内容に取り組む、ということが中国では「普通」になっているのです。

「スタートで出遅れるわけにはいかない!」という親たちのニーズに答えるように、子供の早期英才教育がブームに。この過熱ぶりに中国政府も危機を感じ、早期教育企業の設立を制限するなど、規制強化に躍起になっているほどです。

中国の子供たちは過保護に育てられたため、自己肯定感が強く、チャレンジ精神が旺盛であるという良い面があります。

しかし一方で、重い学業負担と、完璧を追求する親からプレッシャーを背負わされるため、大きな精神的ストレスを抱え、中には心を病んでしまうケースもあるのです。

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