2018/11/30発行 ジャピオン995号掲載記事

その13 海外子育ての落とし穴 メンタルタフネスを育てる

アメリカで暮らしていると、韓国人父兄の教育熱心ぶりに驚かされます。ハワイの私の学校にもたくさんの韓国人が子供を連れてやってきます。ご両親から話を聞くと、「子供の教育のために移住してきた」というのです。

日本では子供の教育のために海外移住をしよう、などと考える人はほとんどいません。たとえ国内であっても、子供の教育のために引っ越しをしよう、という人は少ないのではないでしょうか。

学歴信仰強いアジア

儒教の影響が根強く残る韓国は、「学歴信仰」が社会の根底にあります。「子供をよい学校に入れなければならない!」というプレッシャーが、桁外れに強い社会であるため、韓国人は「世界一」子供の教育に熱心なのです。

少し前まではソウル大学や高麗大学といった韓国のトップ大学が目標でした。ところがグローバル化の進行によって韓国の大学の地位(価値)が揺らいでしまったのです。2000年以降、韓国企業のグローバル化が急速に進行し、韓国のトップ大学を出ても、英語ができなければ大企業に就職できない、という事態に陥りました。これが韓国の教育ママたちの目を一斉に海外に向けさせたのです。

「もはや韓国のトップ大学を出ても国際社会では通用しない! 目指すはハーバード、オックスフォード、スタンフォード、世界のトップ大学だ!」という流れが今の韓国教育にはあります。

英語熱への変化

20年前まで韓国のTOEFLの成績は日本と同レベル、アジアで「下から3番目」でした。しかし、今では、シンガポール、マレーシア、フィリピンなど、英語が日常的に使われている国と肩を並べるレベルまで上がってきています。

英語熱の高まりと平行して、アメリカへの留学生も急増しました。韓国の人口は日本の半分以下の約5000万人です。しかし、アメリカの大学に通う韓国人の数は5万9000人で、日本の「3倍以上」です。(アメリカの大学に通う日本人数は1万9000人で、台湾の2万人よりも少ない(参照=www.migrationpolicy.org、2016−17年統計)

そして韓国は、ハーバード、スタンフォード、イェールなどの全米トップ大学への合格者数もアジアでトップクラスになりました。ハーバード大学に通う韓国人数は296人で、中国の984人次ぐ大きな数字です。日本人のハーバード生は95人です。(参照=ハーバード大ホームページより。2018年10月31日現在)

入学後燃え尽き

子供のためにアメリカ移住を決行し、親子で必死に努力した甲斐があって、韓国人はアメリカのトップ大学への合格切符を手にしました。ところが、ここに思わぬ落とし穴がありました。

ハーバード、イェール、コロンビアなど、アメリカのトップ大学に通う韓国人学生のうち44%がドロップアウト(途中退学)してしまったのです。(参照=www.koreatimes.co.kr、コロンビア大学、サミュエル・キム教授の2008年の調査による)

幼い頃から脇目もふらず勉強だけに全てを懸けてきた韓国の若者たちは、アメリカのトップ大学合格を手にしたことで目標を失い「バーンアウト/燃え尽き」てしまったのです。

ストレスへの耐性

ストレスや困難にぶつかった時に「なにくそ! 負けないぞ!」と乗り越えていく力、次の目標に向かって努力を継続する力、そんな「メンタルタフネス」を育てておかなければ、厳しい国際競争時代を生き抜くことはできません。

日本も韓国ほどではないにせよ、学歴社会です。今後グローバル化が進んでいくことで競争が激化し、韓国と同じような状況になることが予想されます。今から子供の「メンタルタフネス」に目を向け、心の耐性を育てる子育てを実践していかねばなりません。

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