2019/04/12発行 ジャピオン1013号掲載記事

スペシャリストに聞く

②リカーライセンス

今月のテーマ:飲食業界と法規制

ニューヨーク市内では、リカーライセンス(酒類販売許可証)の取得が困難と言われ、開業までに用意できないケースも多く報告されている。今号は、その背景と細かな規制を解説。

リカーライセンスはどのようなときに必要なのでしょうか?

ニューヨーク市内でアルコールを販売・提供する店舗は、ニューヨーク州が発行するライセンス(販売許可証)を保有していなければなりません。

日本では同様の許可の取得が比較的簡単ですが、アメリカでは後述の理由から取得までに時間が掛かり、ときには6カ月以上要することもあります。店舗のリース契約を交渉し始める時点で、リカーライセンスの申請も並行して行うと良いでしょう。

ライセンスには、ビールだけ提供できるもの、フルバーを設置できるものなど種類があるので、自分の事業がどれに相当するのかよく考えましょう。

なお、リカーライセンスはアメリカの市民権または永住権がないと取得できないと思われがちですが、日本国籍保持者でも、適切な就労ビザを持っているか、50%以上のシェアを持つ事業パートナーが市民であれば、取得可能です。

 

具体的な取得のプロセスは?

ライセンスの取得には、店舗がある地域のコミュニティーボード(委員会)に申請を行い、公聴会で委員と地元住民に、営業形態や取得予定のリカーライセンスを説明し、承認を得る必要があります。それと同時に、ニューヨーク州酒類管理局からも許可を得ます。

ボードの承認がなくても同局からの許可は下りますが、必ず公聴会にて地元住民に説明を行う必要があります。ボードに承認を得ていれば、同局から許可が下りるのも比較的容易になります。逆にボードの承認が下りない場合は、同局との審問を行います。

 

ニューヨークでは取得が厳しいと聞きますが、どんな背景が?

ライセンス取得には、市建築局が発行する使用目的許可証(Certificate of Occupancy)に、「飲食施設」と明記される必要がありますが、近年、同局の建物検査が厳しく、許可証の発行が困難になっています。

また、建物で違法改築または違反があった場合、許可証の発行が延期になったり、最悪の場合、取得不可になってしまいますので、注意してください。

違反に関しては、暖房施設や他の部屋など、自分が直接リース契約していない箇所で見つかった場合も関係してきます。物件オーナーに修理の意思がない場合、ライセンスを申請した事業主が費用を自己負担しなければならないケースもあります。

 

リカーライセンスが取りにくい立地条件はありますか?

店舗が面した道路沿いの200フィート以内に、学校や教会などの宗教施設がある場合は、リカーライセンスの許可は下りません(200フィート法)。また、200フィート以上離れている場合でも、近隣にそのような施設がある場合は、地域の治安をかんがみて、ボードが承認しづらくなる可能性があります。

店舗から500フィート以内に、同類のリカーライセンスを所持している飲食店が3店舗以上ある場合は、新たな認可が「公共にとって公益にになること」を申請者が証明しなければなりません。これを「500フィート法」と呼びます。

ボードから承認が受けられなかった場合は、もう取得できないのでしょうか?

ボードから承認が下りない場合、例えば音楽の生演奏を録音にするなど、営業形態を変更することで承認が下りるケースもあります。

また、承認が保留の状態で開業し、その後ビジネスが軌道に乗れば、ボードが後から承認を出すこともありますので、開業後に再チャレンジするのも手です。

〈おことわり〉
記事内容に関して当弁護士事務所は一切の責任を負いかねます。詳細は各弁護士にご相談ください。

 

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川崎晋平弁護士

ニューヨーク州公認弁護士。フロリダ・コースタル法科大学院卒業。専門分野は飲食店関連法、リカーライセンス、不動産法など。ホスピタリティー関連法務を中心に、飲食企業の顧問弁護士を務める。日本ではシェフや飲食店経営なども務めた経験を持つ。

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