その24 世界の子育て 理数脳を育てるインド式

現代社会では、医療やテクノロジーはもちろん、ダイエットから子育て方法に至るまで日々新しい発見や検証がなされ、それまでの常識を覆すような事柄が次々と生まれています。

一体何を信じたらいいのか、分からなくなるかもしれませんが、これはグローバル社会の宿命だといえます。変化の激しい時代では、自分で考え、先を見据えて判断する力が強く求められるのです。

グーグルの創業者、ラリー・ペイジは「20年後には、今の仕事のほとんどが機械によって代行される」と言っています。また、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは「創造性を必要としない仕事はテクノロジーに代行される。来るべき未来を意識するように」と警告しています。

今の子供たちは、これまでの常識や価値観の中で生きるのではなく、自分の人生を自分で開拓しなければならないのです。

自分はどんな人生を歩みたいのか、それを実現するためにどう行動すべきなのか、その答えを得るために「考える力」が必要になります。

答えのない問題で
考える力を育成

しかしながら、現在の日本の学校教育では十分な「考える力」は育ちません。いまだに学校教育の主流は知識の詰め込みであり、答えが決まっている問題の解き方指導に終始しています。

知識ももちろん重要なのですが、スマートフォン一つあれば知識は誰でも手に入れることができる時代です。知識をどう活用するか、答えのない問題をどう解決するか、それら「考える力」の育成がより重視されるべきなのです。

日本の学校教育のようにテストで評価できる知識や技術を「ハードスキル」と言います。一方、テストで数値化できない技術や能力を「ソフトスキル」と言います。すなわち、論理的思考力、批判的思考力、問題解決力などです。

今、世界の教育の主流は「ソフトスキル」に移行しつつあります。

教科書を読めば分かる知識を教え込むことよりも、答えのない問題にどう取り組むべきか、考える技術を教えることが、教育の役割だという考えが強くなっています。

これまで日本の学校教育は「ハードスキル」の育成によって教育水準は世界でトップクラスにまでなりました。

しかし、「これから」はそれだけではいけないのです。時代の変化に対応していくために、人生で自由や快適さを手に入れるために、「考える力」が必要になってきます。

インド式思考
柔軟性を育む

「考える力」の教育に成功している代表例はインドでしょう。インド人は現在、世界中のIT企業、エンジニアリング企業から引っ張りだこ。インド人には理数系に強い人が驚くほどいます。

特にアップルやグーグルなどの国際的なIT企業がひしめくシリコンバレーは、ここ10年でインド人が急増。今やシリコンバレー市民の4人に1人はインド人といわれています。

そんなインド人の理数系頭脳を支えているのが「暗算」と「柔軟性」を鍛える数学教育です。日本で掛け算と言えば九九ですが、インドではもっと大きな数字、例えば19×19まで暗記させます。また算数の授業では計算機も筆算もなし。どんな複雑な計算も「暗算」できるように指導するのです。

また、日本では公式通りに計算することが要求されますが、インドではさまざまな計算方法や数字のトリックを自在に組み合わせて、合理的かつ簡単に答えを導き出す工夫が重視されます。

インド人は幼い頃から数字遊びを通して「暗算」をたたき込まれ、数字に強くなるように思考する訓練を受けて成長していきます。機械的に公式を暗記するのではなく「HOW?/どうしたら?」という頭の使い方を身に付けさせることが「理数系頭脳」の土台となっているのです。