2019/04/05発行 ジャピオン1012号掲載記事

スペシャリストに聞く

①法人化と店舗選び

今月のテーマ:飲食業界と法規制

当地の飲食業は日本以上に規制が厳しく、より専門的な知識が必要となる。今月は、飲食業専門の弁護士に、起業から各種申請手続き、そしてオープン後に関わってくる法規制について聞く。

アメリカで飲食業を始めるとき、まずはどのような手続きが必要ですか?

自分のビジネスプランを練り、必要な資金額が明確になった段階で、まずは出資者を確保しましょう。

日本から来たばかりで、アメリカでのレコード(記録)がないと、銀行のローン融資は受けづらくなります。家族や友人から出資を募るのも一つの手ですし、共同出資者を探すのもいいでしょう。いずれも、自分をよく知っている人を選ぶのがポイントです。

 

資本が明確になったら、次にやるべきことは?

法人を設立し、事業を進められる状態を作りましょう。

すでに日本で複数の店舗を持つ大規模な企業、あるいは当地で多額の資本で展開予定の企業の場合、「コーポレート」か、複数の企業が資金を出し合って法人を設立する「パートナーシップ」の形態があります。

資本が比較的少額である場合は、いろいろなシチュエーションで融通が利く、有限責任のLLC(リミテッド・ライアビリティー・カンパニー)を選ぶ人が多いですね。弁護士に相談して、自分に最も適した法人形態を選んでください。

登記はオンラインで行うことができます。

 

店舗物件を選ぶときに、気を付けるべきことは何ですか?

ニューヨークでは建築局や保健衛生局をはじめ、州と市の複数の担当局に申請をする必要があり、これがかなりの手間です。

手続きが進めやすいのは、前のテナントが飲食業だった物件でしょう。すでに建築局や保険衛生局が、その建物に対して許可証を発行済みなはずなので、自分で申請する手間が省けます。

空の物件を、自分で新たに店舗として改築する場合は、建築家や建築業者による点検を行いましょう。物件オーナーとリース契約を交わす前に必ず点検を行い、市建築局の定める「飲食施設」の規定(収容人数や器具の有無など)を満たしているかを確かめることが重要です。

過去に違法改築または規定違反があった物件は、許可証の発行が延期になったり、最悪発行されない場合があるので、事前によく確認してください。

 

リース契約を行う際のポイントは?

飲食業のリース契約は特殊なので、その分野に詳しい弁護士と共に進めることが重要です。契約期間や設備の使用条件など、項目の一つ一つをよく読み、何か懸念事項がある場合は慎重に物件のオーナーと交渉する必要があります。

注意点として、物件オーナーはより確実なテナントと契約を結ぶために、法人単位ではなく事業主個人に契約保証を要求することがよくあります。しかし、オープン前で店の評判も分からない状態で、個人単位で責任を負うのは、あまりにリスクが高過ぎます。

事業が失敗する場合をかんがみて、ニューヨク市内でよく交わされる取り決めに、「Good Guy Guarantee」というものがあります。この取り決めでは、事業主は契約書の内容を個人的に保証します。その代わり、事業主が問題なく契約を順守しており、「善良」と見なされれば、リース契約を満了前に取り消すことができる(事前通達が必要)というものです。

こういった変則的なルールを活用するためにも、飲食業界に詳しい弁護士と一緒に契約を進めることが重要です。

〈おことわり〉
記事内容に関して当弁護士事務所は一切の責任を負いかねます。詳細は各弁護士にご相談ください。

 

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川崎晋平弁護士

ニューヨーク州公認弁護士。フロリダ・コースタル法科大学院卒業。専門分野は飲食店関連法、リカーライセンス、不動産法など。ホスピタリティー関連法務を中心に、飲食企業の顧問弁護士を務める。日本ではシェフや飲食店経営なども務めた経験を持つ。

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